和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

ブロックを積む人。

2013-04-24 | 短文紹介

曽野綾子・金美齢対談「この世の偽善」(PHP)に
こんな箇所がありました。

曽野綾子】 ええ。ものづくりというのは、とどのつまり辛抱なんです。私は若い頃から書くことが好きでした。作家になってからほとんど一年も休まずに書いてきて、いつの間にか五十八年になります。正確に数えたことはありませんが、書いた量は四百字の原稿用紙で十五万枚以上になるでしょう。計算すると六千万字なんですね。私は書く職人になっていたわけです。怠け者なので、ほんとは毎日寝ていたいと、しじゅう思い続けてはいましたが(笑)、職人としての辛抱はあったのだと思います。いいえ、辛抱できる性格なしに長い作品は書けないんでしょうね。いつか小説家の仕事は何に似ているかと人に聞かれて、考えたらブロックを積む人に似ていました。ブロックを積む職人さんは四角いものを積むでしょう、私も毎日毎日四角い升目を埋めるし、ああ、これは同じだなあと。(p80~81)
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