山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

相又川探索 身延町 令和3年2月21日

2021年02月22日 | 渓谷
 富士川の支脈の中では比較的経路が長く安部奥の山の懐まで続いている相又川はきっと変わった植物が生育しているのではないかと以前から目を付けていた渓谷である。しかし、工事が行われているのかダンプカーの往来が多いこの川の林道は何か入りにくいという印象をずっと持っていて一度も林道に入ったことが無かった。日曜日のこの日はおそらく工事は行われていないはずである。どこまで車で行けるのか、渓谷はどうなっているかの情報はほとんど持ち合わせていないが、どんな様子なのか、探索に入ってみる。


    林道の途中で岩壁を見上げると、何か付いている。


    サジラン


    カタヒバもたくさん付いている。これは良さそうな渓谷だ、とこの時は思った。


    林道の終点近くまで入ると広場があり車を止めた。水量はあまり多く無い。この先の林道は崩落していてこれ以上は車では無理だった。


    林道を歩いて進むと、広い河原に出た。


    対岸には崩落した林道の続きがあった。河原を遡上する。


    左側(右岸)から流れ込む滝


    別の滝。左右から小さな滝が次々と流れ込む。


    岩壁にはイワユキノシタがあちらこちらにたくさん生えている。絶滅危惧種とは思えないほどたくさん生えている。


    大きな堰堤に出た。これが最後の堰堤である。右側(左岸)に林道がありこれを使って超える。


    堰堤の先にも広い河原が続いていた。岩壁に囲まれた渓谷を想像していたのでこの景色には少しがっかりした。


    さらに河原を遡上する。大きなカツラの木が何本も立っている場所があった。


    その支脈は渓谷らしい良い景色である。


    苔の生した渓谷


    上流部。先まで行けそうだがここで引き返す。


    この支脈には探していたネコノメソウの仲間が生えていた。


    あと1週間もすれば咲きそうである。白が咲くのか、黄色が咲くのか?固まって生えている感じからすると白いほうが咲きそうだが咲いてみないと分からない。


    本流に戻る。


    渓谷が狭くなって岩壁が迫って来た。


    このあたりにもイワユキノシタがたくさん生えている。


    クリハラン!かと思ったがこれはミツデウラボシ。


    三つ手にならないミツデウラボシは普通に見かける。


    渓谷の岩壁には普通にツルデンダがたくさん生えていた。


    こんな渓谷の中にもクモノスシダが生えていた。


    クモノスシダと無性芽


    狭くなった場所を過ぎると渓谷はまた広い河原になっていた。まだ時間はあるがここで遅めの昼食をとって撤退する。

 苔の生えた緑豊かな渓谷を想像していたのだが、この渓谷は河原の広い緩やかな流れの続く渓谷だった。地図で見る限りでは標高900mあたりまでは行けそうである。今回登ったのは標高550m付近までなのでまだまだ先は長い。安部奥の山の稜線まで抜け出るのは厳しそうである。まだ見ていないヒメサジランや、山梨県では見られなくなってしまったナカミシシランなどがひょっとしたらあるのではないかと期待したのだが、全く手ごたえ無し。もう少し遡上すればもっと苔の生えた青々とした渓谷があるのかも知れない。


    もうひとつ探していたのがこのカンアオイの仲間。場所が身延町であり葉先が少し尖っているので、これはカンアオイだろうと思ったのだが・・・。


    根元の葉を除けると土に埋もれるように花が付いていた。


    マクロレンズを装着する。


    接写が可能なマクロレンズだが、岩壁の上の急峻な斜面に生えていた個体で三脚がうまく固定できず、これ以上近付けない。


    画像を調整してトリーミングしてみる。雌しべは曲がっているように見える。カギガタアオイなのか?

 葉先が尖っているか丸まっているかでカンアオイとカギガタアオイの区別がある程度可能なのではないかと思ったがなかなか難しいようである。分布域はカギガタアオイはやや南のほうに分布しており、身延町が移行部になるのではないかと思う。もう少し場所が良くてしっかり三脚が固定できる場所ならば、接近してしっかりとした画像が撮れるかも知れない。花の中も見えるのではないかと期待しているがどうなのだろうか?なんとか花を裂かないで中を覗き込んでやろうというのが目標である。カンアオイの仲間をしっかりと鑑別できるようになるにはまだ先が長そうである。

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ミスミソウ満開 市川三郷町 令和3年2月20日

2021年02月22日 | 山に咲く花
 早川町のフクジュソウを堪能して車に戻ったのは午後3時だった。日が長くなったので日没までまだ少し時間はある。しかし、探しているカンアオイの仲間を南部町まで行って探すには少し時間が足りない。ならば、そろそろ見ごろを迎えているであろうミスミソウを見に行ってみよう。中部横断道を使って移動し、訪れてみる。


    ミスミソウが咲いている。


    清楚で可愛らしい白花、ミスミソウ


    あまり固まっては咲かず、点々と咲いている。


    山肌が乾燥化して数が減ってしまっているように見える。


    リョウメンシダが生えている。山梨県ではこの場所から北側ではあまり見かけないが、隔離的に北杜市の一部で生育している。


    リョウメンシダの根元に咲いたミスミソウ


    4輪咲いたミスミソウ


    マクロレンズで少し芸術的に


    花弁は内側に6枚、外側に6枚、計12枚。


    葉はあまり深く裂けない。

 風が強くて撮影には苦労したが、毎年恒例のミスミソウは今年も綺麗に咲いて楽しませてくれた。しかし、年々数が減っているように見えるのは少しばかり心配である。盗掘や踏み荒らしがあるのかも知れないが、それよりも鹿の食害、あるいは環境の変化による山肌の乾燥化によるところが大きいのではないかと思う。特に今年の冬は雨が少なく、乾燥化が強いように思う。

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フクジュソウ満開 早川町 令和3年2月20日

2021年02月22日 | 山に咲く花
 早春の恒例となりつつあるフクジュソウの花園を今年も訪れてみた。この花は陽が当たる時間帯でないと花を開いてくれないため、午前11時から午後2時くらいまでが見ごろの時間帯である。早朝から町内会の行事があったが9時前には終わり、現地の入り口には10時半に到着した。林道を歩くつもりだったが、途中で鉄塔巡視路の入り口を発見し、林道を短絡して登ることにする。


    こんなところに鉄塔巡視路の入り口があるとは。これを使わせてもらう。


    鉄塔の尾根


    さらに樹林帯を短絡。テープが付いているが急登である。


    林道に出た。ところどころ斜面が崩落している。


    フクジュソウの花園に到着。先客の2人連れは私の花仲間の知り合いだった。

 短絡して歩いたおかげで12時前に花園に到着。フクジュソウは満開で、陽が当たって全開である。花仲間に情報をいただいたおかげで、ちょうど良い時期に訪問出来たようだ。


    満開のフクジュソウ


    陽が当たって花は全開状態。


    訪問時期もちょうど良かったようである。


    数は少し増えたように見える。


    萼を確認。花弁と同じくらいか、若干短い程度。


    花の色は濃い黄色。萼が花弁の間から一部姿を現している。


    日当たりの悪い場所は1週間後くらいが見ごろになりそうである。


    まだ蕾の花が多かった。


    存分に堪能させていただきました。

 満開のフクジュソウの花園を2時間ほど堪能させていただいた。帰りは双眼鏡片手に林道を歩き、カヤランやスギランなどの着生植物が付いているのではないかと木の上を覗き込みながら歩いたが何も見つからなかった。ついでに土手にカンアオイの仲間が生えていないかも見ながら歩いてきたが見つからなかった。早川よりも南側の河川流域ではカヤランが見つかっているが北側ではまだ見たことが無い。たぶん有ると思うのだが、今後も探索を続けたいと思う。

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まさかのマツバラン 令和3年2月19日

2021年02月22日 | シダの仲間
 根も葉も持たず茎と胞子しか無い原始的な形態のマツバランは、かつて山梨県から消滅したと思われていた時期があり、2007年版レッドデータブックでは野生絶滅になっていた。その後、県南部の桜の木に着生したマツバランが復活して2018年版では絶滅危惧ⅠA類となっている。かつては甲府市郊外、あるいはその近傍の竹林の林床に生育していたらしいがもう何年も見つかっていない。ところが、またしても私の花仲間がこのマツバランを見つけてきた。別の花を見に行った際に偶然見つけてきたもので確認したのは1株だけらしい。詳細に場所を聞いてさっそく見に行ってみた。


    これは水を貯める桶の跡か?


    こんなところにこんなものが生えているとは驚きである。


    マツバラン。個体が小さくまだ胞子嚢は成熟していない。

 見つかったのはこの1株だが、水桶の跡という場所が奇妙なだけに、これが本体では無いだろう。周辺にある桜の木やイチョウの木を念入りに見てまわるがそれらしきものは着生していない。竹藪の中はどうだろうか?ボサボサの竹藪をかき分けて入ってみると、その中に少数ながらマツバランが生育していた。


    竹林の林床に生えていたマツバラン


    見つかったには見つかったが・・・


    小さな個体ばかりで目を凝らして見ないと見落としてしまいそうである。


    一番大きかったのがこの個体


    胞子嚢はまだ成熟しておらず痕跡だけである。

 個体が小さいのはまだ幼弱だからか、それとも生育状況が悪いからなのだろうか?これから経過を追って見て行く必要がある。


    池のほとりに生えていたイノモトソウ


    林の中はオオベニシダがたくさん生えていた。

 マツバランがかつて生育していたという竹林はこの近傍のはずであるが正確な場所は知らない。探せば他の場所の竹林にも生育しているかも知れない。しかし、見つかっただけでもこれは凄いことである。

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