おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書「無地のネクタイ」(丸谷才一)岩波書店

2014-01-17 22:16:42 | 読書無限
 作者、筆者に失礼な話だが、読んでゐるうちにつひうとうとしてしまふものがあります。小難しい内容のものとか、内容と関係はなく、こちらが疲れてゐて読んでゐる内に、バサツと手元から本が落ちる・・・。
 実は、丸谷さんの随筆集はそんな読書体験の一つです。気がつくとさういふ傾向のものが多かつたやうな気が。
 読む気がしないから、ではなく、難しくて理屈ぽつくて、ではなく。つひつひ引き込まれて心安らかになつて、うとうとしてしまう。
 これは読者としては最低ですが、作者としては最高ではないでしょうか、と勝手に思つてゐます。
 今回も亡くなられた後、岩波の「読書」に掲載されてゐたもののまとめ。池澤さんが解説文を書いてゐますが、引き出しのおほさと、とつかかりの鋭さとに触れてゐることにも、なるほどと同感。
 読みやすいページ数ですが、二日がかりになつた、いひわけでした。

 池澤さんもおつしゃつてゐますが、中身はなかなか硬派。しかし、大上段にふりかぶつてゐるのではなく、見聞きした事柄を理論武装しての展開。電柱を撤去できない都市計画、それは経済性を優先した結果であり、失はれた美的感性を取り戻すべきだ、と。 最近では、幹線道路を中心にやうやく地中化の工事が始まつてゐますが、それもまだまだ。

 あるひは、がらつと転じて、今賑はふ歌舞伎(上演、営業)における「松竹」の果たしてゐる功罪。あるひは春画論。硬軟両様(ご本人は保守本流の「硬」派の気概での書きやうですが)。とういふことで、つゐつゐなるほどなるほど、いや待てよ、と思ひつつ、バサツと本を枕元に落としてしまふのでした。

  

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