山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

ホザキツキヌキソウ(スイカズラ科)

2020年10月16日 | スイカズラ科
 南アルプスの某山に限局して生育する多年草である。盗掘や鹿の食害で個体数は激減し、まさに絶滅寸前の危機にある植物である。「ホザキ」の名は発見者の名前に由来する。特徴的な大きな4枚の葉は2枚ずつ対生している。花を咲かせる頃には赤い葉脈が目立つが、種を付ける頃にはこの赤い色は消える。


    ホザキツキヌキソウ 平成28年6月 南アルプスで撮影


    同上 いちばん元気が良かった頃の個体である。


    同上 花を咲かせている。花を咲かせる頃の葉脈は赤いが、結実するにつれて赤みが消える。


    同上 ホザキツキヌキソウの花。奇怪な形をしている。


    平成28年7月下旬 結実した同じ個体。


    同上 白い種が付く。


    平成30年7月撮影。 柵で囲って保護したのは良いが、周辺に草が茂って個体が小さくなってしまった。


    同上


    令和2年9月撮影 周辺の草刈りをして手入れしてくれているがやはり元気が無い。


    同上

 株分けで増えてきた同じ遺伝子を持った個体のため種子から増殖することはほとんど期待できない。周辺には別の個体は見つかっていない。

⇒山梨県の希少野生動植物種と指定種・特定指定種について

 ⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU)、準絶滅危惧種(NT)、情報不足(DD)およびその他のラン科植物

2020年10月16日 | ラン科
2018年版山梨県レッドデータブックに登録されている絶滅危惧Ⅱ類(VU)、準絶滅危惧種(NT)および情報不足(DD)のラン科植物は以下の通りである。

山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU)

 エビネ(2005山梨県VU 2017環境省NT)
    
 ギンラン(2005山梨県VU 2017環境省-)
    
 サイハイラン(2005山梨県NT 2017環境省-)
    

 アオチドリ(2005山梨県NT 2017環境省-)
    
 カモメラン(2005山梨県VU 2017環境省NT)
    

 オニノヤガラ(2005山梨県DD 2017環境省-)
    

 テガタチドリ(2005山梨県VU 2017環境省-)
    

 ジガバチソウ(2005山梨県VU 2017環境省-)
    
 ヒメムヨウラン(2005山梨県VU 2017環境省VU)
    
 タカネフタバラン(2005山梨県EN 2017環境省-)
    
 ヨウラクラン(2005山梨県- 2017環境省-)
    
 ミズチドリ(2005山梨県VU 2017環境省-)
    
 ヤマサギソウ(2005山梨県VU 2017環境省-)
    
 ヒトツボクロ(2005山梨県EN 2017環境省-)
    
 以上 14種


山梨県準絶滅危惧種(NT)

 ホザキイチヨウラン(2005山梨県NT 2017環境省-)
    
 ミヤマモジズリ(2005山梨県NT 2017環境省-)
    

 以上 2種


山梨県情報不足(DD)

 キンセイラン(2005山梨県CR 2017環境省VU)
    

 ナツエビネ(2005山梨県DD 2017環境省VU)
    

 ミズトンボ(2005山梨県DD 2017環境省VU)
 ショウキラン(2005山梨県DD 2017環境省-)

その他のラン科植物

 クゲヌマラン(2018山梨県なし 2017環境省VU)
    

 マイサギソウ(2018山梨県なし 2017環境省なし)
    

 ホソバノキソチドリ(2018山梨県なし 2017環境省なし)
    

 情報不足(DD)のうちキンセイランおよびナツエビネは生育地が見つかりいずれは絶滅危惧ⅠA類(CR)あるいはⅠB類(VU)になるであろう。その他のDDはほとんど情報が無い。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タカネビランジ(ナデシコ科)

2020年10月16日 | ナデシコ科
 高山帯の岩場や砂礫地に生育する多年草である。萼筒や茎には毛(腺毛)が密生する。花期は7~9月。山梨県では鳳凰山、北岳に生育し、特に鳳凰山では個体数が多い。時に白花を見ることがある。


    タカネビランジ 平成29年9月 鳳凰山で撮影。9月になると痛んでいるものが多い。


    同上 後ろに見えるのは甲斐駒ケ岳


    令和2年8月 鳳凰山薬師岳で撮影。後ろに見えるのは白根三山。


    同上 


    同上 萼筒や茎には腺毛が密生する。


    同上 砂礫地にも生えるが、大きな個体は流出しにくい岩と砂礫の隙間に多い。


    同上


    同上

⇒山梨県の希少野生動植物種と指定種・特定指定種について
 
 ⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホウオウシャジン(キキョウ科)

2020年10月16日 | 絶滅危惧種
 山上の岩の上に生える多年草で、イワシャジンの高山型である。全体的に小型で葉が細い。花期は8~9月。鳳凰山の稜線だけでなく周辺の谷にも同じような花が見られるが、山梨県山岳レインジャー調査の際は鳳凰山の稜線上に生育しているものをホウオウシャジンとして扱っている。


    ホウオウシャジン 平成29年9月 鳳凰山観音岳で撮影


    同上 向こうに見えるのは農鳥岳。


    岩の隙間や岩と砂礫の間を好んで生育している。


    イワシャジンに比べてやや小型で葉が細い。


    イワシャジンの高山型で、おそらく同じものと思われる。

⇒山梨県の希少野生動植物種と指定種・特定指定種について

 ⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タカネマンテマ(ナデシコ科)

2020年10月16日 | ナデシコ科
 北岳の高山帯の岩石地や砂礫地に生育する多年草である。北岳特産種。花期は7~8月。高さは10~20㎝で、花は茎の先に1個付く。丸く膨らんでいる部分は筒状の萼で、花はその先端部におちょぼ口のように小さく付く。花が散って結実するにつれて上を向くようになる。


    タカネマンテマ 平成29年7月 北岳で撮影


    同上 満開の状態の側面像。丸く膨れている部分は筒状の萼で、深緑色の筋が10本入る。


    同上 おちょぼ口の小さな花


    同上 花が散って行くにつれて上を向くようになる。


    令和1年8月 北岳で撮影。まだ咲き始めたばかりの新鮮な個体。しばしば群生する。

⇒山梨県の希少野生動植物種と指定種・特定指定種について

 ⇒山梨県の絶滅危惧の植物 ~科別分類~

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

山梨県の希少野生動植物種と指定種・特定種について

2020年10月16日 | 絶滅危惧種
山梨県では、県内に生育または生息する野生動植物のうち著しく個体数が少ないもの、著しく個体数が減少しつつあるもの、生育地あるいは生息地が消滅しつつあるものを「希少野生動植物種」としています。これは絶滅危惧種とほぼ同じ意味と捉えて良いと思います。その中でも、知事が特に保護を図る必要があると認めて、生きた個体の捕獲、採取、殺傷又は損傷を禁止する種を「指定希少野生動植物種(指定種)」、その中でもさらに譲渡し及び譲受けを監視する必要があるものを「特定希少野生動植物種(特定種)」としています。つまり、特定種は庭や鉢に植えてあるものでも移動や売買が出来ない植物であるということになります。山梨県から委託を受けて山梨県山岳連盟が行っている山岳レインジャー活動は、この特定種の個体数・植生調査と保護が主な活動の内容になります。
 
 以下に挙げるものが山梨県特定種と指定種の植物です。

山梨県特定種(2020年1月現在)(指定種の中でも特別な種)

 カイコバイモ(ユリ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省EN
    

 コシノコバイモ(ユリ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省-
    
 スルガジョウロウホトトギス(ユリ科)山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省EN
    
 キタダケデンダ(ヒメデンダ)(イワデンダ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省CR
    

 ヒイラギデンダ(オシダ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省EN

 キタダケキンポウゲ(キンポウゲ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省EN
    
 キタダケソウ(キンポウゲ科)山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省EN
    

 キタダケトリカブト(キンポウゲ科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省CR
    
 タカネマンテマ(ナデシコ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省CR
    

  
タカネビランジ(ナデシコ科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省-
    
 ミヤマアケボノソウ(リンドウ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省-
    
 ホテイラン(ラン科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省EN
    
 ホテイアツモリ(ラン科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省CR
    
 アツモリソウ(ラン科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省VU
    

 キバナノアツモリソウ(ラン科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省VU
    

 ヒメスズムシソウ(ラン科) 山梨県絶滅危惧-環境省CR
    
 ニョホウチドリ(ラン科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省NT
    

 カモメラン(ラン科) 山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU) 環境省NT
    
 ユキワリソウ 山梨県絶滅危惧ⅠA類 環境省-
    
 クモイコザクラ(サクラソウ科) 山梨県準絶滅危惧種(NT) 環境省VU
    

 ホウオウシャジン(キキョウ科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN)環境省EN
    
 ムシトリスミレ(タヌキモ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省-
    

 ハコネコメツツジ(ツツジ科) 山梨県絶滅危惧Ⅱ類(VU) 環境省VU
    

 ホザキツキヌキソウ(スイカズラ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省CR
    

 ベニバナヤマシャクヤク(ボタン科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR)環境省VU
    

           計 25種類


山梨県指定種(2020年1月現在)(指定種の中で特定種を除いたもの)

 ヒツジグサ(スイレン科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省-
    
 カリガネソウ(シソ科) 山梨県絶滅危惧ⅠB類(EN) 環境省-
    

 ヒメマツカサススキ(カヤツリグサ科) 山梨県絶滅危惧ⅠA類(CR) 環境省VU
    
 
(上記3種の指定種は山域や山岳地帯では無い場所に主に生育している)

 ヒイラギデンダは北岳に生育しており、おおよその場所は掌握しているので機会と時間があれば観察可能と思っている。

 指定種・特定種の制度は採取や移動、移譲、売買を禁じるうえで天然記念物に指定するのに近い法律的な効力を持っている。その違いは、天然記念物の場合はほとんどが場所を公開しているのに対してこの指定種・特定種の制度は場所を公開していないところであろう。良く考えられた良い制度だと思っているが、この制度があっても盗掘されている植物があることは残念である。監視員の目だけではなく自然保護に関心のある多くの人たちの目によって大切な動植物を見守って行くことが大切であろう。




コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする