和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

積書25センチ。

2012-11-11 | 短文紹介
磯田道史著「歴史の愉しみ方」(中公新書)。
まえがきに、
「第4章『震災の歴史に学ぶ』であり、ここは、とくに読んでいただきたい一章である。」とあります。ハイ、わかりました。と、第4章を読むことにしました。

そこに東日本大震災のことが書かれております。

「震災以来、水戸でも余震が激しく、一日四十回以上揺れた日はまるで舟の中にいるようだった。私のいる茨城大学の図書館も被災した。書庫の床は積雪ならぬ積書25センチになり立ち入り禁止となった。本にお辞儀をして、靴を脱ぎ、生まれてはじめて本の上を歩き、必死で『三代実録』と『駿府記』を探した。今回にそっくりな大地震と津波は1100年前と400年前に最低二回起きている。この二冊にそれが記されているから立ち入り禁止でも危険でも書庫に押し入って探すことにした。」(p129)

「・・床に25センチの厚さで積もった本の上を裸足で歩き、『大日本地震資料』と『新収日本地震資料』を探し回った。過去に起きた巨大地震の経過をさぐり、この先のことを考えようと思った。地震記録をみて感じた。今後も、この島国ではしばらく地震が続くかもしれない。私も何かしなくてはいけない。理系の研究者と歴史学者が地震津波を研究する『歴史地震研究会』に入会することにした。」(p132)


「・・次は強いほうの東海大地震、人口集中地に15メートルの巨大地震がきても不思議ではない時期にさしかかっているといっていい。わたしは歴史学者として、この安政・宝永・明応津波に関心をもった。それでわたしは『武士の家計簿』を探しだしたり、『忍者の履歴書』をみつけだしたり、古文書をみつけるのがはやいので、歴史時代の地震津波の古文書をさがすのは、自分が適任であると考え、津波常襲地の浜松市にある静岡文化芸術大学に職を得て、2012年4月から移住して、研究をはじめた。」(p151)

その研究の内容を、この第4章で知ることができる、というわけです。
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