産経新聞2008年6月24日。つまり今日。
文化欄のコラム「断」は、イタクラヨシコさん。
こうはじまっておりました。
「古書店で見つけた『親とつき合う法』という文庫を一気に読み耽った。著者は8年前に97歳で他界したフランス文学者、河盛好蔵である。」
これ魅力あるコラムなので、引用しておきます。
「昭和30年代の週刊誌の連載エッセーを束ねた本だが古さを感じさせない。ものわかりのよい振りをしてその実、心の通い合わない親子より、衝突したり許し合ったりできる『愉快な関係』が好ましいと河盛は説き、子供を叱るべき時に叱らないのは親として無責任なだけでなく、『第一薄情なやりかたである』という言い方で諌める。なかでも心に残ったのは、親子の会話は大切だが、大事な議論よりもまず日常の些事をいかに面白く相手に聞かせるか、互いにシャベリを磨けとの提言だ。『くだらないおしゃべりをしている間に、正面切っては言いにくいことを、巧みに伝える技術を覚えるのである』」
それじゃ、全文引用。
この後が、すばらしいのでした。
「東京・秋葉原の殺傷事件以降、親子のあり方という問題が世の関心を集めているが、事件後の識者のコメントの多くは、容疑者の親子関係がどうダメかに言及するのみで、げんなりさせられた。今時の学者センセイは、河盛のように、経験と教養と想像力を総動員して人の心の機微に分け入り、望ましい親子関係を打ち出し得ないのか。脳科学などでは解明しきれない人間関係という七面倒くさい主題に食い下がり、東西の文学から落語まで引き合いに出し、タテ横斜めに考察を重ね、しかもそれを平易で感じのいい文章で表現してくれるような学者はいないのか。本書はもっと読まれるべき好著だと思う。」
ところで、イタクラヨシコさんというのは文筆業とありますが、どんな方?まず先に、河盛好蔵著「親とつき合う法」(新潮文庫)を読みたくなりました。
じつは、河盛好蔵著「人とつき合う法」(新潮文庫)は読んだことがあり、感銘しておりました。といっても、だいぶ前なので、もう内容も霞んでおります。その時に、古本で河盛好蔵著「親とつき合う法」(新潮文庫)を買ってあったのです。けれども、こちらは読む気が起こらなくって(いつものことなのですが)、そのままになっておりました。このイタクラヨシコさんのコラムで俄然読みたくなりました。有り難い。ありがたい。私にとって、ありがたいコラムなのでした。
そういえば、渡部昇一著「父の哲学」(幻冬社)というのも今年出ております。「親とつき合う法」は、どうやら父親がテーマとなっているようなのでした。
文化欄のコラム「断」は、イタクラヨシコさん。
こうはじまっておりました。
「古書店で見つけた『親とつき合う法』という文庫を一気に読み耽った。著者は8年前に97歳で他界したフランス文学者、河盛好蔵である。」
これ魅力あるコラムなので、引用しておきます。
「昭和30年代の週刊誌の連載エッセーを束ねた本だが古さを感じさせない。ものわかりのよい振りをしてその実、心の通い合わない親子より、衝突したり許し合ったりできる『愉快な関係』が好ましいと河盛は説き、子供を叱るべき時に叱らないのは親として無責任なだけでなく、『第一薄情なやりかたである』という言い方で諌める。なかでも心に残ったのは、親子の会話は大切だが、大事な議論よりもまず日常の些事をいかに面白く相手に聞かせるか、互いにシャベリを磨けとの提言だ。『くだらないおしゃべりをしている間に、正面切っては言いにくいことを、巧みに伝える技術を覚えるのである』」
それじゃ、全文引用。
この後が、すばらしいのでした。
「東京・秋葉原の殺傷事件以降、親子のあり方という問題が世の関心を集めているが、事件後の識者のコメントの多くは、容疑者の親子関係がどうダメかに言及するのみで、げんなりさせられた。今時の学者センセイは、河盛のように、経験と教養と想像力を総動員して人の心の機微に分け入り、望ましい親子関係を打ち出し得ないのか。脳科学などでは解明しきれない人間関係という七面倒くさい主題に食い下がり、東西の文学から落語まで引き合いに出し、タテ横斜めに考察を重ね、しかもそれを平易で感じのいい文章で表現してくれるような学者はいないのか。本書はもっと読まれるべき好著だと思う。」
ところで、イタクラヨシコさんというのは文筆業とありますが、どんな方?まず先に、河盛好蔵著「親とつき合う法」(新潮文庫)を読みたくなりました。
じつは、河盛好蔵著「人とつき合う法」(新潮文庫)は読んだことがあり、感銘しておりました。といっても、だいぶ前なので、もう内容も霞んでおります。その時に、古本で河盛好蔵著「親とつき合う法」(新潮文庫)を買ってあったのです。けれども、こちらは読む気が起こらなくって(いつものことなのですが)、そのままになっておりました。このイタクラヨシコさんのコラムで俄然読みたくなりました。有り難い。ありがたい。私にとって、ありがたいコラムなのでした。
そういえば、渡部昇一著「父の哲学」(幻冬社)というのも今年出ております。「親とつき合う法」は、どうやら父親がテーマとなっているようなのでした。