和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

明治期の文章論、文章作法。

2015-04-12 | 道しるべ
向井敏著「本のなかの本」に
中野重治『本とつきあう法』を
とりあげた魅力の一文があり、
忘れがたい。題して
『読書遍歴の醍醐味を披露』。

この一文に誘われて、以前に
芳賀矢一・杉谷代水共著の
『作文講話及文範』
『書簡文講話及文範』
を古本で購入したのでした。
内容はもう忘れるほどの
パラパラ読みでしたけど(笑)。

さてっと、
向井敏著「机上の一群」に
「近代日本の文体を定めた『多情多恨』」
という一文があって、そのはじまりは、

「杉谷代水の『作文講話及文範』
(上下二巻。名義上は芳賀矢一との共編。
初刊明治45年、冨山房。のち、上巻のみ、
講談社学術文庫)は、
五十嵐力の『新文章講話』
(初刊明治42年、早稲田大学出版部)と並んで、
明治期の文章論、文章作法を代表する力作・・」


ハイ。ここに、さりげなく
五十嵐力著「新文章講話」が出てくる。
う~ん。「力作」とあります。
本棚の
『作文講話及文範』の隣に
まるで、レモンでもおくように
五十嵐力著「新文章講話」を
並べることにします(笑)。


ところで、
五十嵐力の「新文章講話」というのは
どういう位置付けなのかと

まずは
斎藤美奈子著「文章読本さん江」の
引用文献/参考文献を見ると、
「文章史・作文教育史関係」の
最初の一冊目にありました。
その道ではよく知られている
本なのかもしれませんね。

つぎに、とりだすのは
谷沢永一著「大人の国語」(PHP)の
「附録『文章読本』類書瞥見」
こちらは、年代順にならび、
二番目にありました。
数行の引用がありがたい。
その箇所は

「五十嵐力(ちから)『新文章講話』明治42年
〈広告文〉
本書出でて忽ち十版を重ね、
本書の用語は我が文章界の通用語となり、
本書の組織は我が教育界に於ける文章教育の基礎となった。
本書は実に我が文章界に於ける空前の著述である。」

気になりますが、これを読んだだけじゃ。
私に、読む気はおこらないなあ。

ついでですから、この「類書瞥見」から
ここも、引用しておきます。

「芳賀矢一・杉谷代水合編
『作文講話及文範』大正14年
〈中野重治評〉
ところで文章の書き方について学ぶには
何を読んだらいいか。僕は太鼓判をおして
この書を推す。ああ、学問と経験のある人が、
材料を豊富にあつめ、手間をかけて、
実用ということで心から親切に書いてくれた
通俗の本というものは何といいものだろう。」


さてっと、私事、
読む読まないは度外視して、
まず、本棚へ肩を並べて、
置いとくことに(笑)。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする