散歩コースに柚子の大木が何本もあって、ほぼ放置されているように見える。
舗装されていない土と草の、いわゆる地道・・ここで『地道』と辞書を引いてみたら、むきだしの地面の道というような意味はなかった。
まじめな手堅い態度という意味で地道を使う一方、私はその土地の人しか使わない小道のことを地道と思っていてそのように言ってきた。
誰かから教えられた言葉ということもなく、自然にそのように使ってきたけれど、間違いだったのだろうか。
私がそのように使う『地道』を聞いた人は「おや?」と思いながら聞き流してくれていたのだろうか。
いきなり話が横道に逸れたのを元にもどそう。
私が『地道』と思ってきたその細いけもの道まがいの通路は私有地なのかも知れないけれど、出会う地の人に咎められたことはない。
田舎であれば、耕作放棄され何もかも放置されて荒れた場所はただただ侘しいものがあるけれど、都会に近い場所だとワケアリ感が漂う。
とは言え、荒れていても手を掛けてもらえなくても育つものはあるわけで、柚子がたわわに夕日に照らされていた。
柚子は緑から黄色あたりまでしか値打ちがないのだろうかと思い、検索すると完熟柚子胡椒なんてのがあるようだ。
完熟させてから収穫するようには思われない雰囲気で、持ち主はおそらく高齢、相続成ったら宅地造成か老健施設かという未来。
ゆずの木だけは守っていく、それはゆずれないてなことを言う家柄であれば良いけれど、などと散歩者は現状維持を望む勝手者。
自分勝手な人間というつもりで何となく勝手者と書いたが、調べてみたら、勝手者は【かってしゃ】と読み、金持ち、財産家のことだそうだ。
『・・・現状維持を望む勝手者』ではなくて『・・・現状維持を望む貧乏暇有り人』とでもすべきところだ。