「いじわるばあさん」第四巻のp21でした。
ご婦人が3人タスキをかけて壇上に上がって。
演題の題目を背後の壁に掲げるのを見守っております。
そんなふうにしてはじまる四コママンガです。
①係の方が演題を3つ、背後に貼っている。
「ふうきを守る会」
「売春をなくそう!」
「赤線ふっかつさせるな!」
②タスキをかけた、いじわるばあさんが、
マイク係なのか、マイクの調節をしている。
他の人は、演台を運び込んだり、指示したり。
③いじわるばあさんが
『アー.アー.あれじゃ男はやりきれまい。
只今 マイクのテスト中・・・・』
④ばあさんが『では、どーぞ』と挨拶し
3人の講演者へと、マイクをすすめている。
はい。四コマで、時事問題をとりあげるのは至難の業。
ここは、いじわるばあさんの心意気だけで終ってます。
今日は、朝BSの「まあ姉ちゃん」を途中から見ました。
ちょうど吉田首相のワンマンをとりあげて、家の母も
ワンマンだと声高に笑っておりました。
はい。ここから『長谷川町子 思い出記念館』を引用。
ここには、インタビュー記事も載っています。
昭和26年11月号『キング』のインタビューに、
質問『吉田首相をどう見ますか?』
町子『右顧左眄(うこさべん)しないところが頼もしい』(p28)
さてっと、はじめ引用した四コマの『いじわるばあさん』の
その延長で、まるで町子さんが壇上で講演するような箇所がありました。
四コマには収まり切れない内容です(「婦人朝日」昭和26年6月号)
最初の質問は
『今月の婦人週間のスローガンは
≪ 社会のために役立つ婦人になりましょう ≫でした』。
つぎの質問『現在どんな人が、社会に役立っていると思いますか』
その質問に、長谷川町子さんは答えております。
はい。これは四コマに盛り込めないテーマでした。
それなので、最後はその町子さんの答えを全文引用。
「『兄弟喧嘩がなくなったら、戦争も世界から消えるだろう』
とだれかが申しました。社会のユガミや不安というものを、
私たちは単なる社会問題と見て、それが自分たちの悪意や
自己中心の大きな集積であることを忘れがちであります。
そして個人の改善をよそにして、社会の改善がありうる
かのように考えております。
啓蒙運動とか社会事業とかいうものも、
もちろん有意義な企てに違いありませんが、
それは世の中をよくする力そのものではなく、
改善は、一人ひとりが自分の生活において、
まずはじめなければならないものでありましょう。
もし、正しく信じ、忠実に行い、母として、主婦として、
また隣人として、常に温かく誠実な一人の女性であるとしたら、
社会にどんなに見映えしない存在であろうとも、その人こそ、
世の中を善くする大きな原動力であると思います。
そして私もまた、このような女性にならいたいと思います。」
はい。マンガに収まらない、長谷川町子さんの肉声を拾えた気がしました。
うん。サザエさん家の兄弟喧嘩を、いまいましく思う、勢力がいたのかも。