「政治とカネ」による内閣支持率低下、社、国民新の連立離脱カード等が仕向けた公明党との連立意志?

2010-03-07 08:10:20 | Weblog

   夏の参院選挙共同通信世論調査(3月6、7日実施)

 「民主党が参院でも単独過半数を占めた方がいい」――28・3%
           「過半数を占めない方がよい」――58・6%

 比例代表の投票先
  民主党――26・9%(-6・7ポイント)
  自民党――26・3%(+2・9ポイント)

 参院選挙が世論調査どおりの結果なら、「政治とカネ」を含めて自民党支配の“旧体制”に戻ることになるのではないだろうか。

 民主党は今夏の参議院選挙で過半数獲得を絶対使命とし、民主・社民・国民新連立政権に於ける絶対的主導権の獲得をこれまた絶対使命としている。

 民主党が衆議院で310議席、対する社民党が7議席、国民新党が3議席、対する参議院で民主党が115議席、社民党が5議席、国民新党が6議席の数からしたら絶対多数を握っていながら、絶対的な主導権を握れないでいるのは3党足さないことには参議院で過半数を握れないからなのは断るまでもないが、虎の子の過半数を握るための代償が政策の違いに目をつぶるであった。

 3党の共通点は反自民でのみつながっている。政策の点から言ったなら、連立は野合の側面を抱えている。自民党がその点を徹底的に突かないのは不思議現象としてある。

 また政策の違いに目をつぶった代償が社民、国民新への連立離脱のカード付与となって現れた。そのカードは鳩山首相や小沢幹事長、その他の「政治とカネ」の問題に影響を受けた内閣支持率の低下によって一層の力を獲得することとなった。支持率低下が今夏の参議院選挙での民主党単独過半数に黄信号を点灯させることとなったからなのは改めて言うまでもない。

 既にその前兆は2月21日の長崎県知事選での民主党の敗北となって現れている。

 前原国交相は長崎知事選敗北となって現れた「政治とカネ」に影響を受けたさらなる地殻変動を懸念したからだろう、2月28日のテレビ朝日の番組で次のように発言したと、「スポニチ」記事――《なおも迫る前原氏「首相も幹事長も何をすべきか考えて」》(2010年02月28日 17:58)が伝えている。

 「自身が幹事長という立場にあって、どうすれば参院選に勝てるのか考えてもらうことが大事だ」

 「支持率も下がり、選挙にも負ける状況になれば、国民の歴史的な負託に応えられない」

 「参院選で負けたら衆院は多数、参院は少数になり、にっちもさっちもいかなくなる。鳩山首相も小沢幹事長も大局に立ち、自分が何をすべきか考えてもらいたい」

 記事はこれらの発言を、〈国民の理解が得られない場合は自ら進退を判断すべきだとの認識を示した〉ものだとしている。

 前原国交相だけではない。仙石国家戦略担当相も「政治とカネ」の問題にどこかでケジメをつけなければ前に進めないと発言しているし、北沢防衛相も小沢幹事長が参院選で民主党単独過半数獲得のために2人区に民主党候補を2人立てる戦略に対して、自身も2人区の長野県選出で、今回改選を迎える自己利害も計算に入れている部分もあるだろうが、「『政治とカネ』の問題で(支持率が低下する)はるか前の戦略だ」と批判、見直しを求めている。

 だが、民主党候補者をより確実に当選させる戦略として2人区でも1人しか候補者を立てなかった場合、参議院単独過半数は確実に遠のく。遠のけば、社民党と国民新党の連立離脱カードが持つ力を一層強くすることになる。

 既に昨年12月の時点で社民党党首福島瑞穂が普天埋設問題で現行計画通りにキャンプ・シュワブ沿岸部に決まった場合は連立離脱するとカードを切っているが、現時点でそのカードの力は以前に増して力を増しているはずである。

 国民新党の場合の連立離脱カードの現れの一つが亀井静香国民新党代表の外国人参政権付与のみならず、選択的夫婦別姓導入法案が国会に提出された場合は連立の解消もあり得るとする発言と言える。結果、民主党のこれらの政策の迷走を誘発し、国民の目に内閣の頼りなさを植えつけているはずだ。

 さらに国民新党の下地国会対策委員長が昨3月6日に那覇市で記者会見、政府が普天埋設問題で、「普天間基地を今の場所に放置することと、キャンプシュワブ沿岸に移設するとした現行案を選択することは認められない。その場合には政治的に野党になるという判断をするべきで、国民新党内で強く主張していきたい」(NHK)と基地問題でも連立離脱をカードとする可能性に言及している。

 結論は参議院選挙まで待たなければならないが、「政治とカネ」の影響から民主党が単独過半数を獲得できなかった場合、社民、国民新と合わせてこれまでのように参院過半数を握ることができれば、2党の連立離脱カードに一層の力を付与することと、そのことによって民主党独自の政策の障害となる危険性を孕む以外、国会運営は自民党に対してはどうにか作動する。

 だが、社民と国民新を合わせても過半数を握れなかった場合、社民、国民新が持つ連立離脱カードの神通力を失わせることができるが、連立内閣自体が安倍、福田、麻生内閣時代の自民党に逆戻りする。当時の自民党同様に鳩山降しだ、鳩山では次の衆議院選挙は戦えないだ、選挙の顔とはなり得ないだ、新党結成だ、政界再編成だの雑音で賑わいを見せ、党自体の足腰を弱めることは間違いない。

 果してこのような光景を描くことになるのだろうか。

 内閣支持率が低下し、小沢幹事長と鳩山首相の「政治とカネ」の問題に国民の目が厳しく、社民、国民新党の連立離脱のカードが力を増す中、2月26日夜、小沢幹事長が公明党の支持母体である創価学会前会長の秋谷栄之助・最高指導会議議長と都内のホテルで会談している。

 会談が日の明るい昼間ではなく、夜だということが何となく象徴的である。輿石東民主党参院議員会長も同席したという。

 《小沢氏、創価学会秋谷氏と会談 民・公連携へ意見交換か》asahi.com/2010年3月2日5時0分)

 記事は、〈夏の参院選や選挙後もにらみ、民主、公明両党の連携について意見交換したと見られる〉こと、〈小沢、秋谷両氏は1993年の細川連立政権樹立のころから親交があ〉り、〈関係者によると、小沢氏が民主党代表に就任した直後の06年4月にも会談、その後も数回の会談を重ねているという〉こと、〈参院選では社民、国民新両党との連立政権を維持しながら、民主党の単独過半数をめざす方針〉だが、〈選挙結果次第では、公明党との連携の可能性も視野に入れているとの指摘もある〉といったふうに解説している。

 民主党としてはいくら内閣支持率が低下しようと、参議院の過半数維持は絶対使命としている。参議院過半数を維持できなければ、次の総選挙で衆議院の過半数も危うくなりかねない。思いのままに政策を実現・運営できない政党に国民は信頼を置かないだろう。

 小沢幹事長としても、民主党の保身ばかりか、幹事長としての自己保身のためにも参議院過半数維持は譲ることはできない何よりの絶対使命としているはずである。

 それが参議院選挙で単独過半数を獲得できなかった場合の保険としての公明党との連立ではないだろうか。

 小沢幹事長がそのことを視野に入れているとしたら、前原国交相の「参院選で負けたら衆院は多数、参院は少数になり、にっちもさっちもいかなくなる。鳩山首相も小沢幹事長も大局に立ち、自分が何をすべきか考えてもらいたい」の「自分が何をすべきか」は小沢幹事長にとっては自らの進退を判断することではなく、公明党との連立であった可能性が生じる。

 多分、小沢幹事長の自身の「政治とカネ」の問題も影響した内閣の支持率の低下、社民党と国民新党の連立離脱カード、参院選挙の不透明な情勢等々が強いた「自分が何をすべきか」が公明党との連立の模索ではなかったろうか。

 勿論、あらゆる可能性を考慮して、前々から準備していたと見られるが、2月26日夜の創価学会前会長の秋谷栄之助との会談は現在置かれている鳩山内閣と民主党の状況が新たに仕向けることとなった小沢幹事長の今後に向けた動向であろう。

 公明党は衆参21議席ずつ確保している。国民新党は衆議院3 参議院6。社民党は衆7、参5。

 公明党は夫婦の自由意思で同姓か別姓かを決める「選択的夫婦別氏制」導入のための民法改正案を2001年の国会に提出、賛成の立場にある。永住外国人の地方参政権付与にも公明党は賛成している。

 公明党が賛成しているから、国民新党が反対票を投じても国会通過は可能となるため、法案自体の国会提出に反対、連立離脱カードを切る姿勢を見せることとなっている。

 今後の情勢次第では好むと好まざるとを問わずに、連立離脱カードとは反対の民公の連立カードを国会というテーブル上に切るシーンを目にしなければならないかもしれない。

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