「梅棹忠夫語る」(日経プレミアシリーズ新書)に
和辻哲郎の「風土」について
語った箇所があります。
梅棹】 和辻さんという人は、大学者にはちがいない。
ただ、『風土』はまちがいだらけの本だと思う。
中尾がつくづく言ってた。
『どうしてこんなまちがいをやったんだろうな』と。・・
どうして『風土』などと言っておきながら、
ヨーロッパの農場に雑草がないなどと、そんなバカなことを
言うのか。どうしてそんなまちがいが起こるのか。
中尾流に言えば、『自分の目で見とらんから』です。
何かもう非常に清潔で、整然たるものだと思い込んでいる。
ヨーロッパの猥雑さというものがどんなものか。
そんなことが、現地で見ているはずなのに、
どうして見えないのか。・・・
見かけにだまされるのならまだいい。
それとちがうな。あれは思い込みや。
わたしが『ヨーロッパ探検』などと言い出したので、
びっくりされたこともあった。
『ヨーロッパは学びに行くところであって、
調査に行くところとちがう』と。
それでわたしは怒って、文部省にガンガン折衝して、
ヨーロッパがいかにそういうイメージとちがう
ところかということを説得した。・・・
『学びに行くヨーロッパ』がいかに
『ヨーロッパの本質』とちがうか、それがわからない。
民博設立のベースには、多少そういうものがあったと思う。
(p26~27)
この新書は、小山修三氏が聞き手となって
語られたもの。2010年に出ております。
この内容などは、以前から仲間うちで
さんざん語られていた内容なのでしょう。
それが、晩年に活字となって残された。
という経緯のように読めます(笑)。
和辻哲郎の「風土」について
語った箇所があります。
梅棹】 和辻さんという人は、大学者にはちがいない。
ただ、『風土』はまちがいだらけの本だと思う。
中尾がつくづく言ってた。
『どうしてこんなまちがいをやったんだろうな』と。・・
どうして『風土』などと言っておきながら、
ヨーロッパの農場に雑草がないなどと、そんなバカなことを
言うのか。どうしてそんなまちがいが起こるのか。
中尾流に言えば、『自分の目で見とらんから』です。
何かもう非常に清潔で、整然たるものだと思い込んでいる。
ヨーロッパの猥雑さというものがどんなものか。
そんなことが、現地で見ているはずなのに、
どうして見えないのか。・・・
見かけにだまされるのならまだいい。
それとちがうな。あれは思い込みや。
わたしが『ヨーロッパ探検』などと言い出したので、
びっくりされたこともあった。
『ヨーロッパは学びに行くところであって、
調査に行くところとちがう』と。
それでわたしは怒って、文部省にガンガン折衝して、
ヨーロッパがいかにそういうイメージとちがう
ところかということを説得した。・・・
『学びに行くヨーロッパ』がいかに
『ヨーロッパの本質』とちがうか、それがわからない。
民博設立のベースには、多少そういうものがあったと思う。
(p26~27)
この新書は、小山修三氏が聞き手となって
語られたもの。2010年に出ております。
この内容などは、以前から仲間うちで
さんざん語られていた内容なのでしょう。
それが、晩年に活字となって残された。
という経緯のように読めます(笑)。