和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

『 はじめに 』の効用。

2023-02-18 | 前書・後書。
大村はま・安野光雅対談に

大村】 ・・・いろいろの読書論をみんなで読みました。
    ・・・梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』も
      『図書』に出て、とにかく、いろいろな
      読書論を読んで話し合っていたんです。

   (  p207 大村はま著「心のパン屋さん」筑摩書房・1999年 )

ここに、岩波書店の月刊雑誌『図書』に
梅棹忠夫氏が載せた文の言及があります。
岩波新書の『知的生産の技術』と言ってない。

まあ、それやこれやで、講談社文庫の
藤本ますみ著「知的生産者たちの現場」を古本で購入。
さっそく、その文庫をひらいてみると、あらたに一章
『もうひとつのエピローグ』が付けくわえられてます。

はい。こちらも、引用しておかなくては。
その一章は「文庫版への補章」と副題で、
まずは、はじまりを引用。

「『知的生産者たちの現場』の初版が出たのは
 1984年2月のことである。あれから、すでに
 3年あまりの歳月が経過した。・・・」

はい。ここだけは引用しておきたいという箇所。

「この本(知的生産の技術)の真髄は、『はじめに』の章にある、
 とわたしはおもっている。出だしから、本質にふれることが、のべられている。」
                ( p285 )

「 ワープロ操作のことでいきづまると、その都度、
  取扱説明書の指示にしたがって、解決をはかる。

  おなじように、書いている内容や書き方のほうで
  迷いが生じたら、そのときはまず
 『知的生産の技術』(岩波新書)を、ひもとく。

 この本は、原稿作成のためのマニュアルの役割を
 はたしてくれるからだ。しかし、それだけではない。・・・ 」(p285)


「 梅棹先生との出会いは、
  わたしの生きかたまで、
  かえてしまったのである。 」(p286)


うん。この文庫を読んでいただけばよいのでしょうが、
そうそう、古本を買わないでしょうから、あと一箇所。
それはB6カードに触れている箇所。

「 この作業は、頭のなかにある思いや考えを、
  ことばになおす第一段階である。

  手ごたえがあって、これはいける、とおもったら、
  それらのことばが逃げないうちに、すばやくつかまえ、

  B6カードでもなんでもいいから、かきつけてしまう。
  
  ・・・・わたしの場合は・・ばらばらのまま、順不同で出てくるので、
  あとでそれをならべかえる必要がある。B6カードにかいてあると、

  この作業が、きわめてやりやすくなる。
  思いついたことは、宙でやりくりするより、
  目のまえで、手をつかって入れかえるほうが、
  それこそ、手ごたえがあって、
  われながら仕事をしている、という実感がわいてくる。 」(p296)


はい。同じ本であっても、単行本と文庫本では、
多少の違いがあることがあります。そこが魅力。

  
コメント (2)
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