面白そうだと思って自発的に本を読むようなことがなくなって久しい。
久しいどころか、全く純粋にということになれば、中1くらいまで夢中だったアルセーヌ・ルパンやシャーロック・ホームズなどの推理小説だけ。
その後の読書は、これを読んだと言ったらかっこいいだろうとか、人まねとか、これくらい読んでおかないとというような不純な動機だ。
野坂昭如の『火垂るの墓』は読もうと何回か思っていたのに、そのタイミングがなかったのを、ふと思いつき、家人に図書館から借りてもらって読んだ。
最近の図書館はネットで、本の有無も予約も順番待ちもネットでできるそうで、『火垂るの墓』の順番待ちはなくて直ちに借りることができた、そうだ。
伊坂幸太郎の『逆ソクラテス』は今年の本屋大賞にノミネートされたそうで、私のリクエストではなくて、勧められるままに読んだ。
前者は半分ほどの漢字に振り仮名があるので読みやすいような煩いような感じで、短編を1つ読んではしばらく置いたりして終えるのに長くかかった。
『火垂るの墓』までに短編が5つ載せられていて、焼け跡派ならではの少年少女用の体裁ながら、笑えない大人の童話。
『火垂るの墓』は、ひとつの段落まで句点の後も文を繋げる詰めた書き方で、内容の濃さとエゲツナさに緊迫感が漂い、読みすすめるのにもエネルギーを要して消耗した。
『逆ソクラテス』は、青少年向けの読み物という体裁で、『逆ソクラテス』が最初にあり、あとに4つの短編が収められている。
イジメをやると、因果応報どういうことになるかという、読者たる弱者を喜ばせるサービス精神のようなものを感じた。
その分、浅さも感じて、以前読んだ『重力ピエロ』ほどの読後充足感はなかった気がする。
田舎から帰って3週間余り、病院の検査を2度受けて良好という結果をもらい、沢庵を漬け、長いものに巻かれて1回目のワクチン接種をして、本2冊を読んだ。
遅まきながら年賀状にも取り掛かったけれど、もう大晦日は明後日だ。