わが街の一画に多様な塗装を施されている家並みがあり、そのポップな明るさが目を楽しませてくれる。
こういう多様性もダイバーシティ(Diversity)のあらわれと言えるのだろうか。
でも10何年ほど前だっただろうか、ダイバーシティという言葉がそれほど広まっていない頃に、ある反対運動があった。
住宅地の中の主要道路に面して数件の建売住宅がほぼ完成した時点で、一部の住人が壁の色に不満を示して運動を始めた。
ピンクや黄色の壁が、この団地にそぐわなくて値打ちが下がるという理由で署名を集め、工務店に塗り直しを求めるということだった。
同じ頃だったか、漫画家の楳図かずお氏の紅白縞模様の家が、景観上問題があるとして近隣住人から裁判を起こされたことがあった。
楳図かずお氏の方は、却下されて近隣住人が敗訴したが、わが団地の方は工務店が要求を受け入れ、明るく派手な色の家だけ塗り直し(上塗り)がなされた。
環境悪化を心配するという表向き理由があるにしても住民エゴが透けて見える気がして私は署名を断ったのだけれど。
その後、ダイバーシティという言葉が広まったからか、ピンクの壁に塗り替える家も見られるようになり、画像の家並みもできた。
意識の変化とともに建物も様相が変わり、街並み家並みも変っていく。