「妻沼滑空場」。
土手下に
「日本学生航空連盟妻沼訓練所」。
関東平野北西部の利根川右岸(埼玉県側)河川敷に位置する東日本地区の主力訓練所です。
長さ1,500mの滑走路3本(内中央の1本は着陸専用)がある第1滑空場と、川下側にサッカー場を挟んで長さ1,200mの第2滑空場があります。
運航がおこなわれている時には、航空無線局「めぬまフライトサービス」130.5MHzを開設し、付近を航行する航空機への情報提供をおこなっています。
日本学生航空連盟は大学・高校の航空部・グライダー部が加盟する全国組織です。関東・中部・関西・九州の各地区に飛行練習の拠点となる訓練所(グライダー滑空場)を設け各校の活動を支援するとともに、競技会の開催、航空スポーツの普及啓蒙活動を行っています。
鳥のように空を飛べないか?
飛ぶことに挑戦した先人たちの時代、空は命を懸けた冒険の世界でもありました。
現代では技術や科学が飛躍的に発展し航空は確立された交通手段として私たちの生活に密着していますが、依然として空はエキサイティングで未知に溢れた世界です。
グライダーは英語ではセイル・プレーン(Sail Plane)とも呼ばれます。ヨットのことをセイル・ボート(Sail Boat)と言います。空のヨット――グライダーも風を読み、風を使って飛びます。 風――大自然のエネルギーが作り出す上昇気流を使って、より高く、長く、遠く、速く飛ぶための航空機です。
上昇気流は地域、季節、地形、天気、時刻などにより千差万別、予測はできても飛んでみないとわからないものです。グライダーの醍醐味はこうした気流を相手に、自分の知力と技量を尽くして飛ぶところにあります。
強い上昇気流を掴んでグイグイと高度を上げていく爽快感、広がる眺望。高度が確保できたら遠くまで足を延ばしてみるのもいいでしょう。
風が掴めるようになって最初は日本滑空記章や国際滑空記章が定める滞空時間、獲得高度、飛行距離の達成がいい練習目標になります。
さらに高度、距離、平均速度(タイム)などの記録に挑戦したり、競技会で他人と腕比べをするのも遣り甲斐がある道です。
もちろんマイペースで空を飛ぶこと自体を楽しむのも大いにありです。
日本国内に限らず様々な地形や気象条件で飛ぶことも視野を広げます。今では若い人から現役をリタイアした年配者まで海外での飛行を楽しむ人たちが増えてきました。オーストラリアなどのダイナミックな気象条件下、広大な空を飛びまわるのはやめられない魅力があります。
グライダーは老若男女問わずそれぞれに合わせた楽しみ方ができるスポーツと言えるでしょう。
またサイエンスとしても大気の動きを利用するグライダーは気象学の発展に寄与してきました。最近ではアルゼンチンのアンデス山脈に発生する山岳波(ウェーブ)を使って20,000mを超える高度に到達し、ウェーブが成層圏にまで及ぶことを実証。南極地方のオゾンホール発生メカニズムの解明にも活用されています。
(この項、グライダーなどの写真を含め、「公益財団法人 日本学生航空連盟」HPより)
純グライダーは動力がなく自力では離陸できないため、ウインチ曳航、飛行機曳航により離陸する。
「妻沼滑空場」ではウインチ曳航でした。
ウインチ曳航は、グライダーに800~1,500mほど延ばした金属または化学繊維製のワイヤーロープを取り付け、これをエンジンまたは電動モーターにより動かされるウインチを使用して高速で巻き取る。それによりグライダーは急激に加速、上昇していく。最高高度(300~600mほど)に達したらグライダー側でフックを操作しロープをはずす。
ちょうど訓練中だったようです。たくさんの人が集まっています。次々と離陸し、旋回し、着陸しています。晴れていればもっとよく見えたはず。でも、土手に座って、そのようすを見ながら小休止します。
フックを切り離す。
土手下には格納庫。
着陸。
先に進みます。「162.0㎞」ポスト。
「妻沼滑空場」を振り返る。
この先、河川敷には「妻沼ゴルフ場」があったはずですが、雑草と所々に灌木が名残のように立っているのみ。
「ゴルフボールに注意」の標識がポツンと。
「妻沼(めぬま)ゴルフ場」は2020年6月30日をもって、32年の歴史に幕を閉じる事になった、とのこと。この地域を除いて、上流及び下流の利根川堤防についてはほぼ整備が終了し、残されたこの区域の堤防工事が本格化されることになり、同ゴルフ場が閉鎖となったわけです。
「163.0㎞」ポスト。
1年あまりでここまで草木が生い茂るようになるのですね。
この付近で、後ろからランナーが続々と通りすぎていきます。ゼッケンを付けたランナーが何人か談笑しながら、また必死に走る人など、さまざま。
この先、「刀水橋」の手前で、土手を下り、妻沼市街地へ。
土手を振り返る。ランナーが続く。