和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

書物随筆の醍醐味。

2015-04-11 | 道しるべ
谷沢永一著「紙つぶて
自作自注最終版」(文藝春秋)の
白い表紙カバーが汚れるので
私なりに解決することに(笑)。

毎年無料で頂く薄茶色紙の
月一枚ずつの切り取りカレンダー。
その一枚の端をカバーの内側へと
折って包みこむ。それだけで完了。
折れば、ちょうどいいサイズ。
カレンダーは、各日付下に
メモ用数行余白のシンプルなもの。
カレンダーの曜日を表に出して折る。
それが、私のこだわり(笑)。

さてっと、これで本カバーの汚れが
気にならなくなる。改めて「紙つぶて」
をめくるって気になったのは、
自作自注のこの箇所でした。

「昨今の書物に関する本がぼちぼち
出はじめて楽しみを増してくれる。
ただし書評や書物随筆の醍醐味は、
取り上げた一冊にこだわらず、
それに関連する読書の話題を、
適宜に繰り出す手法にある。
この要点を忘れたら
筆致が痩せ細って味気ない。・・・・
正反対なのは向井敏の
『残る本残る人』の周到な構成である。・・
また『読書遊記』では・・・・・
また『机上の一群』では、十二頁を費して、
近代日本の文体形成史を辿っている。
杉谷代水の『作文講話及文範』を
巧みに活用して、尾崎紅葉の貢献を確認した。
・・」(p421)


こうして読書地図を示されて、
本を広げない手はない。

向井敏の
「残る本 残る人」
「読書遊記」
「真夜中の喝采 新編読書遊記」
「机上の一群」
「贅沢な読書」

をかき集めてくる。
うん。「また楽しからずや」。

ついでに、
尾崎紅葉著「多情多恨」(岩波文庫)
小松太郎訳「人生処方詩集」(ちくま文庫)
和田誠訳「オフ・オフ・マザーグース」(ちくま文庫)


おもむろに、「読書遊記」の
「後記」をひらいてみると、

「総題を『読書遊記』とした・・
・・・こういう苦労は
古来『遊記』を名のる本の宿命らしい。
呉承恩の『西遊記』をごらんなさい、
橘南谿の『東西遊記』をごらんなさい。
題こそ『遊記』でも、じつは艱難辛苦の
物語なので、『難記』とするほうがむしろ
ふさわしいものばかりです。・・・」

え~と。橘南谿といえば、
「紙つぶて自作自注最終版」の右ページ。
p532に、こんな箇所がありました。

「『江戸時代の書物の中で、
一番面白くないものはと問われたら、
私は躊躇なく雅文の紀行類を挙げる』
と中村幸彦は断言、
雅文の紀行と区別して、
『俗文で見聞の実を記し、奇を伝えたもの』
を旅行記と称し、
『雅文の紀行より遥かに文学的と思われる』
この種の俗文の旅行記が、
『文学史上に採り上げられたのは全くない』
という、その不審を鋭く衝いている。
橘南谿や古川古松軒や
松浦武四郎や高山彦九郎や横井金谷を
すべて排除した近世文学史の、
なんと無知偏狭なことよ。」


うん。私自身の『無知偏狭』を、突き崩すべく、
ともかく、読む読まないは別として(笑)、
橘南谿著「東西遊記」を座右に
置きたく思う。
桜も散り始め、薄寒空の今日は4月11日。
コメント
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