高田敏子著「月曜日の詩集」を古本で購入。
以前、高田敏子全詩集を、パラパラめくったことがあります。
古本の「月曜日の詩集」は、写真がありました。
そうか、最初は写真入りだったのだ。
おわりの方に、酒井章一氏が「あなたの詩を」と
題した文を載せております。そのはじまりは
「あなたの詩を、はじめて見せていただいたとき、
私たちは、この詩に写真をそえて、月曜日ごとの
『週間奥さまメモ』欄に組み入れていこうと、
少しのためらいもなくきめました。それは、
分かる詩でしたし、新聞にのせるのにふさわしい
詩だという自信のようなものを、
私たちに感じさせて下さったからです。・・・」
さてっと、詩を一篇引用したいと思うのですが、
まずは、そこにある写真の説明から、
庭か、道路わきか、家族で花火をしている写真です。
右に母親らしき人がしゃがんでいます。
その左に男の子が花火に火をつけて掲げています。
男の子の左には女の子が三人。
一番左は長女でしょうか、立って花火をみています。
長女の脇に三女らしき、小さい子がしゃがんでいます。
次女が真ん中で立ってみています。
背景は真っ暗で、花火の火と煙とがあり、
その花火がみんなを照らしています。
では、詩を引用。
花火 高田敏子
夏休みがきても
もう どこへゆくあてもない
娘や息子は
友だちと海や山へゆくのを
たのしむ年ごろになった
湯上りの散歩もひとり・・・・
いけがきの道をゆくと
おもざしのよく似た兄妹が
花火をかこんでいる
かたわらに 母親らしきひとが
マッチをもってほほえんでいる
かつての私と子どもたちのように・・・
この詩を読むと、
夏に浮かぶ陽炎のように、時間の垣根をこえて
よその家族が、昔の自分と一瞬結びついておりました。
そんななかで、まるで時間を折りたたみ、
花火の図柄を、折りたたんだ色紙の右左で合わせたような
そんな端正さを感じさせます。
さてっと、この詩集の序を村野四郎氏が書いており、
村野氏が引用されている詩も、この機会に孫引きしておきます。
布良(めら)海岸 高田敏子
この夏の一日
房総半島の突端 布良の海で泳いだ
それは人影のない岩鼻
沐浴のようなひとり泳ぎであったが
よせる波は
私の体を滑めらかに洗い ほてらせていった
岩かげで 水着をぬぎ 体をふくと
私の夏は終っていた
切り通しの道を帰りながら
ふとふりむいた岩鼻のあたりには
海女が四五人 波しぶきをあびて立ち
私がひそかにぬけてきた夏の日が
その上にだけかがやいていた
暑い夏の日に、端正なゆかたを着て
背筋を伸ばすような詩に出会えるようで、
こちらへも涼しい風が吹いてくるようです(笑)。
以前、高田敏子全詩集を、パラパラめくったことがあります。
古本の「月曜日の詩集」は、写真がありました。
そうか、最初は写真入りだったのだ。
おわりの方に、酒井章一氏が「あなたの詩を」と
題した文を載せております。そのはじまりは
「あなたの詩を、はじめて見せていただいたとき、
私たちは、この詩に写真をそえて、月曜日ごとの
『週間奥さまメモ』欄に組み入れていこうと、
少しのためらいもなくきめました。それは、
分かる詩でしたし、新聞にのせるのにふさわしい
詩だという自信のようなものを、
私たちに感じさせて下さったからです。・・・」
さてっと、詩を一篇引用したいと思うのですが、
まずは、そこにある写真の説明から、
庭か、道路わきか、家族で花火をしている写真です。
右に母親らしき人がしゃがんでいます。
その左に男の子が花火に火をつけて掲げています。
男の子の左には女の子が三人。
一番左は長女でしょうか、立って花火をみています。
長女の脇に三女らしき、小さい子がしゃがんでいます。
次女が真ん中で立ってみています。
背景は真っ暗で、花火の火と煙とがあり、
その花火がみんなを照らしています。
では、詩を引用。
花火 高田敏子
夏休みがきても
もう どこへゆくあてもない
娘や息子は
友だちと海や山へゆくのを
たのしむ年ごろになった
湯上りの散歩もひとり・・・・
いけがきの道をゆくと
おもざしのよく似た兄妹が
花火をかこんでいる
かたわらに 母親らしきひとが
マッチをもってほほえんでいる
かつての私と子どもたちのように・・・
この詩を読むと、
夏に浮かぶ陽炎のように、時間の垣根をこえて
よその家族が、昔の自分と一瞬結びついておりました。
そんななかで、まるで時間を折りたたみ、
花火の図柄を、折りたたんだ色紙の右左で合わせたような
そんな端正さを感じさせます。
さてっと、この詩集の序を村野四郎氏が書いており、
村野氏が引用されている詩も、この機会に孫引きしておきます。
布良(めら)海岸 高田敏子
この夏の一日
房総半島の突端 布良の海で泳いだ
それは人影のない岩鼻
沐浴のようなひとり泳ぎであったが
よせる波は
私の体を滑めらかに洗い ほてらせていった
岩かげで 水着をぬぎ 体をふくと
私の夏は終っていた
切り通しの道を帰りながら
ふとふりむいた岩鼻のあたりには
海女が四五人 波しぶきをあびて立ち
私がひそかにぬけてきた夏の日が
その上にだけかがやいていた
暑い夏の日に、端正なゆかたを着て
背筋を伸ばすような詩に出会えるようで、
こちらへも涼しい風が吹いてくるようです(笑)。
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