和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

魅力の浮力。

2023-02-28 | 詩歌
本は数ページ読んでは、放り投げちゃうタイプです。
はい。児童のころから、そうでした。
いまでも、ちっともかわらないなあ。

こうして、私と本との、スタートラインはここでした。
ところが、詩集なら、本の数ページ分の字数でもって
詩集一冊を読みとおせちゃう。チンプンカンプンでも
最後まで読めちゃうので、途中で断念の罪悪感はなし。
一篇の詩を読みボンヤリしててもそれなりに様になる。

これは、私には発見でした。思潮社の現代詩文庫など、
手頃な価格の詩集の分かりやすい箇所をひらいてみる。

不思議なもので、その時は分からなくっても、
魅力は浮力となって、後になって浮んでくる。
浮んでくれば、その箇所をまたひろげてみる。
何回か繰り返してると本は捨てられなくなる。

気になった箇所が思い浮かぶと本を辞書のようにめくります。
探し出せないと、けっきょく最初から読んでいたり、そこに
なければ、あきらめたり。

あれ。こんな感じは、誰かの詩にあったなあ。


        辞書     杉山平一

     辞書の中に迷いこんで
     行きつけないで
     よその家へ上りこんで
     紅茶をのんで帰ってきた


  ( p95 「杉山平一詩集」現代詩文庫・思潮社  ) 


はい。『 よその家へ上りこんで 』しまうように、
この杉山平一詩集を、もうすこしパラパラとめくる。
あれれ、こんな詩もあった。と最後に引用するのは


       問い    杉山平一

   手段がそのまま
   目的であるのはうつくしい

   アイスクリームの容れものの三角が
   そのままたべるウエファースであり
   運ぶ木材の幾十百本が
   そのまま舟の筏であるように
  『 なんのために生きるのです 』
   そんな少女の問いかけに
  『 問いはそのまま答えであり 』と
   だれかの詩句を心に呟きつつ
   だまって僕はほほえんでみせる

コメント (2)
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