和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

歌屏風。

2016-01-09 | 絵・言葉
高階秀爾著「日本人にとって美しさとは何か」(筑摩書房)
の最初は講演のようです。題して
「言葉とイメージ 日本人の美意識」。

そこから引用。

「お渡しした資料に一つだけ、お祝いの歌、
賀の歌というのを出しておきました。
『春くれば宿にまづ咲く梅の花きみが千年(ちとせ)
のかざしとぞみる』、これは紀貫之がつくった歌
で前書に『本康の親王の七十の賀のうしろの
屏風によみてかきける』とあります。
『七十の賀』というのは、
今でも還暦のお祝いとかありますが、
それと同じようなもので当時は四十の賀から
始めたそうですけれども、四十になったとか、
五十になったとか、あるいは何かおめでたいことが
あったというときにお祝いをする。そのときに
お祝いの歌を詠む。そのお祝いの歌を集めたのが
『古今和歌集』にたくさんあります。
その前書に、お祝いの場の、
『うしろの屏風によみてかきける』とある。
つまり、お祝いの場で歌を詠んで、そして
屏風に書いたんですね。これは『屏風歌』と
呼ばれるもので、当時はいっぱいあった。
『古今和歌集』や、それ以外の和歌集にも
数多く残っています。ただ残念ながら屏風は
残っていません。歌を書き込んだ屏風を
『歌屏風』と読んでいますが、
歌屏風もいっぱいあったはずです。
つまり、屏風に絵が描いてあって、
その絵を見て歌人が歌を詠み、
屏風に書きつける。
直接書きこんだか、あるいは色紙のような
ものに書いて貼りつけたか、
やり方はさまざまだったでしょうが、
そこでは言葉とイメージが一つになって、
豊かな交響的世界が展開される。
もちろんこのような屏風は残っていないんですが、
歌と絵というのは昔から非常につながりが
あったということがこのことからもわかります。」
(p17~18)

さてっと、
次は『古今和歌集』をひらきたくなります(笑)。
コメント
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