和田浦海岸

家からは海は見えませんが、波が荒いときなどは、打ち寄せる波の音がきこえます。夏は潮風と蝉の声。

えいや、とフンギリをつけて。

2015-06-15 | 本棚並べ
平山周吉著「戦争画リターンズ」(芸術新聞社)。
副題は「藤田嗣治とアッツ島の花々」。
うん。読了する(笑)。

読了後に読む「あとがき」は
また、ちがった味わいがありますね。
たとえば、こんな箇所。

「連載では、草森紳一流の奔放な雑文スタイルを
意識して真似てみたが、似ても似つかぬものになった。
・・・取り柄といえば、草森流にあやかって、
『アッツ島玉砕』に少しでも関わりそうなもの、
何でもかんでも手当り次第に積み上げたことだった。
美術書でもなく、歴史書でもなく、でも、
そのどちらでもあるという、鵺(ぬえ)のような本になった。
分類しようもないし、それでいい、というしかない。」

「連載は月二回の更新というペースだった。
時々さぼりながらで、遅々として進まなかったが、
その間の道草は楽しかった。・・・・
昨秋、相澤さんから来春に本を出しましょうと迫られ、
えいや、とフンギリをつけて、第27回の三島由紀夫から
最後の第48回までは、今年の一月に一気に集中して書く
ハメになった。よく短期間で書けたと思う。
綱渡りだった(したがって第33回以降は書下しである)。」


ここにあるように、
前半は地ならしのような感じですが、
後半になって絵画が3Dになってゆくような
不思議な細部の重量感をもって
(それは、戦争画とか、歴史観とかの
全体を覆う圧迫感とはまるで異なって)
読者の私は、惹き込まれてゆきました。

うん。それが何であったのか。
それを知るべく、しばらくは、
机脇に置いておくことに(笑)。

さてっと、
あとがきの最後を引用。

「今年は日仏合作の映画『FOUJITA』(フジタ)が
公開されると、つい最近知った。小栗康平脚本・監督、
フジタをオダギリジョーが、君代夫人を中谷美紀が
演じるという。藤田の戦争画時代も描かれ、海外でも
藤田の戦争画が知られるきっかけになることだろう。
  平成27年2月23日    平山周吉  」
コメント
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