おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書「学校の怪談 口承文芸の展開と諸相」(常光 徹)ミネルヴァ書房

2014-01-16 23:23:36 | 読書無限
 いっときはやった、おもしろ本としての「学校の怪談」シリーズ。ではなくて、実証的かつ学術的な書。といっても、通俗的な話の方につい興味がわいてしまう、のは小生。
 筆者は、都内の公立中学校教員を経て、現在、国立歴史民俗博物館教授。
 この方、現場の先生という実に多忙な生活の中で一貫して口承文芸、特に俗信について追究してきた方。1980年代の頃から発表していたものを2013年9月に新装版として上梓した。
 トイレのハナコさん。口先オンナ。こっくりさん。階段の怪談。・・・。学校にまつわるお話がいろいろ集められ、その背景、伝播の実際など現場ならではの内容。
 さらに都会、地方、戦前、戦後、老若男女を問わず巷に根付く「禁忌」の風習、言い伝えなど地道に収集してきたこれまでの集大成とも言うべき書。筆者の民俗学への深い思いを感じる。
 こちらもほとんどがかつて耳にしたことがある内容で、そういえばそうだった! という感じ。 箒の話、蜘蛛の話、庭木の話、色彩の話、・・・。今の時代にどう生き残っているのか、そちらが気になりました。もちろん、今どきのタブー集などの軽い乗りの話とは違って、実に学術的ですが。
 特に公立中学校での現場教師という多忙の中で、ともすれば出てくる、志した民俗研究への挫折、焦燥などを克服してきたこと。今、自分がいる現場の中から民俗学的発見があることを示唆され、地道にこまめな収集、分析作業などを系統的・持続的に行い続けてきた生き方に、心から敬服したい。

 ところで、今、小学校などではどういう「怪談」がはやっているのだろうか? もしあったとしたら、孫なんかは学校に行かなくなり、行ってもトイレにはきっと入れないだろう。
 いや、トイレは明るく、清潔感にあふれ、おどろおどろしい怪談なんかは登場する隙もないかもしれない。
 とすると、今や、学校ではハナコさんも話題にならないご時世になったか。
 

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 虎の尾を踏んだ。逆鱗に触れ... | トップ | 読書「無地のネクタイ」(丸... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

読書無限」カテゴリの最新記事