和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

舌足らず。

2022-03-02 | 本棚並べ
「いじわるばあさん」第四巻のp21でした。
ご婦人が3人タスキをかけて壇上に上がって。
演題の題目を背後の壁に掲げるのを見守っております。
そんなふうにしてはじまる四コママンガです。

①係の方が演題を3つ、背後に貼っている。
 「ふうきを守る会」
 「売春をなくそう!」
 「赤線ふっかつさせるな!」

②タスキをかけた、いじわるばあさんが、
 マイク係なのか、マイクの調節をしている。
 他の人は、演台を運び込んだり、指示したり。

③いじわるばあさんが
『アー.アー.あれじゃ男はやりきれまい。
    只今 マイクのテスト中・・・・』

④ばあさんが『では、どーぞ』と挨拶し
   3人の講演者へと、マイクをすすめている。


はい。四コマで、時事問題をとりあげるのは至難の業。
ここは、いじわるばあさんの心意気だけで終ってます。

今日は、朝BSの「まあ姉ちゃん」を途中から見ました。
ちょうど吉田首相のワンマンをとりあげて、家の母も
ワンマンだと声高に笑っておりました。

はい。ここから『長谷川町子 思い出記念館』を引用。
ここには、インタビュー記事も載っています。
昭和26年11月号『キング』のインタビューに、

質問『吉田首相をどう見ますか?』
町子『右顧左眄(うこさべん)しないところが頼もしい』(p28)

さてっと、はじめ引用した四コマの『いじわるばあさん』の
その延長で、まるで町子さんが壇上で講演するような箇所がありました。
四コマには収まり切れない内容です(「婦人朝日」昭和26年6月号)

最初の質問は
『今月の婦人週間のスローガンは
    ≪ 社会のために役立つ婦人になりましょう ≫でした』。

つぎの質問『現在どんな人が、社会に役立っていると思いますか』
その質問に、長谷川町子さんは答えております。

はい。これは四コマに盛り込めないテーマでした。
それなので、最後はその町子さんの答えを全文引用。

「『兄弟喧嘩がなくなったら、戦争も世界から消えるだろう』
  とだれかが申しました。社会のユガミや不安というものを、
  私たちは単なる社会問題と見て、それが自分たちの悪意や
  自己中心の大きな集積であることを忘れがちであります。
  
  そして個人の改善をよそにして、社会の改善がありうる
  かのように考えております。

  啓蒙運動とか社会事業とかいうものも、
  もちろん有意義な企てに違いありませんが、

  それは世の中をよくする力そのものではなく、
  改善は、一人ひとりが自分の生活において、
  まずはじめなければならないものでありましょう。

  もし、正しく信じ、忠実に行い、母として、主婦として、
  また隣人として、常に温かく誠実な一人の女性であるとしたら、
  社会にどんなに見映えしない存在であろうとも、その人こそ、
  世の中を善くする大きな原動力であると思います。

  そして私もまた、このような女性にならいたいと思います。」


はい。マンガに収まらない、長谷川町子さんの肉声を拾えた気がしました。
うん。サザエさん家の兄弟喧嘩を、いまいましく思う、勢力がいたのかも。

           
コメント (2)
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