梅雨入りしたというニュース。
うん。私は
梅雨より、次の夏を思う。
ということで、
鷲尾賢也著
「編集とはどのような仕事なのか」より
こんな箇所を引用。
(トランスビュー・2004年版)
瀬戸内の相生(あいおい)がでてきます。
「ずいぶんむかし、高島俊男さんに『中国の大盗賊』
という新書を書いていただいたことがある。
まだ岡山大学にいらっしゃたころで、
いまのように辛口エッセイストになる以前である。
ある日、原稿がどーんと届いた。
包みを開けてみて仰天した。枚数が大幅に
オーバーしているのである。
250~260枚ぐらいまでとお願いしたのに、
優に400枚を超えている
頭をかかえてしまった。どうしよう。
それから机の上で挌闘がはじまる。
なんとか自分なりのプランをもって、
決死の覚悟を抱いてうかがうことにした。
ご自宅は瀬戸内の相生である。
たしか夏だった。汗をかきかき、
玄関で声をかけると、ランニング姿で
パンツひとつの高島さんがあらわれた。
部屋に通されたが、クーラーがない。
『鷲尾さん、パンツになったら』という。
さすがにそこまではできず、ネクタイをはずし、
Yシャツをぬぎ、こちらの構想を説明する。
冷蔵庫にビールがあるから、自分でもってきたらという。
奥に入ると、すごい。
洗濯物が梁からたくさんぶら下がっている。
それをかき分け、冷蔵庫にたどりつき、
缶ビールと肴になりそうな怪しい缶詰を取り出し、
また洗濯物をかきわけ、高島さんの前にもどるという始末。
そのなかでのどうカットするかの交渉である。
暑いので原稿が腕などにはりつく。
下着姿の男ふたりの姿は思い出すだけでもおかしい。
毛沢東は大盗賊であるという最終章をまず削ろうと
お願いするが、なかなかウンといわない。・・
しかし、なんとか了承していただいた。
他の箇所もずいぶん削った。
刊行後、評判がよくかなり版を重ねたので
胸をなでおろした。もし売れなかったら、
削ったからだなどといわれそうだからである。
・・・やはり削ってよかったと思っている。
暑い相生とあの洗濯物は、
いまでも記憶に新しい。」
(p220)
うん。私は
梅雨より、次の夏を思う。
ということで、
鷲尾賢也著
「編集とはどのような仕事なのか」より
こんな箇所を引用。
(トランスビュー・2004年版)
瀬戸内の相生(あいおい)がでてきます。
「ずいぶんむかし、高島俊男さんに『中国の大盗賊』
という新書を書いていただいたことがある。
まだ岡山大学にいらっしゃたころで、
いまのように辛口エッセイストになる以前である。
ある日、原稿がどーんと届いた。
包みを開けてみて仰天した。枚数が大幅に
オーバーしているのである。
250~260枚ぐらいまでとお願いしたのに、
優に400枚を超えている
頭をかかえてしまった。どうしよう。
それから机の上で挌闘がはじまる。
なんとか自分なりのプランをもって、
決死の覚悟を抱いてうかがうことにした。
ご自宅は瀬戸内の相生である。
たしか夏だった。汗をかきかき、
玄関で声をかけると、ランニング姿で
パンツひとつの高島さんがあらわれた。
部屋に通されたが、クーラーがない。
『鷲尾さん、パンツになったら』という。
さすがにそこまではできず、ネクタイをはずし、
Yシャツをぬぎ、こちらの構想を説明する。
冷蔵庫にビールがあるから、自分でもってきたらという。
奥に入ると、すごい。
洗濯物が梁からたくさんぶら下がっている。
それをかき分け、冷蔵庫にたどりつき、
缶ビールと肴になりそうな怪しい缶詰を取り出し、
また洗濯物をかきわけ、高島さんの前にもどるという始末。
そのなかでのどうカットするかの交渉である。
暑いので原稿が腕などにはりつく。
下着姿の男ふたりの姿は思い出すだけでもおかしい。
毛沢東は大盗賊であるという最終章をまず削ろうと
お願いするが、なかなかウンといわない。・・
しかし、なんとか了承していただいた。
他の箇所もずいぶん削った。
刊行後、評判がよくかなり版を重ねたので
胸をなでおろした。もし売れなかったら、
削ったからだなどといわれそうだからである。
・・・やはり削ってよかったと思っている。
暑い相生とあの洗濯物は、
いまでも記憶に新しい。」
(p220)