山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

雷鳴轟き下山、大雪山黒岳  平成25年7月12日

2013年07月20日 | 日本百名山
 九州から山仲間のHさんが北海道に来ており、本日は銀泉台から赤岳を経て黒岳石室の避難小屋に宿泊するそうだ。途中までの山行にはみちほさんご夫妻も同行するそうだ。Hさんは私が星空の写真を撮り始めるきっかけをつくってくれた恩人だ。我々は釧路宿泊なので大雪山層雲峡到着はどうしても午後になってしまうので、黒岳石室でテント泊して合流することで話がついた。釧路から層雲峡までは280kmほどの距離があり、しかも高速道路は全く使えずに一般道を行くことになる。朝7時半に釧路を出発し、なんとか午後1時過ぎには層雲峡に到着し、ここで昼食となる。テント泊装備と1日分の食事を詰め込んでロープウエイとリフトを乗り継いで7合目から歩き始めたのは午後3時近くになってしまう。まあ、6時までには到着できるだろうということで出発する。

    層雲峡ロープウェイ駅


    黒岳リフトとお花畑


    眼前に近付く大雪山黒岳


    7合目休憩所

 残雪の雪渓を登り、登山道脇に咲く花を楽しみながらゆっくりと登り、8合目を過ぎさらに9合目を過ぎた頃から雲行きが怪しくなってきた。そしてポツリポツリと雨が降り出す。ザックカバーをかけようかと思っていた途端に雨足が強くなり、そして頭の真上でドドーン・ゴロゴローという雷鳴が轟き出す。急いでザックカバーとカッパを上着だけ来て下山し始め、高度を下げる。あられ混じりの土砂降り状態となり、8合目あたりの木の下でひとまず雨宿りする。やがて雨足は弱まり雷鳴も遠退いたがもう登り返す気にはならず、そのまま下山した。

    雪がまだかなり残っている。


    雪渓を足跡に沿ってジグザグに登る。


    道脇に咲くチシマノキンバイソウ


    白いチシマフウロ


    9合目を過ぎて山頂まで標高差であと50mほどのところまで行ったが・・・そこで雷に遭い、下山。

 リフトとロープウェイを乗り継いで麓の駅に到着したのはもう6時過ぎ。さて、宿をどうするか?甲府を出発する前にテントやザックカバーに防水をかけ直してきたものの、これが十分では無く、特にザックカバーはきわめて防水性に欠けており、雨に降られると中のものが全て水浸しになってしまうことがピパイロ岳の帰りでわかった。おそらくはシュラフも濡れてしまっているだろう。テント泊は厳しい。層雲峡駐車場手前のペンションに空室ありの看板が出ていたのでそこに寄って交渉すると、素泊まりで一人6000円で泊めてくれるとのことで、本日はそこに泊めてもらうことにした。濡れ物の事情を話すと、部屋の中に干すための洗濯紐を準備してくれて助かった。このペンションは源泉かけ流しの温泉で、何時間もかけてお湯を溜めているそうだ。乳白色の温泉はたいへん良かった。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

メアカンフスマとメアカンキンバイ 雌阿寒岳  北海道遠征2  平成25年7月11日

2013年07月20日 | 日本百名山

 前日は帯広から釧路までの移動と1日静養したので、ピパイロ岳の疲れと筋肉痛はほぼ改善した。この日は曇り空だったが、大きな崩れは無さそうだ。釧路市内の宿泊したホテルで朝食をとって、朝7時にホテルを出発する。カーナビをセットすると、雌阿寒岳の登山口オンネトーまでは予想外に距離があり、かなり飛ばして9時半に雌阿寒温泉に到着した。本日のコースは雌阿寒温泉から山頂を経てオンネトーのほとり青年の家に下山し、エゾアカマツの森の中を通って雌阿寒温泉に戻る周回コースだ。

    雌阿寒岳温泉からの登山道入り口


    エゾアカマツの森。エゾアカマツをシラビソとツガに置き換えれば八ヶ岳の森の雰囲気に良く似ている。

 雌阿寒温泉の登山口から入山すると、エゾアカマツの森は八ヶ岳樹林帯の森に良く似ている。足元に苔の生したややじめじめした森の感じと匂い、エゾアカマツをツガとシラビソに帰れば八ヶ岳そっくりだ。こんな森にはきっとあのランが・・・しかし、北海道にもあるのだろうか?例のごとく森の中をきょろきょろしながら登って行くと、あっさりと見つけることができた。そしてキソチドリと思わしき花を撮影していると、その脇になんじゃこりゃ!というような双葉のランを発見!コフタバランに良く似ているが葉の形と茎の色が違う。まだ花は咲いていないが、おそらくこれは・・・初めて見るミヤマフタバラン。

    苔の生した雌阿寒岳エゾアカマツの森。


    やっぱりあった、イチヨウラン。


    たぶんキソチドリ。まだ開花していない。


    何だこれは?コフタバランに似ているが葉の形と茎の色が違う。


    これはミヤマフタバラン。もうすぐ花が咲きそうだ。

 他にもあるのではないかと注意深く森を歩いたが、見つけたのはこの2種類だけで、やがて森を抜けてハイマツ帯に入る。5合目あたりのガレた沢で休憩しながらその周辺を探ってみると、黄色いキンバイを発見した。ひょっとしてこれが噂のメアカンキンバイか?見たことが無いような葉の形をしている。そしてメアカンフスマらしきものも発見した。

    樹林帯を抜けてハイマツの森に変わる。


    ガレた沢で見つけたメアカンキンバイ。この先にはたくさん咲いていた。


    同じ場所でメアカンフスマ

 さらに高度を上げて行くと、6合目あたりからはこの2種類の花とマルバシモツケがたくさん咲いており、こんなにたくさん咲くものなのかとちょっと拍子抜けする。ハイマツ帯を過ぎてザレ地になった上部にもこの3種類の花はたくさん咲いていた。

    コマクサ


    マルバシモツケ


    メアカンフスマ


    見下ろすオンネトーの沼


    7合目付近のメアカンフスマ群生

 細い踏み跡をたどって真っ直ぐ登って行ったところ、正規のルートから外れて短縮してしまったらしく、私たちの先を歩いていた女性グループよりも先に8合目あたりに到着してしまった。しかし、またあっさりと追い抜かれる。9合目まで登って反対側の展望が見えるようになると、噴煙を上げる雌阿寒岳の噴火口、赤い池が見えるようになる。間もなく山頂に到着する。12時45分山頂到着、10数人の登山者が休憩して昼食をとっていた。反対側から登ってきた登山者に情報を聞き、混雑する山頂での昼食を避けて青年の家側の登山道を8合目付近まで下って昼食にした。

    赤い池と噴煙を上げる雌阿寒岳火口


    雌阿寒岳山頂


    阿寒湖と雄阿寒岳方面を望む


    青い池と阿寒富士


    青い池と噴煙

 眼前に阿寒富士が聳えるが登っている人の姿は見かけられなかった。メアカンフスマやメアカンキンバイの数はこちら側のほうが多く、コマクサもちらほらと咲いていた。ハイマツの中を覗いてみると、もうすぐ咲きそうなイチヤクソウの群落があった。

    青年の家側ルートのメアカンフスマ


    メアカンキンバイの群生


    蕾のイチヤクソウ(おそらく真直ぐな茎、たくさん付ける花から見て、カラフトイチヤクソウ)


    8合目から見る阿寒富士


    イワブクロと阿寒富士

 ハイマツ帯を過ぎて樹林帯に突入するが、こちら側の森は登って来た雌阿寒温泉側の道とは若干異なり、森がやや乾燥しているように見受けられた。ミヤマフタバランを探すがどうしても見つからず、その代わりにイチヨウランは5本ほど見つけることができた。森の中の探索でかなり時間を費やしてしまい、青年の家に到着したのは午後3時半になってしまった。

    樹林帯の中で見つけたキソチドリ(だと思う)。これがあるところにはきっとあれも・・・。


    発見!イチヨウラン。


    イチヨウラン。こちら側で4~5本見つけた。


    開花したイチヤクソウ。先ほどのイチヤクソウほど花が付いておらず、葉脈に白い筋があり、おそらくジンヨウイチヤクソウ。


    コイチヤクソウ。花が片側に偏って咲くイチヤクソウの仲間。半寄生植物。


    森で花探しに時間を取り過ぎ、青年の家に到着したのは午後3時半。

 青年の家の脇からオンネトーの縁を回ってエゾアカマツの森に入り雌阿寒温泉までは緩い登りが続く単調な森だ。何か良いものは生えていないかと思ったのだが、何も見つからず、ただひたすらに歩いて午後4時半、雌阿寒温泉に到着した。

    オンネトーの青白い水。青空ならばもっと美しいブルーになったのだろうが。


    オンネトー周辺はハクサンシャクナゲの名所。


    アカエゾマツの森を黙々と歩き、4時半に雌阿寒岳温泉に到着。

 夕方6時半には釧路に戻りたい。駐車場でさっさと着替えを済ませてまたもや車を飛ばして釧路に戻ると、午後6時には釧路に到着できた。本日は夕方7時からのお楽しみの会が待っており、余裕で間に合った。会の後に釧路ラーメンのお店で食事していると、超偶然にもその会のメンバーとばったり遭遇した。短時間ながら話をすることもできて、良い1日となった。(機会があったら報告します。)
コメント (7)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ピパイロ岳、1967m峰を越えて1856m峰へ ケエゾスミレ咲く尾根  北海道遠征1-③  平成25年7月7日‐9日

2013年07月20日 | 番外編

 7月8日(後編)

 ピパイロ岳と1967m峰の間のコルからかなり下って雪渓から滴る水を約3リットルなんとか採ってコルに戻り、そこで食事にする。水を採るのに1時間ほどかかってしまい、出発する頃には時間はもう午後2時近くになってしまった。できれば北鳥蔦別岳まで行きたいが、このペースでは難しそうだ。その手前の1856m峰まではなんとか行きたい。その前に立ちはだかる1967m峰は見上げるような急登、しかも大きな雪渓が残っている。

    エゾノハクサンイチゲ。目指す幌尻岳はいずこ?まだ遥か彼方。


    チングルマのお花畑

 コルから少し歩き始めると、またしても黄色いスミレが出現した。近付いて良く見ると・・・今度のスミレには葉っぱの周辺に毛が生えているのが見える。葉っぱを裏返して見れば、裏に毛が生えている。これこそ、今回いちばん見たかった花、このあたりの特産種ケエゾキスミレだ。時期もちょうど良かった。

    黄色いスミレ発見。今度のスミレは葉っぱの縁に毛が出ているのが見える。


    これこそ見たかった花、ケエゾキスミレ


    葉の裏側に毛が生えているのが特徴。

 その先の1967m峰の登りにもこのスミレは結構咲いていた。そして急登を登りつくと、「1967峰」の看板が立つピークに到着した。ここはピパイロ岳同様に、あるいはそれ以上に眺望の良いピークで、名前が付いていないのが不思議なくらいだ。一休みして眺望を楽しむが、この位置から翌日に幌尻岳まで往復するのはかなり厳しい。先に進む。

    1967峰の雪渓。登山道は雪渓の中に埋もれており、左側の草むらを登る。


    1967峰までもう少し。お花畑が広がる。


    見下ろすカールとお花畑


    1967峰。高さそのままの名の看板が立っている。


    1967峰から見る尾根。幌尻岳は霞んで見えないが、左手の霞んだ三角錐が鳥蔦別岳。

 岩とハイマツの細尾根を越えて隣のピークまで行くと、その先にまた岩のピークが立ちはだかる。これを越えるとようやく1856m峰のなだらかなピークが下に見えてくるが、その先は崖のような急下りが待っていた。それを慎重に下るとまたしてもハイマツの藪だ。途中には初めてお目にかかるベニバナミネズオウ(おそらく山梨の山ではお目にかかれない)やホソバイワベンケイが咲いていた。

    ベニバナミネズオウ。山梨ではお目にかかれない。


    ホソバイワベンケイ。北海道には結構たくさんある。


    ホソバイワベンケイ


    イワヒゲ


    もうすぐ咲きそうなウスユキトウヒレン


    細尾根を越えて登り返すと、その向こうにもうひとつピークがある。これを越えるとようやく進む尾根が見えるようになる。


    無名の小ピークから見る幌尻岳に続く尾根。いちばん左が鳥蔦別岳、その右に遠く見えるのが幌尻岳、小ピークを挟んでその右が北鳥蔦別岳、そしていちばん右の低くて平たいピークが1856m峰。

 午後5時20分、なんとか1856m峰に到着した。もう隣の北鳥蔦岳まで行く元気は無く、ここでテント設営することにする。このピークは平らで、4~5張は軽くテント設営できるなかなかの場所だった。あたりには開花直前のウスユキトウヒレンやチシマキンレイカ、ミヤマシオガマなどがたくさん咲いていた。夕陽が沈む頃には一時空が晴れて幌尻岳まで望むことができたのだが、陽が沈んだ直後からあっという間に霧に巻かれてあたりは何も見えなくなってしまった。入山前の天気予報では明日までなんとか天気が持ちそうな予報だったのだが、どうなのだろうか?この場所では携帯電話は県外で、iモードの天気予報を見ることはできない。ラジオを自宅に置いてきてしまったのは失敗だった。

    1856m峰。平らでテントを張るには適する。その先の雪渓を融かして水を採ることができた。


    北鳥蔦別岳から幌尻岳に至る尾根。


    右が北鳥蔦別岳、左が鳥蔦別岳、真ん中が幌尻岳。

 7月9日(3日目)
 深夜から雨が降り出し、朝になっても止まず風が強くなってきた。前線が早く北上し、予定より1日早く雨になってしまったようだ。おそらく明日も雨。停滞を予想して20食分(約6日分)の食料は持ってきているが、2日間の停滞は厳しい。撤退して下山することにする。テント撤収して朝6時から下山開始する。腰に巻いていた交換レンズ入りのポーチは無理矢理ザックに押し込んだが、カメラはザックの中に収まらない。タオルを巻いてその上からコンビニの袋をかぶせて首からぶら下げるが、タオルはあっという間に水浸しになってしまう。休憩するたびにタオルを絞ってかけなおすが、すぐにまた水浸しになり、ほとんど写真など撮っていられる状態では無い。前機のEos40Dは白馬岳で同じような状況になり、故障して修理に出さざるを得ない状態になってしまったが、現在使っているEos7Dはボディの防水が良いようで、モニターもシャッターも正常に作動してくれた。時間記録のために各ピークでレンズをハンカチで拭いて記録撮影だけ行ってきたが、ピパイロ岳近辺で見つけたリンネソウだけは三脚を出して撮影した。

    雨と風が吹く3日目の朝。何も見えない。苦労してここまで来たが下山することにする。


    霧と雨に霞むエゾツツジ


    ピパイロ岳山頂


    相変わらず霞の中だが、雨は小降りになり風も止んだ。


    ハイマツの下に咲き始めたリンネソウを発見。


    リンネソウ

 1966峰、ピパイロ岳、伏見岳、その他名前の付いていないピークとも登り返しがきつく、足元の見えないハイマツの藪でスリップしやすい。午後4時20分、ようやく伏見岳に到着したが、この頃には雨は上がっていた。伏見岳の下りで何度かスリップして尻餅をつきつつも、なんとかヘッドライト点灯寸前の午後7時、伏見岳登山口駐車場に到着した。登り以上に大変な下山だった。

 幌尻岳まで行けなかったことは残念ではあるが、お目当てだった特産種ヒダカミヤマノエンドウ、ケエゾキスミレ、そしておそらくはピパイロキンバイソウに出会えることが出来たので、目的の7割は達成できたと言って良い。日本百名山には固執していないので、機会があれば別ルートから幌尻岳に再挑戦したいと思っている。七つ沼カールには是非立ち寄ってみたいと思う。


 下山後はあまりにも靴がドロドロ、かつ水浸しになってしまったので、伏見岳避難小屋の前に出ている水で靴とスパッツを洗ってから出発する。時間が遅いので宿がとれるかどうか心配だったが、帯広郊外の温泉ホテルに電話したところ、朝食付きで一人9000円ほどで泊めてくれるとのこと。テントで野宿を覚悟していただけにこれはありがたい。なかなか立派なホテルで温泉も非常に良かった。温泉にゆっくりつかって足を良くマッサージしたが、かなりの筋肉痛に襲われた。

    宿泊したホテル。ここは良かったです。

そして翌日、200数十キロ離れた釧路に移動して2泊した。目的のひとつは雌阿寒岳だが、もうひとつは・・・またいつか報告することにする。(某グループの追っかけではありません。)
コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする