大相撲のニュースをどこのテレビ局もほとんど同じ時刻に同じように扱っている
その異常と思える騒ぎっぷりに辟易して、そのニュースが始まると切ってしまう
人格者ぶるつもりは無いけれど、もっと大事な伝えるべきニュースはあるだろう(と言いたくなる)
ローマ時代は「パンとサーカス」で肝心なことへの目くらましを意図した人物がいたようだが
現在の日本は「パンとスキャンダル」で世の中を操っているかのようだ
しょうもないスキャンダルはある意味平和の象徴かもしれないが、これらは表立って扱われる題材ではなくて
もう少しおとなしめにアンダーグラウンドのところで扱われるべきで
今回のように大手メディアが揃って扱うのは、現在の日本人が全体的に品格が低下しているのではないかと不安になる
ところでいきなり話題は変わって、ネトウヨという人たちのこと
日本人は素晴らしい、、を相対的ではなくて、そう思いこもうとしているようだが
彼らの言う日本人とか日本の文化ってのは、一体どのことを言うのか、少し疑問に思う
どことなく勇ましい、勢いのある行動や発言が好まれそうなネトウヨのかたがた
でも大昔、日本の国を守るように国から命令された人々(防人)は、皆が皆 好き好んで現地に赴いたのではなかった
万葉集には防人の歌が幾つか載っている
先日本を読んでたら(地図とあらすじでわかる万葉集 坂本勝監修)こんなのを見つけたが、それはとても正直な感情の発露だ
唐衣(からごろも)すそに取り付き 泣く子らを 置きてぞ来(き)のや 母(おも)なしにして
(他田舎人大島 巻20.4401)
古文の知識がなくても意味はなんとなくわかる
子どもたちが衣の裾にすがって泣くのを、置き去りにしてしまう悲しさを歌っていて
本当は行きたくない思いが見て取れる
離れたくないのは子どもたちばかりではなく、妻や恋人に対しても同じこと
我が妻は いたく恋ひらし 飲む水に 影さえ見えて よに忘られず
(若倭部身麻呂 巻20.4322)
(うちの妻はたいそう俺を恋しがっているらしい 飲む水の上に影まで映って見えて 片時も忘れられはしない)
日本が世界に誇るものがあるとすれば、万葉集の存在があるかもしれない(ネトウヨの方々はこれらの歌をどのように評価するのだろう)
天上人だけでなく庶民の歌も納められていて、社会全体とまではいかないとしても多くの人が歌を詠むという文化が
そこにあったらしいという事実
そしてそれは誰もが納得できるような正直な感情の発露が多く、当時の政権には不都合なものまで組み込まれている
この社会全体のメンタリティこそが、どこか余裕があり誇るべきものと思えるのだが、それと比べて今の世は、、、
そう言えば、子ども(中学生)のころ、授業で習った万葉集の歌でとても嬉しかったのがあった
山上憶良の作で
「瓜食めば子ども思ほゆ栗食めばまして偲はゆ いづくより来りしものそ目交にもとなかかりて安眠しなさぬ」
反歌
銀も金も玉も何せむに優れる宝子にしかめやも
これは大人が子どもが可愛くてしかたない気持ちを表したものだが、大人ががそう思ってくれているのを知って
ホッとしてあったかい気持ちになれたのを今でも覚えている
文化とか教養は直接生活に役立たないかもしれないが、それらがないと世の中は余りにもギスギスしすぎる
保守主義の元祖 バークは「崇高と美の観念の起源」で判断の元になるものとして「美しいもの」を評価している
また数学者や物理学者、その理論が「美しい」という感覚がもてたときは、直感的にそれらは正しいと感じるらしい
どことなく根拠のなさそうな「美しいもの」を感じる気持ちってのが、今の世の中に欠けてやしないか
特に、我が国のお偉いさんに、この教養とか心の余裕を感じられないのがとても不安
相変わらず、まとまりのないお話、、