和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

諸新聞が持ち上げる。

2011-11-11 | 短文紹介
中西輝政著「国民の文明史」を後半から読んでいます。
目の前の霞が晴れてゆくような読書経験。

さてっと、おかげで、新聞での論が納得してよめます。
たとえば、産経新聞の「正論」欄。
11月8日は古田博司氏の「中国ブロック朝鮮半島に広がる」でした。
ここでは、古田氏の文の紹介。

TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)にふれて

「国力の強い国と弱い国が藩主の如く集まり、経済諸藩国のようにブロック化する。・・今の世界には、古いブロック化と、新しいブロック化が併存しているのだ。ゆえにTPPを作らなければ、中国が古いブロック化を試みてこよう。これを防ぐためにも、環太平洋の国々がこぞって新しいブロック形成へと向かっているのは意味がある。
中国が参加しなければ外需は取り込めないから、中国を入れてFTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)にしようなどというアジア主義者が後を絶たない。だが、中国とブロック化すれば政治的意図でレアアースを止められたりし、王国の臣下扱いに甘んじなければなるまい。・・新しいブロックに参加しなければ日本は過去に引き戻されることになる。歴史好きの日本人でも、それを良しとしないと信じたい。」

その後に、韓国の例をひいております。

「諸新聞が、『かけがえのない隣人』『未来志向の隣国』『世界市場のライバル』と、競って持ち上げる近くて遠い国の韓国は今、FTA(自由貿易協定)で活況のように見える。だが、経済はともかく、国同士の勝負では北朝鮮が圧倒したのを忘れてはならない。核をナイフだとすれば、刺す必要はない。ナイフで右頬と左頬をなでられれば手も足も出ない。右頬は昨年3月の韓国哨戒艦撃沈であり、左頬は11月の延坪島砲撃である。今年6月には、韓国政府が北朝鮮の謝罪を穏便にし、首脳会談をしようと金銭で誘ったことを北朝鮮の国防委員会に暴露され、韓国国会は大いに荒れたものの、結局、泣き寝入りに終わった。」

古田氏の御専門の北朝鮮も、おさらいをしております。

「北朝鮮の経済が破綻していることはすでに皆が知っている。
1993年には計画経済を放棄し、
90年代後半には『苦難の行軍』という飢饉時代で多くの人口を失った。昔の中国の大躍進と文化大革命の時代に似ている。人民を、勝手に食ってろと放り出し、国力を核開発に集中させた。そして核を手に入れた結果、韓国で左派政権が立てば韓国が北を支援、右派政権が立てば中国が援助するという『たかり国家』の体制を築き上げた。もはや、北朝鮮が経済破綻で滅亡することはないのである。」

そして古田氏は「韓国のFTAの活発化」の状況を、数字をもって解析してみせます。

「韓国企業はすでに多くがグローバル化している。韓国に本社がある必要はない。韓国人の米国への脱南移民はすでに推定300万人を超えている。・・・韓国が『ホンコン化』したときこそ、『サウス・コリア』という土地の経済発展に最も尽くす基盤整備となることであろう。」



「平和憲法」のもと、隣国との経済利益を優先していると、もはや、取り返しのつかないことになっていきそうです。
もどって、中西輝政著「国民の覚悟」(到知出版社)に、中国の軍備の現在の状況を語ったあとに、こんな言葉がありました。
「日本は、本当は震災や原発事故などとは比べものにならない危機にさらされているのです。なぜ、このことに気がつかないのでしょう。」(p98)

それにしても、軍備を除外すれば
FTAAP(アジア太平洋自由貿易圏)というのは、
何か自由の希望みたいな、夢みたいな訳語なんだなあ。
その昔、隣国の指示にしたがって、
「朝鮮民主主義人民共和国」という、
まるで民主主義でもあるかのような夢のような言葉を
毎回、新聞は掲載しておりました。
それに対して、
TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)というのは、
なんとも、夢がない、
経済でありながら、「戦略的」という言葉通りではあります。


そうそう。
詩人のことばに、こんなのがありました。

  
  夢がほしい
  などとおろかなことを言うな。
  夢から逃れることに
  日夜 辛苦している心が
  いくつもあるのだから。








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