おやじのつぶやき

おやじの日々の暮らしぶりや世の中の見聞きしたことへの思い

読書4「対テロ戦争株式会社」(ソロモン・ヒューズ)河出書房新社

2009-08-08 19:28:29 | つぶやき
 この本も、ちょっと衝撃的な内容。筆者はジャーナリスト。副題は、「不安の政治」から営利をむさぼる企業。
 かつてジョージ・オーウェルは、小説『1984年』で、外部の敵のたえざる脅威が、内部の監視や抑圧の正当化に利用される国家を描いた。そこには、「独占企業と中央集権的政府の不毛な世界」が浮かび上がってきていた。
 もともとオーウェルの小説『1984年』は、1948年に執筆された作品で、当時のスターリン体制下のソ連を連想させる全体主義国家によって分割統治された近未来世界の恐怖を描いていた。「1984年」という年号は、本作が執筆された1948年の4と8を入れ替えたアナグラムであるという説が一般的である。これによって、当時の世界情勢そのものへの危惧を暗に示したものとなっている。
 出版当初から冷戦下の英米で爆発的に売れ、あらゆる形態の管理社会を痛烈に批判した本作のアクチュアリティは、現代においてもその先駆性の輝きを全く失ってはいない。
 しかし、その近未来小説を越えて、まさに現代。
 9・11以降の米英の民間の「戦争請負企業」が、「対テロ戦争」に参入し、今や「1984」株式会社になっている、という。「官から民へ」新市場主義によってますます巨大化され、監獄から戦場まで民間委託によって国家の安全、市民の対テロ防御政策(?)がなされている。さらに悪質なことは、ブッシュ政権(二人の)の中枢にいた政府高官がその分け前を頂戴しているという事実。
 これらのことは、すでにマスコミなどにも報道されている内容ではあったが、改めてその現実を目の当たりにすると、愕然とする。
 こうした現実が今の日本には無縁か。
 コンピュータによる個人管理システム、地域安全システム、実は日本人も参加しているという傭兵制度・・・。こうして産業?が民間によって担われている事実。特に、若者を戦場にかり出さないといえようか。国家の安全、国民の安全、そうした美名のもとで民間(企業)が国家をバックにして権力的に振る舞うこと時は来ないと言えようか。
 次々と現実に進行している実態を見事に描いて警告した作品になっている。

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