私はこの記事で3つのことを書きたいのです。
(1)特攻機の悲劇は二度と起こしてはいけないということをまず書きたいのです。しかし特攻隊で死んでいった5845人は日本人の精神的遺産として戦後の復興と経済成長を支えたのです。私自身もいつも彼等の気持ちを考えて戦後の復興に頑張りました。
(2)特攻隊で死んだ人と、その出撃を支援して戦死した人の数をご紹介します。そして予科練の跡地にある「雄翔館」の訪問記を添えておきます。
(3)沖縄戦で出撃し特攻機の数とその戦果をご紹介します。
以上の(1)の日本民族の精神的遺産についてはいずれまた詳しく書きます。
しかし自分の国の国土を守り、家族を守り、故郷の平安を祈りながら突っ込んで行った彼等の崇高な気持ちには感動します。日本民族なら彼等の死を無駄にはしないと思うのが当然ではないでしょうか。そのことは別に書きたいと考えています。
それでは上の(2)から始めます。
(2)特攻隊で死んだ人と、その出撃を支援して戦死した人の数
下の写真は「雄翔館」の隣にある予科練生の像です。
2008年10月現在確認されている特攻隊員戦死者数は
- 海軍
- 海軍航空特攻隊員:2,531名
- 特殊潜航艇(甲標的・海竜)隊員:440名
- 回天特攻隊員:104名
- 震洋特攻隊員:1,081名
- 合計:4,156名
- 陸軍
- 陸軍航空特攻隊員:1,417名
- 丹羽戦車特攻隊員:9名
- 陸軍海上挺身隊員(マルレ):263名
- 合計:1,689名
この他に第二艦隊戦没者、回天を搭載して出撃し未帰還となった母艦潜水艦搭乗員、移動中の乗船海没などにより地上戦に参加した戦没者等の特攻作戦関連戦没者が
- 第二艦隊戦没者:3,751名
- 回天部隊関連戦没者:1,083名
- 震洋部隊関連戦没者:1,446名
- 陸軍航空関連戦没者:177名
- 海上挺身隊関連戦没者:1,573名
- 空挺部隊関連戦没者:100名
- その他(終戦時自決・神州不滅特攻隊、大分702空等)戦没者:34名
- 合計:8,164名
以上合計14,009名を数える。(Wikipediaの特別攻撃隊より引用しました)
2008年10月2日に霞ヶ浦西岸の陸上自衛隊武器学校敷地内にある予科練特攻隊戦死者の写真や関係資料の展示館、「雄翔館」へお参りして来ました。
特攻機とともに突っ込んで行った若者の写真と遺書が数多く展示してあります。皆の顔が悲しそうに見えます。悲壮な雰囲気です。
当時72歳だった私から見ると皆子供のように見えます。こんな人々を死に追いやった日本民族の歴史の悲劇を忘れないようにしたいと思いました。
忘れたいという気持ちもありますが。霞ヶ浦へヨットへ行く折に、時々湖畔にある予科練の跡地の「雄翔館」を訪れます。
葉山マリーナで知り合った元予科練生だったヨットマンの田村さんの話によると、彼も含めて幹事役が予科練の生存者や関係者からお金を集めて作ったそうです。
ところで、「雄翔館」の展示の仕方にいつも不満を感じます。上の引用資料のように特攻隊は海軍の神風特攻隊だけではありません。
それなのに「雄翔館」には海軍の特攻隊のことしか書いていません。陸軍特攻隊のことには一切説明が有りません。
若い人々がここを訪れて特攻隊の戦死者は2531名だけと誤解する可能性が大きいと思います。
このような展示館でも陸軍と海軍が対立しお互いに相手の特攻隊は無視しています。
旧軍隊の伝統が現在の自衛隊も墨守しているようです。
展示館は入場無料で、武器学校の正門の衛兵の側に車を乗りつけ、案内を乞うと構内の駐車場を親切に教えてくれます。
九州の知覧にある特攻隊記念館も見ましたが、旧軍の特攻隊の全体像が簡単に理解できるような展示にはなっていません。
館内は撮影禁止です。上の写真は「雄翔館」の隣にある庭園の予科練生の像です。今朝供えたような生花がありました。
アクセスなどの詳細は「雄翔館」で検索して下さい。
(3)沖縄戦で出撃し特攻機の数とその戦果
以下の統計と関連写真の出典は、http://www.geocities.jp/torikai007/1945/okinawa-kamikaze.html です。
沖縄戦の特攻隊に関する統計:
沖縄戦において、日本軍は、航空機約1,900機(海軍1,000機、陸軍900機)とその搭乗員約3000名(海軍2,000名、陸軍1,000名)を特攻作戦に出動させた。
沖縄特攻の戦果は、艦船の撃沈26隻,損傷164隻で,米海軍の人的損失損害は、1945年4月から6月末で,沖縄方面の全作戦を含めて死者4,907名、負傷者4,824名に達した。
特攻による米国商船の被害一覧でも,フィリピン戦と沖縄戦の特攻で撃沈できた米国の商船は6隻で,撃沈を含め損傷を受けた商船は合計23隻である。
日本軍の特攻は、空母,戦艦はもちろん,巡洋艦すら1隻も撃沈していない。特攻機が撃沈したのは,駆逐艦12隻,護衛駆逐艦1隻,高速輸送艦(駆逐艦改造)など3隻が主要軍艦であり,その他は戦車揚陸艦,掃海艇,輸送船であった。特攻機の命中率の低さと命中したときの威力不足のために,特攻の効果は大きくはなかった。 特攻の威力を見ると,艦艇1隻に1機の特攻機が命中するだけでは撃沈できることは少なく,たとえ複数の特攻機が命中しても撃沈できない場合も珍しくはない。特攻機の命中がどれほどあったのかは,不明瞭であるが,仮に撃沈した艦船に2機が命中率,損傷した艦船に1機が命中あるいは至近突入とすると撃沈した艦艇に56機命中,損傷させた艦艇に164機命中となる。そこで,日本の特攻機は沖縄戦に1900機が突入して合計216機命中したことになる。つまり,沖縄戦での特攻機の命中率は11%である。
上は九州の知覧などの特攻基地を飛び立つ戦闘機を見送る人々の様子です。見送る女学生は櫻の花の枝を振っています。
上は疾風特攻機;特攻機と出撃するときは,200リットルの増加タンクと250キロ爆弾を両翼に1つずつ装備した。
上は1945年5月11日、沖縄沖で特攻機の突入で燃え上がる米軍空母バンカーヒルです。
上は5月14日、特攻機の攻撃を受ける米軍空母エンタープライズ
上は3月18日に特攻機の攻撃を受けた空母フランクリン。死者 724名,負傷 265名という最大級の損害を被った。
上は特攻機の突入で損傷した米軍空母Sangamonの飛行甲板の様子。
=======参考資料=========
欧州戦線のアメリカ軍死者数
陸軍 141088 77.2%
空軍(陸軍航空隊) 36461 69.9%
海軍+沿岸警備隊 6039 16.1%
合計 183588 63%
太平洋戦線のアメリカ軍死者数
陸軍 41592 22.8%
空軍(陸軍航空隊) 15694 30.1%
海軍+沿岸警備隊 31485 83.9%
海兵隊 19733 100%
合計 108504 37%
どちらの地域か不明 66
総合計 292131