山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

西沢渓谷探索 令和3年4月21日

2021年04月23日 | 渓谷
 昨年は遊歩道崩落のため入山規制があって年間を通じて入れなかった西沢渓谷であるが、崩落した橋を迂回する道が完成しつつあり、今年は入山できそうな様相である。まだいつから入渓できるのかは不明であるが、今回は植物調査の目的があり市役所に許可をいただいての入山となった。


    ヒカゲツツジが咲く。


    日当たりの良いところではアズマシャクナゲが咲き始めていた。


    今回のいちばんの目的はこのクモイコザクラの状況である。


    まだ咲き始めたばかりで蕾が多かった。


    固まって咲いているところもあった。


    一番見たかったのはこの葉の形態と大きさである。予想では小さめの葉ではないかと思ったのだが意外と大きく切れ込みも深い。

 昨年奥秩父山系の乾徳山で見てきたクモイコザクラは、葉が小さくて毛が多く切れ込みも小さかった。同じ奥秩父山系の西沢渓谷も同じような形の葉をしているのではないかと予想していたのだが、意外と大きく切れ込みが深く、葉の辺縁の鋸歯も尖っていてクモイコザクラらしい葉の形をしていた。しかし、葉脈が窪んでいるところは八ヶ岳や南アルプスのものに比べて深く、コイワザクラに近い。


    驚いたことにこんな花が咲いていた。


    イワウチワ。山梨県では上野原近傍にしか無いと思っていたらこんなところにも生育していた。


    シダも見て巡る。オオクボシダ。


    胞子嚢が付いていた。一番多く着生していた岩は崩落して消滅していたのが残念。


    昨年は探したが見つからなかったヒメスギラン。


    今年はしっかりと出会うことが出来た。


    ヒメイワトラノオ。昨年よりも小ぶりである。


    昨年確認できなかった無性芽を確認する。黒い小さな塊が無性芽。


    探してみると、無性芽から小さな葉を出している個体にも出会えた。これでヒメイワトラノオであることが確定である。


    スゲの仲間も見て巡る。カンスゲのようだが少し違う。


    小穂は先端部が雄でその下に雌がある雄雌小穂の形である。小穂の赤紫色が濃い。コカンスゲというスゲらしい。


    雌雄異株のヒナスゲ。これは雌株。


    先端部の黒っぽいものが雄株。たくさん見かけるが、これでも山梨県では絶滅危惧種。


    まだ正体が不明なのがこのスゲ。ヒメカンスゲに非常に良く似ている。


    先端部の雄小穂は赤紫色が濃く、ヒメカンスゲとは違うようにも見える。


    根本の鞘は薄く赤紫色。


    葉が濃い緑色で、おそらくこれはスルガスゲではないかと思われるが、結実した実を良く見てみないと確定はできないだろう。

 いちばんの目的はクモイコザクラ、そしてヒメスギランとオオクボシダ、さらにヒメイワトラノオの無性芽を確認することだった。そのほかに余裕があればスゲを見て回りたいと思っていたのだが、予想をはるかに上回る植物に出会うことが出来た。たいへん有意義な山行となった。スルガスゲは確定に至らず宿題となり、また見に来てみたいと思う。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

河口湖湖畔を散策 令和3年4月19日

2021年04月23日 | 番外編
 明日は都留市に出張の予定である。早朝からの仕事が入っているので前日に山中湖まで行って泊り出張先に行こうと目論んだ。その前にそろそろ生えているかもしれない水草の仲間を探索に河口湖の湖畔を歩いてみた。


    天気が良くて午後になっても雲が巻かない富士山が見えている。


    一昨日の雨は富士山では雪だったようで、再び白くなった富士山。


    湖畔に生えていたスゲの仲間


    さて、これは何スゲ??


    先端が雄小穂、下が雌小穂。茶色い鱗片が見える。おそらくこれはアゼスゲであろう。


    アゼスゲと富士山

 期待していた水草は残念ながら見当たらず。まだ生えていないか、あるいは少し深い場所で水の中に沈んでいるのかも知れない。5月、6月で水が引いた渇水期の頃には姿を現してくると思う。

 この後山中湖に移動の予定だったが、重要な資料を持ってくるのを忘れたのに気付き、止む無く甲府の職場に戻ることとなってしまった。また山中湖まで行く気はせず、結局自宅に戻って寝て早朝出発することになってしまった。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

咲き始めたセンダイタイゲキ 令和3年4月18日

2021年04月23日 | 里に咲く花
 そろそろセンダイタイゲキが咲いている頃だろう。何ヶ所か花を巡り歩いてきたが日没にはまだ時間があるので訪問してみる。


    ニリンソウが咲いていた。


    ヒゴスミレ


    イブキスミレ


    センダイタイゲキ。まだ背丈が小さくて花は咲き始めたばかり。


    緑色のセンダイタイゲキの花


    こちらは赤いセンダイタイゲキ


    赤い花


    どういう構造をしているのか?


    どれが花弁でどれが萼?勉強不足で分からない面白い構造の花。

 センダイタイゲキは今年もたくさん生えてくれて生育範囲も少し広がっている。一部で草刈りされてしまっているところもあるのだが、個体数は十分すぎるくらいにある。他の場所にもあるのではないかと近隣を探しているが見つかっているのは1ヶ所のみである。よほどのことが無ければ消滅することは無いと思われる。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

胞子穂が伸びてきたヒロハハナヤスリ 令和3年4月18日

2021年04月23日 | シダの仲間
 先週も訪れたばかりのヒロハハナヤスリを再訪してみる。前回はまだ胞子穂が十分に伸びていなかったが、そろそろ見ごろになってきた頃ではないかと思う。草刈りされていないかどうか心配である。


    胞子穂が伸びてきたヒロハハナヤスリ。もう少し伸びたところで綺麗に撮影してやりたい。


    日当たりの悪いこの場所は型も大きめで胞子穂が伸びている。しかし残念なことに後ろ側の個体は草刈りされてしまっていた。


    ヒロハハナヤスリと胞子穂


    赤紫色のジュウニキランソウ。キランソウとジュウニヒトエの交雑種。


    紫色のジュウニキランソウ


    たぶんこれが片親のジュウニヒトエ


    たぶんアオスゲ


    先端部に少し大きめの雄小穂がある。

 同行した花の師匠がウラシマソウが見ごろになっていると案内してくれた。このウラシマソウが生き生きとしていてビックリ!甲府で見るウラシマソウは単発的にパラパラと咲いているがここは固まっていて仏炎苞が1.5倍くらい大きくて生き生きしている。


    群生しているウラシマソウ


    長い釣り糸を出している。仏炎苞が大きくて生き生きしている。


    ここは生育環境が良いのであろう。


    オドリコソウも咲いていた。

 8月に山梨のシダの写真展を開催する予定があり、今回の可愛らしいヒロハハナヤスリは是非展示したいと思っている。一応撮ってはあるがいまひとつ満足できない画像ばかりである。真っ青な青空の下で元気に葉を広げて胞子穂を伸ばしているような姿が撮れればと思っている。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする