山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

渓谷の大木に着生したスギラン 山梨市  令和3年1月31日

2021年02月01日 | シダの仲間
 スギランの情報をいただいたのは昨年であるが、さらにGPSの軌道と画像を送っていただいた。おそらく私も見ている渓谷沿いに生えている大木に着生しているものであろうが、私は全く気付かずに通り過ぎたのだろう。そもそも山梨県レッドデータブックに掲載されているスギラン生育メッシュの外なのでこの山域にスギランが生育しているとは全く思ってもいなかったことがある。それと、近眼と乱視の私には着生植物を探すにはきわめて不利で、自力ではほとんど見つけられないという大きな問題もある。詳細なデータをいただいてはいるものの、単独で探しに行くと見つけられないのではないかという一抹の不安を抱えながら、渓谷を登ってみる。


    本日訪れるのは、以前にも訪問したことがある大きな椹の木が生える渓谷である。


    寒い日が続いたのでところどころ渓谷は凍っている。


    そのためこの渓谷の苔の上に生えるシダはあまり元気が無い。


    苔の生した岩の上に生育するフジシダ


    ホソバトウゲシバは寒さに全く動じていない。


    葉の細いホソバトウゲシバはスギランと見間違えてしまいそうである。


    カツラの木


    渓谷の主のような大木。これはダケカンバか、トチノキか?


    大きな木を覗き込んでみると葉を丸めたオシャクジデンダが着生している。


    冬の乾燥から身を守るために葉を丸めたオシャクジデンダ。


    情報を元に双眼鏡で覗きながら探すと、スギランを発見。


    これだけの大株ならば双眼鏡が無くても近視の私の目で発見出来そうである。200㎜望遠で撮影。


    さらにエクステンダーを装着して300~400㎜で撮影。


    葉の間にある胞子嚢が成熟して破裂しているようであるが、微妙にフォーカスが合わず風に揺れて詳細は見えない。


    角度を変えて撮影するが、逆光になり白っぽい画像になってしまう。

 このスギランという着生シダは今まで見て来た個体のほとんどが木の東側ないし北東側に着生している。南側や西側だと日が当たり過ぎて水分が不足してしまうために午前中だけ日が当たる東側を好むのであろう。今回も予想はしていたのだが、やはり東側に着生しており、午後にこのシダを撮影するには陽が入らないので暗くなってしまいなかなか良い画像が撮れない。また季節を改めて、今度は午前中の陽が射し込む時間帯に再写に行きたいと思っている。

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夢見山界隈をプチ散策  令和3年1月31日

2021年02月01日 | 山梨無名山
 前日の強風は収まって穏やかな好天の朝となった。早起きできれば朝霧高原のダイヤモンド富士と思っていたが目を覚ませばもう時刻は7時半だった。良く寝た気がする。自宅の出発時間が10時近くになってしまったのでもはや行く先は限られてしまう。山梨市の渓谷でスギランが見つかりGPSの軌道も送っていただいたのでそれを見に行ってみることにする。愛宕山付近を走っている時に、甲府盆地に雲(野焼きの煙か?)が棚引いていてその向こうに綺麗な富士山が見えていた。ちょっとばかり愛宕山に立ち寄ってから山梨市の渓谷に行くことにする。

 愛宕山科学館の駐車場に車を止めて土手を覗き込んでみるとカンスゲと思われるスゲにまだ穂が残っていた。そういえばこの近傍に夢見山という素晴らしい名前の付いた山(?)があったのを思い出した。これは甲府名山の一座に指定されたはずである。ついでに登ってみることにする。


    雲の棚引いた甲府盆地と富士山


    シュンランの葉をたくさん見かけるが花芽は見つからない。今年は外れなのか?


    カンスゲだと思うが自信を持って同定できない。今年はこのカヤツリグサ科の仲間に手を広げるので少し勉強しておかなければならない。


    散策と撮影しながら歩くとあっという間に夢見山入り口に到着。裏のこんもりしたところが山頂だが、これは山なのか?


    夢見山山頂。少し平らになっている。登った気は全くしない。


    裏側に見えるのが大笠山。あっちは一応山っぽい。


    夢見山周辺は遊歩道が整備されている。


    カンスゲと思わしきシダはあちらこちらにたくさん生えている。


    スゲの仲間は雄花と雌花と種類によっては両性花が付くらしい。まだ勉強不足でその構造も良く理解していない。


    こちらは綿毛になっていた。


    綿毛になった花の部分。綿毛の部分は雌花になるのだろう。


    オオハナワラビが生えていた。葉の辺縁が紅葉している。


    群生していたオオハナワラビ


    青々としていたベニシダ


    カニクサは半分以上枯れていた。


    多目的広場


    その傍らにメタセコイアの木があった。


    愛宕山科学館とその向こうの南アルプス。ここからは北岳は見えない。


    石垣にゴッソリと生えていたシダ。コバノヒノキシダかと思ったが・・・


    葉に厚みがあり光沢がある。


    根元近くの羽片を見ると扇形をしている。これはトキワトラノオだ。こんなにたくさん生えているのは初めて見る。

 ちょっとばかり立ち寄った愛宕山と夢見山だが、オオハナワラビの群生やトキワトラノオの群生など、想定していなかったものに出会うことが出来た。近場にもこんな面白いところがあるということを改めて認識した。きっとまだまだ面白いものが眠っているはずである。

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南部町シダ観察  令和3年1月30日

2021年02月01日 | シダの仲間
 強風が吹き荒れる寒い朝だった。朝霧高原のダイヤモンド富士を撮影に行こうと思っていたのだが出発が遅れてしまい間に合いそうもない。途中で行き先を変えて三珠のセツブンソウを見に行ってみたがまだ葉っぱすら出ていない。身延町まで移動してコンビニに立ち寄り、朝食と昼食を調達していると花仲間から電話が・・・「今日はどちらへ?」。本日は植物の博士と合流して南部町にシダ観察に行くので一緒にどうかという連絡だった。ちょうど私も南部町の渓谷を探索に行こうと思っていたところだったので合流することとなった。富士山麓に続いて南部町の渓谷でもスギランが発見され、案内してもらう。


    案内してもらったスギラン。木の根元に着生しており至近距離から撮影が可能だったのには驚いた。


    スギラン。広角レンズで接写


    沢を見下ろす岩の上にも生えていた。


    さらに驚いたのがこれ。林道脇の石に着生していた。


    高い木の上にしか生育しないと思っていたが、環境が良ければこんなところにも生えるようだ。

 驚きのスギランを見せてもらった後は別の渓谷にカナワラビ属のシダを見に行く。カナワラビ属は似たようなものが多くてなかなか判別が難しく、まだ自信を持って区別が出来ない。特にオニカナワラビ、ミドリカナワラビ、コバノカナワラビは難しい。


    これはミドリカナワラビなのか、オニカナワラビなのか?同じ根元から出ている胞子葉を見るとこれはオニカナワラビのようだ。


    胞子葉は痛んでしまっていたが、これは小羽片の切れ込みが細かくコバノカナワラビと思われる。


    少し勉強してきたので、ハカタシダに似ているがこれはホソバカナワラビと分かる。群生している。


    ホソバカナワラビ。頂羽片が細長い。


    もうひとつの特徴として柄が長いことがある。


    渓谷の岩壁に生えていたこれもコバノカナワラビ。胞子葉が傷んで千切れており、時期を変えて再訪してみたいと思う。


    オニトウゲシバ

 そのほかにヒトツバやコモチシダなどを観察し、期待していたイブキシダは常緑だと思っていたのだがほとんどが枯れてしまっていた。


    おそらくどこかで見ていると思うのだが全く眼中に無かった低木、アリドオシ。


    葉の付け根の部分の茎から棘が出ていて痛い。たくさんあったがこれでも山梨県では絶滅危惧種である。


    植物の博士と一緒に歩くと知らない花の名前が次々と出てくる。これはイタビカズラというクワ科のツル性植物。雌雄異株でイチジクのような花(実)を付けるらしい。

 夕方から会合が入っている私はこの渓谷を観察して撤退となったが、他のメンバーはさらに別の渓谷に探索に出かけた。植物の博士は別格として、花仲間たちがこれほどまでシダ植物に熱中するようになるとは思ってもいなかった。きっとまた新しい発見があるだろう。
    
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