講師 黒川が語る「寄宿舎」
今回は出題実績は少ないですが、「労働基準法」より「寄宿舎」の項目を
振り返ってみたいと思います。
同法ではれっきとした一つの章として項目立てされています。
高度成長期時代、集団就職者を事業場内の寄宿舎に住まわせていた例がよく見ら
れました。
現在でも大規模な工事現場に隣接して仮設式の宿舎があるかと思います。
事業場内、職住隣接となれば、やはり使用者側も支配がしがちになります
(更に不当な労働を強いた例としては明治時代の「女工哀史」等が有名ですね)。
労働者を不当な支配・拘束から守るべく、定められています。
第94条「寄宿舎生活の自治」
第1項:使用者は、「事業の附属寄宿舎」に寄宿する労働者の「私生活の
自由を侵してはならない」。
→寄宿舎とは、状態として相当人数の労働者が宿泊し共同生活の実態を
備えるものです。
→アパート式の社宅は福利厚生施設とされており、「寄宿舎」には含まれ
ないとされています。
→労働関係とは別個の私生活である以上、使用者が干渉することは認めら
れないとされています。
第2項:使用者は、寮長、室長その他寄宿生活の自治に必要な役員の選任
に干渉してはならない。
第95条「寄宿舎生活の秩序」
第1項:事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、次の事項に
ついて「寄宿舎規則」を作成し、行政官庁に届け出なければ
ならない。
1)起床、就寝、外出及び外泊に関する事項
2)行事に関する事項
3)食事に関する事項
4)安全及び衛生に関する事項
5)建設物及び設備の管理に関する事項
→万一、労働者が設備を破損させた場合(部屋代・寝具の損料等)に、労働者側
に負担させるのであれば、就業規則中に規定にしなければならないとされて
います。
第2項:使用者は、前記の1)から4)の作成又は変更については、寄宿舎に
寄宿する労働者の「過半数を代表する者」の「同意」を得なければ
ならない。
→作成後に寄宿する労働者の過半数が入れ替わったとしても、新たに同意
を得る必要はありません。
第3項:使用者は、「寄宿舎規則」の届出をなすについて、第2項の同意
を証明する書面を添付しなければならない
→この流れはおおよそ就業規則の作成・届出と同じですね。
また
第106条2項:使用者は、「寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則」を、
寄宿舎の見やすい場所に「掲示」し、又は「備え付ける」等
の方法によって、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなけれ
ばならない。
とされています。
第96条「寄宿舎の設備及び安全衛生」
使用者は、事業の附属寄宿舎について、換気、採光、照明、保湿、防湿、
清潔、避難、定員の収容、就寝に必要な措置その他労働者の健康、風紀
及び生命の保持に必要な措置を講じなければならない。
→具体的には「事業附属寄宿舎規程」により寝室や食堂などの基準、
更に「建設業附属寄宿舎規程」では寄宿舎自体の設置場所の基準
(工事現場付近に設置されることが多いため)等が定められています。
第96条の2「監督上の行政措置」
使用者は、常時10人以上の労働者を就業させる事業、省令で定める危険な
事業又は衛生上有害な事業の附属寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しよう
とする場合においては、法96条の規定に基づいて発する省令で定める危害
防止等に関する基準に従い定めた計画を、「工事着手14日前まで」に、
行政官庁に「届け出なければならない」。
第96条の3
労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が、安全及び衛生に関し定められた
基準に反する場合においては、行政官庁は、使用者に対して、その全部
又は一部の「使用の停止、変更」その他必要な事項を「命ずることがで
きる」。
→行政側に使用停止命令まで含めた監督権限が与えられています。
短い項目ですので、ざっとほぼ全条見てみました。
マイナーな項目ですが知識として片隅に入れていただければと思います。
余談ですが学生時代、アルバイトで行った大手パン工場の敷地内に「女子
宿舎」があり、正直、平成の時代ではあるものの現実を知った記憶があり
ます。
今回は出題実績は少ないですが、「労働基準法」より「寄宿舎」の項目を
振り返ってみたいと思います。
同法ではれっきとした一つの章として項目立てされています。
高度成長期時代、集団就職者を事業場内の寄宿舎に住まわせていた例がよく見ら
れました。
現在でも大規模な工事現場に隣接して仮設式の宿舎があるかと思います。
事業場内、職住隣接となれば、やはり使用者側も支配がしがちになります
(更に不当な労働を強いた例としては明治時代の「女工哀史」等が有名ですね)。
労働者を不当な支配・拘束から守るべく、定められています。
第94条「寄宿舎生活の自治」
第1項:使用者は、「事業の附属寄宿舎」に寄宿する労働者の「私生活の
自由を侵してはならない」。
→寄宿舎とは、状態として相当人数の労働者が宿泊し共同生活の実態を
備えるものです。
→アパート式の社宅は福利厚生施設とされており、「寄宿舎」には含まれ
ないとされています。
→労働関係とは別個の私生活である以上、使用者が干渉することは認めら
れないとされています。
第2項:使用者は、寮長、室長その他寄宿生活の自治に必要な役員の選任
に干渉してはならない。
第95条「寄宿舎生活の秩序」
第1項:事業の附属寄宿舎に労働者を寄宿させる使用者は、次の事項に
ついて「寄宿舎規則」を作成し、行政官庁に届け出なければ
ならない。
1)起床、就寝、外出及び外泊に関する事項
2)行事に関する事項
3)食事に関する事項
4)安全及び衛生に関する事項
5)建設物及び設備の管理に関する事項
→万一、労働者が設備を破損させた場合(部屋代・寝具の損料等)に、労働者側
に負担させるのであれば、就業規則中に規定にしなければならないとされて
います。
第2項:使用者は、前記の1)から4)の作成又は変更については、寄宿舎に
寄宿する労働者の「過半数を代表する者」の「同意」を得なければ
ならない。
→作成後に寄宿する労働者の過半数が入れ替わったとしても、新たに同意
を得る必要はありません。
第3項:使用者は、「寄宿舎規則」の届出をなすについて、第2項の同意
を証明する書面を添付しなければならない
→この流れはおおよそ就業規則の作成・届出と同じですね。
また
第106条2項:使用者は、「寄宿舎に関する規定及び寄宿舎規則」を、
寄宿舎の見やすい場所に「掲示」し、又は「備え付ける」等
の方法によって、寄宿舎に寄宿する労働者に周知させなけれ
ばならない。
とされています。
第96条「寄宿舎の設備及び安全衛生」
使用者は、事業の附属寄宿舎について、換気、採光、照明、保湿、防湿、
清潔、避難、定員の収容、就寝に必要な措置その他労働者の健康、風紀
及び生命の保持に必要な措置を講じなければならない。
→具体的には「事業附属寄宿舎規程」により寝室や食堂などの基準、
更に「建設業附属寄宿舎規程」では寄宿舎自体の設置場所の基準
(工事現場付近に設置されることが多いため)等が定められています。
第96条の2「監督上の行政措置」
使用者は、常時10人以上の労働者を就業させる事業、省令で定める危険な
事業又は衛生上有害な事業の附属寄宿舎を設置し、移転し、又は変更しよう
とする場合においては、法96条の規定に基づいて発する省令で定める危害
防止等に関する基準に従い定めた計画を、「工事着手14日前まで」に、
行政官庁に「届け出なければならない」。
第96条の3
労働者を就業させる事業の附属寄宿舎が、安全及び衛生に関し定められた
基準に反する場合においては、行政官庁は、使用者に対して、その全部
又は一部の「使用の停止、変更」その他必要な事項を「命ずることがで
きる」。
→行政側に使用停止命令まで含めた監督権限が与えられています。
短い項目ですので、ざっとほぼ全条見てみました。
マイナーな項目ですが知識として片隅に入れていただければと思います。
余談ですが学生時代、アルバイトで行った大手パン工場の敷地内に「女子
宿舎」があり、正直、平成の時代ではあるものの現実を知った記憶があり
ます。