山梨百名山から見る風景

四方を山に囲まれた山梨県。私が愛して止まない山梨の名峰から見る山と花と星の奏でる風景を紹介するページです。

太刀岡山の岩場巡りに一苦労  令和2年11月2日

2020年11月05日 | 山梨百名山
 数日前の林道歩きの筋肉痛がまだ抜けず、あまり歩きたい気分では無い。遅めに起きて某中学校の桜の木の下に生えているフユノハナワラビでも見に行こうかと出発したが、ちょっと寄り道して太刀岡山の駐車場の前を通りかかったら駐車スペースが空いていた。車を止めて登るかどうか考えるが、紅葉真っ盛りのこの時期に登らずしていつ登るのか?という気になり、行ってみることにした。山頂までは急登だが普通に歩けば2時間はかからないはずである。あくまでもそれは登山道を普通に歩けばの話で、そのつもりで出発したが脇道らしきものがあってついついそれを辿ってしまってまたまたドツボにハマってしまう。毎度のように道が無くなり、そのまま道無き急斜面を直登することになってしまう。


    駐車場から見上げる太刀岡山の鋏岩。紅葉真っ盛りである。


    このルートを歩くのは15年ぶりくらいだろうか。もうほとんど覚えていない。


    岩の隙間から何やら細長いシダが伸びている。コバノヒノキシダかと思ったが良く見れば大型のトラノオシダだった。


    何となく脇道があったので入ってみる。この近傍にヒカゲワラビというのが生えているらしいのだがまだ見たことが無い。これはイヌワラビだった。


    その近くに一株だけ生えていたのはアカハナワラビだった。だいぶ目が慣れてきてハナワラビの仲間は区別が付くようになってきた。


    炭焼き窯の跡。この辺りまでは道らしきものがあったが・・・


    お決まりの斜面の崩落と倒木で道は消失。そのまま道無き斜面を直登する。


    目指したのは太刀岡山西面にある岩場。ここはクライマーがやって来るはずなので道があると思ったのだが・・・?

 斜面を直登して太刀岡山西面にある大きな岩壁の側面に登り着いた。紅葉は見頃だが岩壁を見るに良い場所は見当たらなかった。この場所はクライマーがやって来る場所だと思っていたのだがどうやらそうでは無いようである。道があるだろうと思ったのだがそんなものは見当たらず、岩壁の横を通り抜けてまた道無き斜面をひたすら上に登る。すると尾根筋の登山道にポンと抜け出た。


    斜面を直登していると石積があった。これも炭焼き窯の跡のようである。


    咲き残りのシロヨメナ


    ひたすらに上に向かって登って行くと・・・


    尾根筋で正規の登山道に抜け出た。

 正規の登山道も急登ではあるが道無き斜面に比べると遥かに歩き易く、登山道のありがたさを身をもって感じた。


    太刀岡山山頂に到着。


    残念ながら富士山は雲に隠れて見えない。


    太刀岡山は双耳峰で、三角点と標柱は標高の低い南峰にある。こちらが最高点の北峰だが何も立っていない。

 適当に間食しながら登って来たのと、思いのほか時間がかかってしまい時刻は午後3時近くになってしまった。休まずに下山するが・・・下りて行くと岩壁でクライマー6~7人が岩登りの練習をしていた。その奥に先ほど通過した岩壁のほうに行けそうな道が付いていた。どうやら岩壁のあたりでは道が不明瞭で見落としたようである。そしてもう1本、北西面にある鋏岩に行けそうな道を発見し、行ってみる。


    途中の大岩。ホールドがいくつも打ち込んでありこの岩でクライミングの練習をするようだが、この下にもっと大きな岩があって若者たちが練習していた。


    岩壁に着生していたシノブは紅葉していた。向こうに見えるのは茅ヶ岳。


    鋏岩に下りる途中にある大岩。


    鋏岩の付け根に下り着く。


    苔の生えた岩壁


    鋏岩を見上げる


    付着しているのはヤマユリらしい。先端部に種が付いている。


    変わったシダが付いていないか探すが・・・イワヒバ。


    こちらはミサキカグマ。目ぼしいシダは見つからず。

 鋏岩の下にそのまま下りたが道は見つからず、獣道らしき細い道を辿って斜面をトラバースし登山道に戻った。時刻は午後4時を過ぎ森の中は薄暗くなってきており、少しばかり焦ったが無事に日没前に駐車場に到着した。


    残照の鋏岩

 岩場の多い太刀岡山の急登側ルートならば、ひょっとしたらヒモカズラのような岩に着生するシダに出会えるのではないかと考えて登ったが、残念ながら今回巡った岩壁にはそれらしきものは見当たらなかった。ヒモカズラはやや標高の高い場所を好んで生育して居るので太刀岡山では少し低かったかも知れない。筋肉痛の足は疲労困憊になったがなんとか普通に歩けた。

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シダと紅葉を巡る 升形山 令和2年11月1日

2020年11月04日 | シダの仲間
 前日の長いアスファルトの林道歩きが足に堪えて足首とふくらはぎの痛みが残っている。この日は歩くのを止めようかとも思ったのだが折角富士山が見えているのにどこにも行かないのはもったいない。短時間で行けそうな場所を考えて升形山と余裕があれば曲岳まで行ってみようと目論んだ。いつもはあまり車が止まっていない駐車スペースだがこの日は5~6台の車が止まっていてほぼ満車状態だった。足の調子を確かめながら出発する。


    シダが群生しているので近付いてみる。オシダかと思っていたがほとんどがミヤマクマワラビだった。


    その中にイノデが混ざっていた。このイノデは?葉にはあまりツヤが無い。


    根元近くの鱗片はやや広め。


    真ん中あたりの鱗片は幅が広く無い。これはイワシロイノデであろう。


    木に着生したオシャグジデンダは葉を丸めて越冬の体制になっていた。


    木の上のほうにも着生していたオシャグジデンダ


    見たかったのがこの岩にたくさん生えていたはずの小さなシダだが・・・?


    部分的に岩肌が露出している。どうやらたくさん生えていたカラクサシダは苔と一緒に脱落してしまったようである。

 期待していたカラクサシダは姿が見当たらない。周辺の岩を覗き込んでもこの場所には無さそうである。他の場所にはあるのだろうか?登山道を無視して沢沿いを登って探してみることにする。バリアンスルート歩きになるので足に少しばかり不安はあるが崖は無いはずなので大丈夫だろう。


    ほとんど源流で水は少ない。


    苔の生えた岩を覗き込みながら進むと、カラクサシダが生えていた。


    カラクサシダ。小さな個体だが生えていてちょっとばかり安心した。


    小さな個体ながらソーラスは付着していた。


    他の岩を覗き込むと次々に見つかった。


    ここはカラクサシダの天国のようである。


    登山道まで登り上げて脇の岩を見たらそこにもカラクサシダが生えていた。

 以外にもたくさん生育して居ることが分かったのは収穫である。足を引きずるように升形山の最後の急登を登る。


    黒富士と富士山。だいぶ薄雲が広がってしまった。


    升形山には新しく甲府名山の標柱が立てられていた。


    山頂から見る八ケ岳


    紅葉の山並と金峰山


    黒富士と富士山

 紅葉の時期は少し過ぎていて錦秋の景色とまでは行かなかったが、それでも存分に紅葉の景色を楽しむことが出来た。さて、もう1ヶ所、昨年新たに見つかったシダが生えている場所に立ち寄ってみる。


    うっすら赤くなっているオサシダ


    見たかったのはこのシダ。一見するとシダでは無くて苔のように見える。


    これはヒモカズラという立派なヒカゲノカズラ科のシダである。しかも山梨県ではレアもの。


    常緑性のシダであるが越冬準備で一部が茶色くなっているようである。


    出来れば青々と茂った元気な時にこの景色を再写してみたい。

 予定外の沢の探索を行ったためにだいぶ時間がかかってしまった。曲岳まで行けない時間では無いのだが足がいまいちなことと空模様もいまひとつなので、本日はここまでで撤退とする。たくさんのカラクサシダに出会えて、ヒモカズラも絶好の位置に着生しているものが見つかった。いろいろと収穫が多い1日となりやはり歩いて良かったと思った。

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オレンジ色のブルームーン昇る 令和2年10月31日

2020年11月02日 | 月富士
 前日と前々日は月と火星が接近していたのだが、本日になると離れてしまいやや広角のレンズ視野でないと撮れなくなってしまう。また、本日は10月2度目の満月でブルームーンという特別な名前が付けられている。ブルームーンだからといって月が青く見えるわけでは無く、普通の満月である。この日の月は日没とほぼ同じ頃に月の出となり、朝霧高原からパール富士を狙うと日没後1時間ごろの月になるため、富士山に露出を合わせるとダイヤモンド富士のような明るい月になってしまう。県南部の静岡県境あたりまでやって来たのは出来るだけ遠い位置で水平に近い位置からのパール富士を狙うためである。それでも、今回やって来た林道からだと月が富士山の上に昇って来るのは5時22分ごろで日没約25分後になる。この時間帯だと富士山に露出を合わせながら月面の模様を写すのは困難であろう。しかし、距離が遠くて月が水平線に近いと、金色よりもオレンジ色に近い色の月が昇って来るであろう。朝からスッキリと空が晴れ渡り、夕方になっても雲が出てこないこんな日は滅多に無い。パール富士はいただき、だがうまく撮れるかどうか?


    日没時間を過ぎてうっすらとアースシャドウが見える。あと10分ほどで月が富士山の左脇から現れるはずだ。


    2台のカメラをセットして月の出を待つ。こちらは35㎜フルサイズカメラに570㎜望遠レンズをセット。


    78㎜望遠ズームにAPS-Cサイズカメラの視野。月が現れたが予想していたよりも右から現れた。


    白山岳に月が昇る。


    予想していた通りにオレンジ色の月が白山岳に昇って来た。左の赤いのは飛行機。何でこんな時にここを飛ぶか!?


    オレンジ色のブルームーン昇る。


    月の模様に露出を合わせると富士山は消えてしまう。


    あっという間に月は画角ギリギリの位置まで昇ってしまう。


    富士山頂に昇るブルームーン


    同上


    広角レンズに変える。月明かりに負けず右上の火星が明るい。月が明るいためにどうしてもフレアが出てしまう。


    そこでフレア抑制のために月の位置を画角のど真中に持って来るとフレアが出ない。トリーミングしなくとも自然な位置に納まってくれた。

 さて、本日のこの展望地での撮影はここまでである。あとは何ヶ所かある展望場所で月を見ながら下山である。


    ブルームーンと火星


    富士山の裾野に花火が打ち上がっていた。ハロウィン花火大会があちらこちらで打ち上げられたらしい。


    ススキとブルームーン。本日は良い月見が出来ました。

 シダを見ながらではあるが登り3時間半、下り2時間の林道歩きは少しばかり足、特に足首に堪えて下山後に筋肉痛と関節痛を起こした。アスファルトの道は足に跳ね返りが強うようで、登山道以上に負担がかかるようである。しかし、この日の月はそんなことを忘れさせるくらいに素晴らしい月だった。撮影し易い朝霧高原とは違う味わいのあるパール富士である。

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県南部の林道をシダと紅葉探索 令和2年10月31日

2020年11月02日 | シダの仲間
 10月も本日で終わりである。もう花のシーズンはほぼ終わりであるがシダは常緑性のシダと冬緑性という冬の間に元気な変わりもののシダもあるので季節を問わずに楽しむことが出来る。山梨県県南部ではそろそろヤマヒルが居なくなる頃で、足元をあまり気にせずに歩けるところも良い。本日探索するのは春に何度か歩いている林道であるが秋には歩いたことが無い。季節が変わるとまた違ったシダの姿が見られるかもしれない。いつもよりは少し上のほうまで、距離にして8㎞ほど(往復16㎞)散策してみたいと思う。


    山々は紅葉で染まり秋らしい景色になっている。


    渓谷の岩壁に茂るイワユキノシタ


    イワユキノシタ。この渓谷沿いにはたくさん生えている。


    まずはこのシダ、リョウメンシダ。痛んではいるがまだ青々としている。


    コバノイシカグマ。南方寄りのシダで県南部で稀に見られる。


    全体的に毛が多く、ソーラスは裂片の辺縁に付く。


    コケシノブに似ているが丸みを帯びていてちょっと違う。


    葉の辺縁が鋸歯状でギザギザしている。これはコウヤコケシノブ。


    法面の苔の上にチャセンシダが少しだけ生えていた。


    これも?と思ったがちょっと違う。こちらはツルデンダ。先端部の無性芽がしっかりと根付いていた。


    ネットの奥にコバノヒノキシダがたくさん。


    イワデンダ。周辺にもたくさん生えていたが・・・


    イワデンダはほとんどが枯れかけていた。


    岩壁に生えたフクロシダとホソバナライシダ。


    サジランの群生に出会う。


    クモノスシダが法面一面にだくさん生えていた。周辺にはコバノヒノキシダやツルデンダが生えており、交雑シダが出そうな環境である。


    こんなところにヒメカナワラビが生えていた。数は少ない。


    紅葉の谷の向こうには富士山が見える。


    だいぶ登って来た。もう日没が迫って来た。もう少し先まで行ってみる。


    本日の最終地点の富士山展望地。日没間際に到着した。


    日没迫る富士山。さて、ここからが本番だ。

 昨年春に見たイヌシダと一緒に生えていた正体不明のシダがあったのだが、本日確認したらイヌシダと同じ仲間のコバノイシカグマだった。もう1種類確認しておきたかったイワヘゴらししシダが数株あったのだが確認出来ずに通り過ぎてしまった。法面の壁に張り付いていたので落ちてしまったかも知れない。昨年よりもだいぶパワーアップしたのでシダの名前も大部分が分かるようになりそれなりに楽しく散策できるようになった。

 さて、本日最終地点で夕暮れの富士山を見ながら三脚と2台のカメラを構える。そこに現れるのは・・・!!(続く)

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