第二次世界大戦後の混乱期の北イタリア。
田園地帯の中に建つ「ジーノ亭」は、一階はレストラン、二階は客室という古いホテル。
ミランダ(セレナ・グランディ)が戦争に行ったまま行方不明の夫の代わりに経営している。彼女は夫の帰りを待ちながら、次々と客を誘惑していた。
彼女に誘われるかのようにやってくる男たちの中には、運送屋のベルト(アンドレア・オッチピンティ)や領事カルロ(フランコ・インテルレンギ)、テキサスから来た若者ノーマン(アンディ・J・フォレスト)などがいる。
ノーマンとの逢瀬を楽しむミランダ。外には小雪の舞う中で回る、広場の回転木馬。
カルロと。
こうして男や女友達と自由奔放に(時にはちょっぴり真剣に、時には遊びで、時には危険に・・・)行動していたある日、戦争に行ったきりで行方不明になっていた夫ジーノの死亡通知が届く。
そのショックと悲しみを徹夜で発散させて戻ってきた彼女を、優しく慰めてくれたのは使用人のトニー(フランコ・ブランチャローリ)だった。
・・・
魅せ場を織り込みながら、しっとりとした雰囲気が漂い、北イタリアの田園風景ともマッチしている。
ミランダを取り巻く気の置けない、人なつっこい(いろんな思惑を持ちながらも)男達、女達、村の人たち。・・・
「ミランダ」役のセレナ・グランディは、奔放な女性で複数の男を誘惑して存分に楽しんでいる一面、けっこうナイーブな性格を持った女性像をうまく表現している。
邦題「ミランダ 悪魔の香り」
劇場公開日 1989年7月15日
18世紀のカルロ・ゴルドーニの戯曲『ホテルの女主人』を、イタリアのティント・ブラスが監督・脚本・編集を手掛けた、とのこと。
オートバイ、ジープ、トラックなど車を駆使した映像がスピード感にあふれている。特に、夕暮れ、明け方、雨模様など、大きく広がる田園風景を背景に自然描写におもしろいものがある。
ファシスト残党を射殺するところに出くわす。
夜明け前を疾走するサイドカー。
曇った窓ガラス越しの向こうには、ミニチュアのような貨物列車。
雨。どんちゃん騒ぎの後。
邦題の「悪魔の香り」というのは、いただけませんが。
ついでに、
「Tinto Brass Street Band」。同名のブラスバンド。ストリートミュージシャン。軽快なブラスの音色。リーダー兼ボーカル兼トランペッターは、携帯拡声器を肩にかけてマイクで歌う、というユニークさ。
※ 映像は、「You Tube」より。
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