大村はま・安野光雅対談に
大村】 ・・・いろいろの読書論をみんなで読みました。
・・・梅棹忠夫さんの『知的生産の技術』も
『図書』に出て、とにかく、いろいろな
読書論を読んで話し合っていたんです。
( p207 大村はま著「心のパン屋さん」筑摩書房・1999年 )
ここに、岩波書店の月刊雑誌『図書』に
梅棹忠夫氏が載せた文の言及があります。
岩波新書の『知的生産の技術』と言ってない。
まあ、それやこれやで、講談社文庫の
藤本ますみ著「知的生産者たちの現場」を古本で購入。
さっそく、その文庫をひらいてみると、あらたに一章
『もうひとつのエピローグ』が付けくわえられてます。
はい。こちらも、引用しておかなくては。
その一章は「文庫版への補章」と副題で、
まずは、はじまりを引用。
「『知的生産者たちの現場』の初版が出たのは
1984年2月のことである。あれから、すでに
3年あまりの歳月が経過した。・・・」
はい。ここだけは引用しておきたいという箇所。
「この本(知的生産の技術)の真髄は、『はじめに』の章にある、
とわたしはおもっている。出だしから、本質にふれることが、のべられている。」
( p285 )
「 ワープロ操作のことでいきづまると、その都度、
取扱説明書の指示にしたがって、解決をはかる。
おなじように、書いている内容や書き方のほうで
迷いが生じたら、そのときはまず
『知的生産の技術』(岩波新書)を、ひもとく。
この本は、原稿作成のためのマニュアルの役割を
はたしてくれるからだ。しかし、それだけではない。・・・ 」(p285)
「 梅棹先生との出会いは、
わたしの生きかたまで、
かえてしまったのである。 」(p286)
うん。この文庫を読んでいただけばよいのでしょうが、
そうそう、古本を買わないでしょうから、あと一箇所。
それはB6カードに触れている箇所。
「 この作業は、頭のなかにある思いや考えを、
ことばになおす第一段階である。
手ごたえがあって、これはいける、とおもったら、
それらのことばが逃げないうちに、すばやくつかまえ、
B6カードでもなんでもいいから、かきつけてしまう。
・・・・わたしの場合は・・ばらばらのまま、順不同で出てくるので、
あとでそれをならべかえる必要がある。B6カードにかいてあると、
この作業が、きわめてやりやすくなる。
思いついたことは、宙でやりくりするより、
目のまえで、手をつかって入れかえるほうが、
それこそ、手ごたえがあって、
われながら仕事をしている、という実感がわいてくる。 」(p296)
はい。同じ本であっても、単行本と文庫本では、
多少の違いがあることがあります。そこが魅力。