和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

寅彦バイオリン。

2010-04-23 | 短文紹介
買ってあった末延芳晴著「寺田寅彦バイオリンを弾く物理学者」(平凡社)をとりだして拾い読みしております。

とりあえず、気になる箇所だけ、拾い読みしております。
そこに、思わずうなずく箇所がありました。

「夏目漱石の出世作『吾輩は猫である』は、『坊つちやん』と並んで、誰もが一度は手にしたことのある人気小説である。ただ、小説は意外に長く・・・また、漱石一流の警句や難しい漢語、熟語、ことわざ、蘊蓄を傾けた議論がびっしり詰め込まれているので、結構読みにくく、最後まで読み通した人は意外に多くないのではないか。そのため、最終章で登場人物の寒月が語る、バイオリン購入にまつわる苦労談の面白さを知る人が少ないのは残念である。漱石は、『吾輩は猫である』のエンディングで『猫』を死なせるまえに取って置きの面白い話をと思い、寅彦から聞いた、バイオリンを買い初めて弾いてみたときの話を落語ふうに面白おかしく膨らませて書いたのが、寒月が語る出色の滑稽譚である。・・・こうして『猫』の最終章まで書き継いできて一年半、寒月の絶妙にユーモラスな語り口は、小説家として夏目漱石がすでに無類に自在な筆と想像力の働きを手中に収めていたことを証明してあまりあるだろう。場面は例によって・・・・」(p252~253)

う~ん。漱石と落語ということで、
水川隆夫著「漱石と落語」をさっそく注文したりするのでした。
まだ、末延芳晴氏のこの本をまともに読んでいないというのに。
コメント
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