中西輝政著「日本人が知らない世界と日本の見方」(PHP)を読みました。
まだ「国民の文明史」の読みが途中なのに(笑)。
さて、「世界と日本の見方」には帯に「人気の京大講義録」とあります。
うんうん。社会人も聴講するという、その方々はどんなだろう。
そこからの連想で、何げなく思い浮かんだが扇谷正造でした。
扇谷正造氏は「週刊朝日」を百万部雑誌に育てたという編集長でした。
その雑誌について、草柳大蔵氏に扇谷氏は語ったそうです。
「それから、キミ、平均的読者像を『旧制高女プラス生活経験十年』においたんだ。企画も文章もグラビアも全部だよ」。
さてっと、この「世界と日本の見方」のまえがきは、こうはじまります。
「本書は、私が京都大学で2008年の前期に『現代国際政治』という名称で行なった講義をまとめたものです。」
さて、中西さんはどのような講義をめざしたのか
「国際政治学という学問は『大人の学問』です。・・『人間』というものを肌身でわかっていてはじめて深く理解できる学問だ、ということです。その点で、社会経験に乏しい二十歳代の若い学生諸君の関心を起こさせることにいつも苦労してきました。
どこにでもある教科書的な話をするのではなく、何とかして国際政治の矛盾とジレンマに満ちた実態を体感できるようにしたい。・・また、この年ぐらいから『ゆとり世代』の学生が多くなり、大切な歴史を学んでこなかった若者を強く意識し、『現代』国際政治と銘打っているのに歴史の話題をとりわけ多く盛り込んで話すことにしました。・・『大人の学問』を学ぶ一番よい方法は、やはり『歴史から学ぶ』ということなのでしょう。」
そして第一講は、1916年の『ソンムの戦い』について、語りはじめます。
そこをすこし引用。
「ヨーロッパ人なら誰でも知っている戦いが北フランスの戦場で行われました。ソンムでは一日に兵士が七万人、戦死したこともあるほどで、若者の兵士はほとんど無防備のまま、ただゆっくり歩いて敵陣に向かっていったといいます。おまけに連合軍の司令部は最前線で何が起こっているか、何も把握していませんでした。というか、気にしていない。・・ソンムの戦いは三カ月続き、計三六万人が命を落としました。ほとんどがイギリスの若者で・・・実際イギリスやフランスは、第二次世界大戦よりもこの第一次世界大戦での戦死者のほうが多いのです。日本人にはあまり知られていないことですが、第一次世界大戦というのは、それほど西欧の歴史に大きな衝撃となって残っているのです。しかも、その衝撃のより深刻な帰結は、民主主義国の政府の『無能と欺瞞』に人々の眼が向けられたことでした。」
そこから、具体的に語られた、六ページあとには、こんな箇所
「こうしたことを考えると、戦争の原因は軍国主義とか領土争いといった単純なものではないことがよくわかるでしょう。むしろ民主主義が小さな戦争を大戦争にまで昂じさせることもあり得る、ということがわかります。」
うん。どうです。講義を最後まで聴きたくなりますでしょうか?
さて、中西輝政の他の著作を数冊、また古本屋に注文したのでした。
まだ、手元の本を読んでもいないというのにです(笑)。
まだ「国民の文明史」の読みが途中なのに(笑)。
さて、「世界と日本の見方」には帯に「人気の京大講義録」とあります。
うんうん。社会人も聴講するという、その方々はどんなだろう。
そこからの連想で、何げなく思い浮かんだが扇谷正造でした。
扇谷正造氏は「週刊朝日」を百万部雑誌に育てたという編集長でした。
その雑誌について、草柳大蔵氏に扇谷氏は語ったそうです。
「それから、キミ、平均的読者像を『旧制高女プラス生活経験十年』においたんだ。企画も文章もグラビアも全部だよ」。
さてっと、この「世界と日本の見方」のまえがきは、こうはじまります。
「本書は、私が京都大学で2008年の前期に『現代国際政治』という名称で行なった講義をまとめたものです。」
さて、中西さんはどのような講義をめざしたのか
「国際政治学という学問は『大人の学問』です。・・『人間』というものを肌身でわかっていてはじめて深く理解できる学問だ、ということです。その点で、社会経験に乏しい二十歳代の若い学生諸君の関心を起こさせることにいつも苦労してきました。
どこにでもある教科書的な話をするのではなく、何とかして国際政治の矛盾とジレンマに満ちた実態を体感できるようにしたい。・・また、この年ぐらいから『ゆとり世代』の学生が多くなり、大切な歴史を学んでこなかった若者を強く意識し、『現代』国際政治と銘打っているのに歴史の話題をとりわけ多く盛り込んで話すことにしました。・・『大人の学問』を学ぶ一番よい方法は、やはり『歴史から学ぶ』ということなのでしょう。」
そして第一講は、1916年の『ソンムの戦い』について、語りはじめます。
そこをすこし引用。
「ヨーロッパ人なら誰でも知っている戦いが北フランスの戦場で行われました。ソンムでは一日に兵士が七万人、戦死したこともあるほどで、若者の兵士はほとんど無防備のまま、ただゆっくり歩いて敵陣に向かっていったといいます。おまけに連合軍の司令部は最前線で何が起こっているか、何も把握していませんでした。というか、気にしていない。・・ソンムの戦いは三カ月続き、計三六万人が命を落としました。ほとんどがイギリスの若者で・・・実際イギリスやフランスは、第二次世界大戦よりもこの第一次世界大戦での戦死者のほうが多いのです。日本人にはあまり知られていないことですが、第一次世界大戦というのは、それほど西欧の歴史に大きな衝撃となって残っているのです。しかも、その衝撃のより深刻な帰結は、民主主義国の政府の『無能と欺瞞』に人々の眼が向けられたことでした。」
そこから、具体的に語られた、六ページあとには、こんな箇所
「こうしたことを考えると、戦争の原因は軍国主義とか領土争いといった単純なものではないことがよくわかるでしょう。むしろ民主主義が小さな戦争を大戦争にまで昂じさせることもあり得る、ということがわかります。」
うん。どうです。講義を最後まで聴きたくなりますでしょうか?
さて、中西輝政の他の著作を数冊、また古本屋に注文したのでした。
まだ、手元の本を読んでもいないというのにです(笑)。