和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

成人式。中学校卒業式。

2023-01-09 | 道しるべ
今日の1月9日は成人式。そうカレンダーにあります。

今日寝床で、思い浮かんできたのは、
中学校の国語の先生大村はまでした。


昭和22年に義務教育として新制中学校が全国にできます。
その中学校に、大村はまは国語教師として赴任しました。
氏の講演(1970年8月)のなかにこんな箇所があります。

「 教師は専門家ですから、やっぱり生徒に力をつけなければだめです、
  ほんとうの意味で。こうした世の中を行きぬく力が、優劣に応じて
  それぞれつかなければならないと思います。・・・・

  中学におりますと、
  『 これで一人前の日本人として世の中を行きぬけるか 』
  というのが、生徒を社会に送り出すときの私の気持ちです。

  非常に悲痛な気持ちで送り出します。
  『 これで、一人前の日本人として激動の中を生きていけるだろうか 』
  と思います。

  私は卒業式の時、若い時は別れるのが悲しくて泣きましたが、
  今はこの人たちの生きていく世界が目に見えて、
  かわいそうで泣けてしまいます。

  『 どんな苦しみの中を越えて、
    この人たちは生きていかなければならないか。
    それにしては、いかにも力をつけなさすぎた  』
  と思うのです。

  生徒は高等学校へほとんどいきますが、
  高等学校は別の世界です。義務教育でもないし、年齢も違っていますから、
  中学校で与えられなかったものを、高等学校で与えられるものではありません。
   ・・・・

  脳細胞の発達の方から勉強してみても、中学の2年から
  3年の初めをもってもう頭脳のいちばん大切な開発は終わりです。
  あとは鍛えることだけしかできないのです。

  中学時代につかなかった癖は、永遠につかないと、
  大脳生理学者の時実(ときざね)利彦博士もおっしゃっています。

  ですから、この世を行きぬくだけの
  良い癖をつけることができたかと思いながら、
  みんなが一人ずつ卒業証書をもらいに出てくるのを見ていると、
  心細さと、申しわけなさと、かわいそうなのと、それから
  私の予期しなかったどんなことに出会うのかと思うと、
  なにか胸がいっぱいになってしまいます。・・・・     」

  ( 大村はま著「新編教えるということ」ちくま学芸文庫 p60~62 )

  
  こういう中学校の頃のことって、
  ボンヤリと、ちょうど成人式の頃から、
  思い浮かんでいたような気がします。ある先生のこととか。
  はい。二十歳ぐらいでは、ちっとも言葉にはならなかったけれど。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする