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結局「こころ」の養い方

2017年11月25日 | 雑記帳
 「コメ作り」という言葉に問いをもったことはなかった。しかし「こころ」の視点から考えると、宗教学者山折哲雄が「『稲作』のこころを喪失してしまった」と語ったことが響いてくる。「秋の実りを祝い楽しむかわりに、車をつくるようにコメをつくる時代」に私たちは生きていて、その日常で「こころ」を養っている。



 NHKクローズアップ東北「コメで未来を切り開け!~ポスト減反時代・新潮流を追う~」を観た。47年続いてきた「減反政策」の廃止は、国の農業政策の大きな区切りであることに間違いない。食管制、食管法の変更、改正の時点から見込まれていたことを考えると、そこからの関係者の動きも問われるはずだ。


 いわゆる「ピンチをチャンスに」という発想で切り開いていこうという趣旨が見えた。実践例として取り上げられた二つは、「大規模集約化」「新規ビジネスモデル化」といった方向であり、若手経営者の持つ視点や活躍に、地元篤農家の存在も絡ませながら、業務合理化や世代交代などを印象付ける内容になっていた。


 農業や経済の詳細には踏み込めないが、新しい時代に対応した発想を持ち、行動する人間育成には興味がある。教育の方法や内容が、時代の支配的な価値観や規範等に大きな影響を受けることは当然である。言うとおりに減反すれば補助金をもらえるという現実が払拭されるこの時、いったい何を指針とすればいいか。


 「売れるものがいいものだ」と「いいものだから売れる」という両視点の隔たり。前者は「売れればいい」に陥った時、抱える価値観の脆弱さに気づく。後者は常に現実とのギャップに悩む。「ものづくり」と「ことづくり」を「つなぐ」あり方にも専門化と同時に総合化が求められ、結局それを支える「こころ」に戻る。