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舞台「母と惑星について、および自転する女たちの記録」
作・蓬莱竜太
演出・栗山民也
出演・志田未来、鈴木杏、田畑智子、斉藤由貴
母が心臓の病で亡くなってからひと月。奔放に生きた母に放任され、父親を知らずに育った三姉妹は、遺骨を持ったままトルコのイスタンブールを旅する。
水商売で生計を立ててきた母は、いつも「飛んでイスタンブール」を歌い、「私には重石が三つ必要なの。」と言うのが口癖だった。
舞台は、彼女たちと母親の関係を短く紹介しながら、彼女らのおしゃべりと、それぞれのモノローグが交互に入り込む。
三姉妹は母の遺伝子を受け継いでいるのではないか・・・とそれぞれに無意識に恐れている。
旅をしながら、蘇ってくる母親との記憶。記憶の中の母と向き合うことで、古い自分との決別、そして新たなスタートを切ろうとする。
母という惑星を自転していく娘たち。娘たちは、自分の存在を肯定し、広い宇宙に一歩踏み出し、生きていく。
演出なのか、‘間’がいい作品。小気味良く続いた台詞のあと、ひと呼吸おくれてやってくる言葉。または、滝のように続けられる言葉から、静かに発せられていく言葉。
特に力強く続けられる言葉ではなくても、
それらの‘間’で、観客を笑わせ、泣かせる。
なんか、さすが。出演者4人は長崎弁の台詞。演技派ぞろいの女優たちに魅了される。
(シアタードラマシティにて8月21日観劇、この日が大千秋楽。アンコールの際、演者たちから感謝の言葉が観客に届けられた)