今回は、令和4年-健保法問9-C「傷病手当金の継続給付」です。
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共済組合の組合員として6か月間加入していた者が転職し、1日の空白もなく、
A健康保険組合の被保険者資格を取得して7か月間加入していた際に、療養
のため労務に服することができなくなり傷病手当金の受給を開始した。この
被保険者が、傷病手当金の受給を開始して3か月が経過した際に、事業所を
退職し、A健康保険組合の任意継続被保険者になった場合でも、被保険者の
資格を喪失した際に傷病手当金の支給を受けていることから、被保険者として
受けることができるはずであった期間、継続して同一の保険者から傷病手当金
の給付を受けることができる。
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「傷病手当金の継続給付」に関する問題です。
次の問題をみてください。
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【 R1-8-D 】
資格喪失後の継続給付としての傷病手当金を受けるためには、資格喪失日
の前日まで引き続き1年以上被保険者であったことが要件の1つとされて
いるが、転職等により異なった保険者における被保険者期間(1日の空白
もなく継続しているものとする。)を合算すれば1年になる場合には、その
要件を満たすものとされている。なお、これらの被保険者期間には、任意
継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者の
期間は含まれないものとする。
【 H25-2-B 】
傷病手当金を受けていた者が、被保険者期間が6か月経過したときに退職
せざるを得なくなった場合、たとえ当該被保険者期間の前に、1日の空白も
なく継続した6か月以上の他の保険者における被保険者期間があったとし
ても、資格喪失後の傷病手当金は受けられない。なお、これらの被保険者
期間には、任意継続被保険者、特例退職被保険者又は共済組合の組合員で
ある被保険者の期間は含まれない。
【 H28-8-D 】
健康保険法第104条の規定による資格喪失後の傷病手当金の支給を受ける
には、資格喪失日の前日まで引き続き1年以上被保険者(任意継続被保険者、
特例退職被保険者又は共済組合の組合員である被保険者を除く。)である必要
があり、この被保険者期間は、同一の保険者でなければならない。
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「傷病手当金の継続給付」に関する問題です。
資格喪失後の継続給付としての傷病手当金を受けるためには、資格喪失日の
前日まで引き続き1年以上被保険者であったことが要件の1つとされています。
これは、被保険者であった期間がわずかしかない者まで、資格喪失後の継続
給付の対象とはしないようにするため設けられている要件です。
そこで、この「引き続き1年以上」とは、必ずしも、一の適用事業所において
引き続き被保険者であることを求めたものではなく、その間に転勤や転職など
により事業所や保険者が変わっても、被保険者資格に1日の空白もなければ、
引き続いた期間として通算されます。
つまり、引き続き1年以上健康保険の被保険者であり続ければよいという
ことです。
ただ、健康保険の被保険者といっても、退職後の資格である任意継続被保険者
又は特例退職被保険者であった期間や健康保険に保険料を納付していない共済
組合の組合員である被保険者の期間は、この「被保険者であった期間」から
除かれます。
ということで、【 R1-8-D 】は正しいですが、
他の保険者における被保険者期間は通算できない内容の【 H25-2-B 】、
「同一の保険者でなければならない」とある【 H28-8-D 】は誤りです。
【 R4-9-C 】は、共済組合の組合員として期間を通算して1年以上と
なっているので、やはり、誤りです。
ちなみに、高額療養費の支給要件の判断や多数回該当の回数を数える場合、
保険者単位で行われるので、これらの規定と混同しないようにしましょう。