後藤和弘のブログ

写真付きで趣味の話や国際関係や日本の社会時評を毎日書いています。
中央が甲斐駒岳で山麓に私の小屋があります。

多摩川に沿って、その水源を用いた二つの地酒、田村酒造と小澤酒造のご紹介

2014年07月31日 | 写真

多摩川に沿って、その清らかな水源を使った美味しい地酒があります。

福生市の文政5年創業の田村酒造 (http://www.seishu-kasen.com/)の嘉泉と、青梅市の元禄15年創業の小澤酒造 (http://www.sawanoi-sake.com/)の澤の井です。

特に田村酒造の美しい建物群は国が認定する有形文化遺産です。 (http://www.seishu-kasen.com/bunkaisan)をご覧下さい。

昨日、奥多摩への小さな旅をした折にこの2つの酒蔵の写真を撮ってきたのでお送り致します。この2つの酒蔵の詳細はそれぞれのHPをご覧下さい。

なお全く個人的なことで恐縮ですが、家内は上の田村酒造と親戚関係にあります。家内の祖母の雪おばあさんの弟へ田村酒造の娘さんがお嫁に来たのです。

その雪おばあさんの弟の家には私も何度か行きましたし、家内も子供の頃何回も泊まった楽しい思い出があるそうです。

この雪おばあさんは明治女の傑物でした。才覚も度胸もあるのですが女性としての優しさに溢れていました。

私たちが新婚のころ半年ほど同居していましたが、当時、本郷の大学に勤務していた私のために毎朝、釜戸に火を焚いて、ご飯を炊いて温かい弁当を作ってくれたのです。私どもも孫として雪おばあさんをその後、自宅へよんだり、相模湖や小金井公園の櫻見物に案内したことが良い思い出になりました。

昨日、田村酒造の写真を撮りながら、そんなことを思い出していました。


ブランドと人の心(4)ワインのブランドは日本独特の文化

2014年07月31日 | 日記・エッセイ・コラム

日本ではワインといえばボルドーが最高級と信じ込んでいる人が多いようです。

そしてボルドーというブランド名が独り歩きをして人々はその言葉をやたら有難がっています。それはワインに限りません。

産地の名前をブランドと変えてしまって、言霊のように崇め奉る人の心はやはり日本独特の文化ではないでしょうか?

ボルドーのワインはブドウの出来、不出来によるので生産した年の気候によって決まります。ですから不味い年もあるし、美味しい年もあるのです。そんなことを一切気にしない日本人が多いのは困ったものです。

昔、南ドイツに住んでいたころ毎晩のようにワインを飲み、ドイツ人と何処のワインが美味しいか議論したことがありました。

そうしたら彼等は産地ではなく天候しだいだと言います。そしてボルドーのワインは不味いと言います。

南ドイツではモーゼル川の沿岸の南向きの斜面でとれたブドウで作ったワインが美味だと断言するのです。

そして、そのブドウを摘み取る時期によって酸味、辛口の度合い、甘味、味の深さ、フル-ティさなどが違います。ある人が遅い時期に摘んだ濃厚な味が好きだと言えば、他の人は早摘みの軽やかな味が好きだと断言します。

それで気がついたのですが、ヨーロッパ人は自分の国のワインを最高と信じ、外国のワインをあまり飲みません。ボルドーは日本でだけ有名なのです。

この連載では産地の名とブランドとは違い、外国ではブランド名を産地という意味で使っているのに日本では崇め奉る言霊として使っていることを説明したかったのです。ところがこの説明をどうしても理解してくれない人が多いのです。

例えばシャネルという商品はココ・シャネルとその一派の人々の独創性を尊重して製作者の名前を言っているのです。シャンルの商品が全て良いと保証している訳ではないのです。自分の好みにあった商品だけを買えばよいのです。

たまたま昨日、昔仲人をした夫妻から例年のように盛岡市の五枚橋ワイナリーのカベルネ・ソーヴィニヨン2012というワインを一本送ってきました。

さて栓を抜こうと箱を開けたら、そのまえに読んでくださいというように小さな紙が出てきました。その紙にこのワインの説明があるのです。

ビン詰め本数は316本、750cc,アルコール度13.5%です。そして以下の文章があります。

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前年の凍害にもめげず、生き残った葡萄の枝は力強く、良い房をつけてくれました。発酵後のワインは、しっかりした手応え。今までのカルベネのように、やや酸味を伴った爽やかな果実味というよりは、厚みがあってやや縁が柔らかい、風格のようなものを感じます。奥行きがしっかりとあり、魚貝類に良く合う(葡萄酒を作る)土地の個性はそのまま。ちょっと成長し、大人になったカベルネの印象です。

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上の説明文の良い点は以下のようです。まず葡萄酒の味は作る年によって変わりますと明言していることです。2012年ものは従来のフル-ティなさわやかな味ではなく、濃厚で重い味に仕上がってと言っているのが明快です。遅摘みのワインに近い味です。そして魚貝類の料理に合うと言うのですから地中海に近い南フランスのワインに似た味なのです。最後の文章の・・・ちょっと成長し、大人になったカベルネの印象です。・・・で決まりました。濃厚で奥行きのあるワインが好きな人には良いと言っているのです。

このような説明書きを読むとブドウ栽培の苦労や発酵工程の苦心が偲ばれます。そして出来たワインは年ごとに違うのです。

気に入るか入らないかは飲む人の勝手です。とにかく誠心誠意作りましから気に入ったら飲んで下さい。そんな姿勢が好ましいのです。

五枚橋ワイナリーは有名なブランドではありません。ブランドなどどうでも良いのです。人それぞれ好みは違いますがきっと気に入ってくれる人がいると信じています。このようなメッセージが清々しいのです。

そこで、このワインの合うような料理を作ってから味わうことにしました。

エビ、イカ、ムール貝などをオリーブ油で炒め、トマトの切ったものを多めに入れ、塩、コショー、で味付けし、ローリエを加え、ゆっくり煮込んだ地中海風の料理を作ってからワインの栓を抜こうと考えています。

下にこのワインの写真をしめします。

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隠れた奥多摩の美しい古刹をたずねる・・・その悲劇的な歴史

2014年07月31日 | 日記・エッセイ・コラム

美しい古刹といえば奈良、京都、鎌倉に沢山あります。

しかし美しくて古いお寺が奥多摩の山中にも一つあります。有名ではなく観光客も来ないのでいつ行ってもヒッソリと静かです。奥多摩の山々に隠れているようです。

青梅の町を過ぎ奥多摩街道が二俣尾に差しかかると右側の山に白壁の塀をめぐらせた古いお寺があります。高台の上に建っていて、そのたたずまいが魅力的です。そのお寺は海禅寺といい、江戸時代より随分と前の1400年ころの開基です。

昨日、久しぶりにお寺にのぼり、境内を散策して来ました。まず写真をご覧下さい。

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奥多摩街道に面して山門があり、中に入ると鉄道の奥多摩湖線の踏切があります。その踏切の向こう側の山に写真のような古刹があります。

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石の階段を登ると上の写真のような見事な楼門があります。

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楼門の奥に上の写真のように本堂が静まり返っています。暑い夏の陽が射し裏山でしきりにアブラゼミが鳴いていました。

このお寺の歴史と滅亡した豪族の三田氏の悲劇を思いかえしながら境内をゆっくり歩いてきました。このお寺は三田氏の菩提寺でその豪族の運命に翻弄されたのです。

現在の青梅市から奥多摩の一帯は南北朝の頃から、この三田氏という豪族が治めていたのです。

しかし戦国時代の中ごろになると北条早雲一族のいわゆる、後北条氏が関東地方を占領してしまったのです。その北条氏の本拠は小田原城でしたが、一族の北条氏照(うじてる)は八王子城に居て、隣の青梅と奥多摩も手に入れようと狙っていたのです。

そしてついに1559年、三田一族は北条 氏照に殺されてしまったのです。

三田氏の悲劇は武田信玄の攻撃にも関係があります。

上の本堂の写真に写っている裏山には三田氏の辛垣城(からかきじょう)があったのです。ですから1563年(永禄6年)に三田氏が滅亡した際、海禅寺の建物も焼失してしまいました。 

三田氏が奥多摩の山々を越えて関東平野に出ようとする武田側につく前に北条氏照は三田氏を倒し、自分の兵力を奥多摩に置き武田信玄に対峙したのです。

しかしそれも17年間という僅かの間でした。

現在の東京都の西半分を広く占領していた北条氏照も天正18年、1590年の秀吉による小田原城の落城の直後、殺されてしまいます。

八王子城はじめ関東一円の小さな城の全てが落城し、秀吉一派の占領するところになったのです。

昨日たずねた海禅寺も再びこの戦乱に巻き込まれてしまったのです。

そして徳川の時代になると幕府から15石と朱印状を与えられ、お寺の名前を現在の海禅寺と変えて再出発したのです。

有為転変は世のならいと言いますが、この奥多摩の古刹にも何度か悲劇が襲ってきたのです。

皆死んで居なくなった後でも、山は変わらずに寺の後を包むように守っています。前には多摩川が何も無かったように昨日も流れていました。

この古刹の歴史を思い出しながら夏の日がまた流れて行きました。

それはそれとして、今日も皆様のご健康と平和をお祈り申し上げます。

後藤和弘(藤山杜人)

=========海禅寺の概略==============

  • 海禅寺 についてはhttp://www.mapbinder.com/Map/Japan/Tokyo/Oumeshi/Kaizenji/Kaizenji.html   をご覧ください。   
  • 下に昨日撮った多摩川の写真を掲載いたします。
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