藤原智美著「文は一行目から書かなくていい」(プレジデント社)は、簡潔ながら、印象に残ります。この題名を見たときに、すぐ思い浮かんだのは、本は最初から読まなくてもいい、ということでした(笑)。まあ、そういったお気楽な気持で後ろから読み始め、わかりやすい言葉つかいに感銘を覚えました。
最近は、本を読むのは、手元に読み返すための本を選ぶためじゃないのかなあと思うようになりました。この本を読んで、本棚からとりだしてきたのは、
清水幾太郎著「私の文章作法」(中公文庫)
板坂元著「考える技術・書く技術」(講談社現代新書)
板坂元著「続考える技術・書く技術」(講談社現代新書)
この3冊をめくると、
あれ、今まで私は何を読んでいたのだろう?
読み飛ばしていた箇所に気づいたりします。
たとえば、「続考える技術・書く技術」の最初の方に
方丈記が登場しておりました。
「いつか教室で『方丈記』を教えていたら、学生の一人が『先生、この感じは現代に似てますね』と発言した。なるほどいわれてみると、鴨長明は考えられるかぎりの悲観的材料を並べたてている。とにかく、この世界は破滅に向って、ひたむきにつっ走っている、といった感じは、奇妙に現代人の感覚に似ている。・・・」(p17~18)
ちなみに、「続考える技術・書く技術」は1977年9月第一刷。
2012年の現代の感覚にも似てる。
ということは、鴨長明は普遍的な日本人の感覚を書きとめていたの?
それは別として、
「文は一行目から書かなくていい」の最初の方に
こうありました。
「一人を納得させられる文章というのは、結果的にほかの人の心まで動かしてしまうものです。幅広く賛同を得ようとして丸くなってしまった文章より、けっきょくは多くの支持を集められるでしょう。
特定の人を想定することが大事なのは、小説やエッセイも同じです。おおまかな読者層をイメージしている書き手は多いかもしれませんが、『層』に顔はありません。具体的な顔を思い浮かべて、この人はこれでおもしろがってくれるだろうか、涙してくれるだろうかと考えながら書くほうが、文章にも緊張感が出ます。・・・『いつかどこかで誰かが認めてくれる』では文章はうまくなりません。」(p30~31)
「『層』には顔はありません。」といえば、
宮崎駿が造形したカオナシを思い浮かべたりします。
ブログと「『層』には顔はありません」と、
そういえば、BK1がなくなり、
辻和人さんの書き込みが読めなくと残念なのが、
こういうことを書いている原因かもしれません(笑)。
さて、藤原智美さんの本では、先の方には、こうもありました。
「『みんながこういっているから乗っかっておこう』『こう書いておけばみんな共感するだろう』という落としどころが先にある文章は、そこに当てはめるようにして言葉を探すから、借り物のにおいが漂って説得力を失うのではないでしょうか。」(p93)
最近は、本を読むのは、手元に読み返すための本を選ぶためじゃないのかなあと思うようになりました。この本を読んで、本棚からとりだしてきたのは、
清水幾太郎著「私の文章作法」(中公文庫)
板坂元著「考える技術・書く技術」(講談社現代新書)
板坂元著「続考える技術・書く技術」(講談社現代新書)
この3冊をめくると、
あれ、今まで私は何を読んでいたのだろう?
読み飛ばしていた箇所に気づいたりします。
たとえば、「続考える技術・書く技術」の最初の方に
方丈記が登場しておりました。
「いつか教室で『方丈記』を教えていたら、学生の一人が『先生、この感じは現代に似てますね』と発言した。なるほどいわれてみると、鴨長明は考えられるかぎりの悲観的材料を並べたてている。とにかく、この世界は破滅に向って、ひたむきにつっ走っている、といった感じは、奇妙に現代人の感覚に似ている。・・・」(p17~18)
ちなみに、「続考える技術・書く技術」は1977年9月第一刷。
2012年の現代の感覚にも似てる。
ということは、鴨長明は普遍的な日本人の感覚を書きとめていたの?
それは別として、
「文は一行目から書かなくていい」の最初の方に
こうありました。
「一人を納得させられる文章というのは、結果的にほかの人の心まで動かしてしまうものです。幅広く賛同を得ようとして丸くなってしまった文章より、けっきょくは多くの支持を集められるでしょう。
特定の人を想定することが大事なのは、小説やエッセイも同じです。おおまかな読者層をイメージしている書き手は多いかもしれませんが、『層』に顔はありません。具体的な顔を思い浮かべて、この人はこれでおもしろがってくれるだろうか、涙してくれるだろうかと考えながら書くほうが、文章にも緊張感が出ます。・・・『いつかどこかで誰かが認めてくれる』では文章はうまくなりません。」(p30~31)
「『層』には顔はありません。」といえば、
宮崎駿が造形したカオナシを思い浮かべたりします。
ブログと「『層』には顔はありません」と、
そういえば、BK1がなくなり、
辻和人さんの書き込みが読めなくと残念なのが、
こういうことを書いている原因かもしれません(笑)。
さて、藤原智美さんの本では、先の方には、こうもありました。
「『みんながこういっているから乗っかっておこう』『こう書いておけばみんな共感するだろう』という落としどころが先にある文章は、そこに当てはめるようにして言葉を探すから、借り物のにおいが漂って説得力を失うのではないでしょうか。」(p93)