古本で意外と手に入らないのが、
寿岳章子著「暮らしの京ことば」(朝日選書・1979年)。
今日のネット古本で2000円~3000円くらい。
まあ、手にすることはできます(笑)。
さてっと、今日の古本ネット検索で
見つけられなかったのが、山岡憲之著
「京都のフォークソング」(ユニオン・エー 2018年)。
手にはいらないとなると、貴重です(笑)。
その「京都のフォークソング」から引用。
本の帯には
「1960年代後半から
1970年代前半まで
京都はフォークの聖地だった」とある。
ところで、
寿岳章子著「暮らしの京ことば」のなかに、
週刊誌(昭和52年11月1日号)に掲載された対談が
二回にわたって紹介されております。週刊誌の題は
『自由な空気としたたかな美意識がぼくらを育てた』。
対談者は、沢田研二と加藤和彦。
これが、印象に残っておりました。
それが気になっていたせいか、
「京都のフォークソング」が
古本で定価の半額で見つけた際に、
買っておきました。
うん。「暮らしの京ことば」の、
その対談から引用したいけれども、
「京都のフォークソング」は、
ちょっと手に入らなさそうなので、
こちらから、引用することに(笑)。
この本、いろいろな方にインタビューして
一冊となっております。その終りの方に、
松本隆氏へのインタビューがあります。
本人紹介にはこうあります。
「1949年生まれ。慶應義塾大学在学中に
細野晴臣、大瀧詠一、鈴木茂と『はっぴいえんど』を結成、
作詞家とドラマーを担当した。『はっぴいえんど』では
岡林信康や高田渡らとセッションを重ねる。・・・・・・・」
(p216)
うん。このインタビューから、この箇所を引用
松本】 あのね。京都のいいところっていうのは、
古いものを大事にするっていうのがあるじゃない?
同じくらい、けっこうパンクな人たちがいたりとか、最先端なの。
ある意味東京より先に進んでるみたいな。
それはなぜだかはわからないんだけど・・・・・
・・・大事に守っているとさ、だんだん古典もさびれて来る。
で、どこかで新しい何かを入れないと古典も続かない。
それがなんかさ、京都って上手くいっているじゃない?
新しい血の入れ方。それは伝統を守るだけじゃなくてさ、
革命を起こしながら守っている。それが京都のあり方だと思う。
それがすごくね、文化にとって、日本の中で
一番バランスがいい形で存在していると思う。
東京はね、
文化が経済にむしばまれているから、
もう虫の息みたいな感じなのね。
テレビの力が強い時代はそれでも
成り立っていたんだけど、
テレビの力も今弱くなってるから、
ずっと迷走してるよね。
ーー当時は、むしろラジオがよく
聞かれていた時代ですか?
松本】 いや、京都に来ると
テレビもラジオもないのね。ライブがある。
それがいいんじゃないかな。あんまり
京都はメディアの支配を受けていないのね。
昔も今も。
だってメディアを利用した人は
東京に行っちゃったもんね。
ーーーすごい名言ですね。京都は
メディアの支配を受けていないんですね。
松本】 受けていないから京都である。
で、大阪はどっちつかずで、よくわからない。
どちらにもなれないから、とりあえず
吉本で笑って暮らそう、みたいなね。
(p228~229)
これを読んでからあらためて
寿岳章子著「暮らしの京ことば」に
登場していた
沢田研二と加藤和彦の対談を読み直す。
「東京に行っちゃった」。その二人の対談。
このインタビューから対談へと順に読むと、
ぐっと奥行きのある味わいを楽しめました。