Jレスキュー編「ドキュメント東日本大震災」(イカロス出版)に、消防団のことが取り上げられておりました。岩手県陸前高田市 陸前高田市消防団高田分団。分団長大坂淳氏。ここでの分団長ほか団員の活動に敬意を抱きます。その中の、火災についての箇所。
「ところで発災後の遺体捜索で忙しい中、高田町ではいつになく火災が発生した。塩水に浸かったハイブリッド車の電池が化学反応を起こし、発火して火事になった。津波の被害を受けていない家が庭先でゴミや草を燃やし、燃え広がって山火事になった事例も複数あった。かつて6台あった消防団のポンプ車は津波で5台が流されている。水は止まっていて消火栓は使えない。雨も降っていない。水タンクがついていない消防団のポンプ車の場合、水利はすべて現場調達だ。火災現場では小川を土嚢で堰き止め小さな水たまりを作り、細々と注水するなど苦労を強いられた。いくら町が被災して厳しい状況にあっても、被災していない家にとっては以前と変わらない日常が続いている。不注意による出火が、こうした状況下でどれほどの事態を招くことになるのか、日常の延長で生活している人は気付きにくい、あるいは気付こうとしない。『ばあちゃん、なぜ、水ないのわかってんのに燃やすだよ。どーすんだよ。山火事になっちまってよ』同じ自治体の住民でも、被災した人間と被災していない人間の感覚は正反対といえるくらい違う。それもまた、被災地の現実なのである。」(p78~79)
被災して罰を覚悟で、火を燃やすこともあり、
被災していない場所で、何気なく火を燃やすこともある。
「ところで発災後の遺体捜索で忙しい中、高田町ではいつになく火災が発生した。塩水に浸かったハイブリッド車の電池が化学反応を起こし、発火して火事になった。津波の被害を受けていない家が庭先でゴミや草を燃やし、燃え広がって山火事になった事例も複数あった。かつて6台あった消防団のポンプ車は津波で5台が流されている。水は止まっていて消火栓は使えない。雨も降っていない。水タンクがついていない消防団のポンプ車の場合、水利はすべて現場調達だ。火災現場では小川を土嚢で堰き止め小さな水たまりを作り、細々と注水するなど苦労を強いられた。いくら町が被災して厳しい状況にあっても、被災していない家にとっては以前と変わらない日常が続いている。不注意による出火が、こうした状況下でどれほどの事態を招くことになるのか、日常の延長で生活している人は気付きにくい、あるいは気付こうとしない。『ばあちゃん、なぜ、水ないのわかってんのに燃やすだよ。どーすんだよ。山火事になっちまってよ』同じ自治体の住民でも、被災した人間と被災していない人間の感覚は正反対といえるくらい違う。それもまた、被災地の現実なのである。」(p78~79)
被災して罰を覚悟で、火を燃やすこともあり、
被災していない場所で、何気なく火を燃やすこともある。