6月4日大阪・梅田芸術劇場にて
千尋が上白石萌音、ハクを醍醐虎汰郎で観劇。初演を鑑賞したときは、三浦
宏規(今年度の菊田一夫を受賞した。千と千尋の神隠しでの演技もその対象の
一つ)のコンビだったので、この二人で鑑賞して観たかった。ご存知のとおり
上白石萌音は『君の名は。』、醍醐虎汰朗は『天気の子』で新海誠アニメで声優
を務めたことがある。また、上白石萌音が主演を務めたTBSドラマ「恋はつづ
くよどこまでも」に醍醐虎汰朗はゲスト出演したことも。そのため仲が良いの
で、独特の雰囲気が伝わることもあるのではないかと思っていたからである。
さて、初演での当方の鑑賞場所が帝国劇場3階の最後席。今回は、梅田芸術
劇場の前から15列目だった。かなり舞台に近い席。オペラグラスを使うと、超
近眼の当方でも演者の汗までわかる場所だ。ハクにおにぎりを貰って、泣きな
がら食べる千尋(千)の姿がはっきり見えた。このシーンは上白石萌音の真骨
頂だと思う。泣き方や細かい指の動きが上手。演じながら毎回泣いているので
は?とも思う。息を飲む場面だ。
アニメの話と変わることはないので、本線はそのままだ。だが、今回は演出
や舞台の向き、見せ方を変えていたのではないかと思う。初演は湯婆婆の部屋
や舞台全体の動きを観て楽しむことがほとんどだったので、演者のしぐさや表
情は見えづらかった。そのため、どこがこう…とははっきりとは言えないが、
変化がわかる部分がある。また、演者の細かい動作や表情、感情の表現もブラ
ッシュアップしている。
10歳の少女がそこにいる。ストーリー展開なんてわかっているし、改めての感
動はないはずだが明らかに迫力を感じるし、感動した…座席が前方だから??
走る。とにかく千尋が走る。そして、登る。それだけ動けば終演後は体重が
減っている。いや、これは個人の感想だ。ちなみに、舞台転換もススワタリの
動きもすべてが手動であることは変化なし。カオナシは今回も有名ダンサーが
担当。しなやかにやめらかに、銭婆の場所へ千尋と共に向かう。だからこそ、
この舞台の良さがある。なお、勘違いしている方もいるかもしれないので念の
ため。上白石萌音は歌いません。この作品はミュージカルではない、というこ
とを追記しておきます。
さて、上白石萌音と醍醐虎汰朗のコンビについては思っていたとおり。あ・
うんの呼吸。ハクは千尋にだけ、優しく語りかける。その声も魅力的だ。釜爺
の言葉を借りれば“愛なのだ”。
チケットは争奪戦だが、当方が観劇した日は当日券がわずかだが出ていた模
様。チャレンジできる人はやってみてはどうだろうか。
初演と今回。二回を別の座席から観て初めて、一つの作品がどうなっている
のかわかったような気がする。
上白石萌音は大阪公演が国内最後となる。このあとは、ロンドンだけの公演
が8月まで続く。その公演の半分と言っていい回数の千尋は、上白石萌音が演
じる(橋本環奈はすでに出演は終了している。次回の朝ドラ出演との兼ね合い
と思われる。川栄李奈、福地桃子は出演する。このあと国内組は北海道へまず
向かう)。ぜひ、無事に駆け抜けてほしい。