鳩山邦夫離党への報復が国会招致、参考人喚問なら、その報復は何か

2010-03-19 05:56:21 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

 勝手に別れて出て行った母親に以前は自分たちだけでも出て行くと言っていた二人の子どもはついていくのは厭だ、お父さんのところにとどまる言い出して、母親の夢を打ち砕いた。お父さんの心を入れ替えさせ、生まれ変わらせるんだと。見放した母親と見放さなかった二人の子ども。いくら凋落したとは言え、父親の持つ類縁はひとかどの財産で、捨て難いものがあった。

 一幕目のドタバタが予告編のおどろおどろしさとは打って変わった拍子抜けで幕を閉じ、ニ幕目は党執行部刷新の攻防と勝手に出て行った母親に対する報復の新機軸ドタバタ二本立てが早くも幕開け。

 先ずは既に前のブログ記事で書いたが、3月17日の与謝野主宰の「正しいことを考え実行する会」会合で、谷垣総裁は自民党員みんなで選んだので代える必要はない、総裁以外の執行部の一新を求めることで一致、こうした意見を直接伝えるため、谷垣総裁に会への出席を求める方針を決めた。

 では新党騒動は何だったのかというと、与謝野側近の若手後藤田正純衆院議員「あくまで党改革を求める決死のメッセージだ」

 だったら、執行部刷新が成されなかった場合は新党結成もあり得るとその可能性を掲げつつも、新党結成を後ろに置いて先に執行部刷新の運動をギリギリまで展開すべきだが、与謝野馨は「執行部を交代させて新生自民党を立ち上げるのか、新党という旗を掲げて新しいパラダイムを求めていくか、時間は差し迫っており、私が決断を下す時期はそう遠くはないだろう」と、後先ではなく、二つの道を前に置いて、これかあれか「決断を下す」と、何のためなのか、性急さを「時間は差し迫っており」という表現で見せて宣言していた。

 尤も与謝野馨本人も17日の「正しいことを考え実行する会」会合で自らの新党騒動は何だったのかを健忘症よろしく棚に上げた発言を見せている。《自民・与謝野氏らが新党結成ではなく党改革実現を目指すことを確認》msn産経/2010.3.17 13:33 )

 「新党を目指すということを言っているのではない。自民党の支持率が上がらない現実を、執行部が危機感を持って考えないといけない」――

 「執行部を交代させて新生自民党を立ち上げるのか、新党という旗を掲げて新しいパラダイムを求めていくか」云々のどこがどう「新党を目指すということを言っているのではない」になるのか、鳩山邦夫が言っていた「日本一頭のいい政治家、与謝野馨」でなければ誰も理解できないに違いない。

 「正しいことを考え実行する会」が正しいことだと考えて谷垣総裁に会への出席を求める方針を決めたことに対して、大島幹事長が、「勉強会出席を求めるよりも与謝野氏が谷垣氏に会いにくるべきではないか」(msn産経/2010.3.17 23:02)と言いなり一方にはならない抵抗の構え。既に執行部対反執行部の新たなドタバタの展開となった。

 ところが「正しいことを考え実行する会」が3月17日の会合で谷垣総裁以外の執行部の一新を求めることを正しいことだと決めたにも関わらず、次の日の18日午前に後藤田正純は党本部で大島幹事長と会談。

 《大島氏 総裁と意見交換の場を》NHK/10年3月18日 13時38分)――

 大島幹事長「与謝野氏の勉強会だけではなく、谷垣総裁が党内のいろいろなところに行って意見を聞き、民主党と戦ううえで、一致協力していくための前向きな意見交換を行う機会を設けることを検討したい」

 これは「勉強会出席を求めるよりも与謝野氏が谷垣氏に会いにくるべきではないか」と言っていたことに変節した言葉となっている。

 尤も変節は後藤田議員もどっちもどっちの同罪を犯している。しかも一夜の変節である。会談後記者団に次のように話したという。

 後藤田「我々は、谷垣総裁を吊るし上げることもないし、党を思う気持ちは執行部といっしょだ。今の執行部の体制を維持しながら、中堅・若手が表に出られる体制を作るなど、いろいろな知恵があるのではないか」

 正しいと決めた谷垣総裁以外の執行部一新が、「今の執行部の体制を維持」へとどういう正しいとする理由からか、何があったのか、正しい軌道修正に入っている。

 しかも、「我々は、谷垣総裁を吊るし上げることもない」とは何と思い上がった言葉だろうか。

 新党も後退、谷垣以外の執行部一新も後退、与謝野馨と「正しいことを考え実行する会」は正しい後退を実行している。これを以てドタバタと言わずに何を以てドタバタと言えるだろうか。

 《自民 結束の一方執行部批判も》NHK/10年3月18日17時11分)
 
 記事は派閥の領主・幹部のそれぞれの派閥の会合での党内ドタバタ抗争に関した発言を伝えている。

 麻生前総理大臣「党内がバラバラに割れているような話ほど、相手を利することはない。きちんとけじめをつけておかないと、戦うに戦えないことになる。麻生内閣でも、仲間割れみたいに言われて、敵の点数を上げたことを忘れたのか」

 党内のバラバラ、仲間割れを来たしたそもそもの原因がどこにあったのか、誰にあったのかの検証もなく、結果として生じた局面を表面的に解説しているに過ぎないこの程度の頭の持主であることを暴露した発言となっている。麻生太郎自身の統率力の欠如・指導力の欠如という二重の欠陥がもたらした党内のバラバラ、仲間割れでもあるはずだが、相変わらずノー天気なところを見せている。

 町村元官房長官「一部の議員が『ああでもない、こうでもない』と言って、まじめな努力に水を差し、党勢をそいでいるのは許し難い。執行部を支え、谷垣総裁の下でやっていくのは、論を待たない。一致結束した行動をお願いしたい」

 谷垣総裁の統率力・指導力が自ずと決める「執行部を支え、谷垣総裁の下でやっていく」状況の出来(しゅったい)であるはずだが、それを抜きにしたら、鳩山離党騒動の反動・反省で新党の動きが収まり、党が結束することになったとしても、一時的平穏で終わるのは目に見えている。

 古賀元幹事長「『総裁をはじめ、執行部に参議院選挙に取り組む戦闘意欲、緊張感、危機感が足りないのではないか』という声が県連から聞こえ、だんだん広がりつつある。与謝野氏や園田氏の気持ちはわからないわけではなく、私は一定の理解をしたい」

 伊吹元幹事長「一致結束は非常に大切だが、現状をそのまま認めろということではない。執行部は、目立たないところで下積みの仕事をしている人を優遇していく方法を取らなければならない」

 君たちの気持ちも分かるよと理解者を演じて懐柔を図る。

 そしてただでさえジリ貧状態にある谷垣自由民主党に打撃を与える騒動を起こした鳩山邦夫に対しては母親からの資金提供を巡り、自民党内から国会招致を求める声が上がっているという。《鳩山邦夫氏、新党「いばらの道」 連休前結成は「希望」》asahi.com/2010年3月17日10時55分)

 対して鳩山邦夫。

 「呼ばれればいつでもいきます。やましいところはなく、事件でもありませんから」

 《邦夫氏と与謝野氏の会談16日は見送り》日テレNEWS24/2010年3月16日 19:47)は資金提供疑惑を指摘する二人の発言を伝えている。

 谷川秀善参議院幹事長「鳩山(邦夫)さんの件は、言ってみれば渡り鳥みたいなもんですから。季節外れに飛び立ったなと思っている。季節外れですから、エライことにならなければと心配している。鳩山首相を『大脱税王』と言ったが、あの人(邦夫氏)も同じ脱税王ですな」

 礒崎陽輔議員「鳩山邦夫さんも、お母様から資金提供を受けている片割れでございます。参議院において、鳩山邦夫さんの証人喚問を要求して、きっちりと追及していきたい」

 「FNN」記事――《鳩山邦夫氏に自民党から国会招致求める声 鳩山氏「わたしは『脱税王』では断じてない」》(10.3.17)では次のようになっている。

 谷川参院幹事長「(鳩山首相を)『脱税王』と言ったら、同じ『脱税王』ですよ。証人喚問でも何でも、来て話をしてもらうというスタンス」

 鳩山邦夫「別にわたしは、呼ばれればどこでも行くけども、わたしの場合は、『納税王』とは言わないけども、『脱税王』では断じてない」

 後藤田正純議員の鳩山邦夫を脱税王だとする発言を「毎日jp」記事――《鳩山元総務相:自民離党 与謝野・舛添氏「当面残る」 あすにも両院議員総会》が伝えている。

 後藤田正純「『脱税王』と鳩山由紀夫首相を批判した与謝野氏が、同じような疑惑のある鳩山邦夫氏と組むことはあり得ない」(毎日jp

 国会招致、証人喚問で、脱税王だ、脱税王じゃないのドタバタが開始されるというわけである。それも結構だが、与謝野馨が2月12日の衆議院予算委員会で鳩山首相のことを平成の脱税王だと追及したネタ元は鳩山邦夫である。「同じような疑惑のある鳩山邦夫」と組んで、既に「平成の脱税王」追及のネタを仕入れていたのである。与謝野馨がネタ元としたこと自体に矛盾が生じないだろうか。同類に協力を仰いだことになるからだ。

 あるいは鳩山邦夫まで脱税王なら、同じ追及の俎上に乗せるべきを鳩山首相のみ乗せて、鳩山邦夫を乗せなかったことも矛盾となる。

 とは言っても、国会招致、証人喚問のドタバタは大歓迎である。鳩山邦夫離党への報復が国会招致、証人喚問なら、鳩山邦夫はそれぞれの場でか、あるいはそれ以外の記者会見といった場でか、国会招致、証人喚問の報復に自民党の知られたくない秘密を洗いざらい喋る期待が持てるからだ。

 上記「日テレNEWS24」は新党結成を主題とした16日予定の与謝野馨と鳩山邦夫の会談が見送られたことについて、〈与謝野氏の周辺が「口が軽い鳩山氏とは軽々に会わない方がいい」と進言し〉たからだと書いているが、「口が軽い」と言うことなら、鳩山邦夫の報復による自民党の知られざる秘密暴露への期待がますます高まるというものである。

 さしずめ内閣官房機密費が通常は月1億円、年間12億円前後の支出であるのに対して、2009年8月30日総選挙で政権交代、政権の役目を終えていたにも関わらず、麻生政権の河村建夫官房長官が9月1日に通常月1億円を上回る2億5000万円をも引き出しているが、それが何に使われたのか、知っていたならの話だが、暴露への期待から、俄然野次馬的興味が湧いてくる。

 麻生の秘密の暴露も大歓迎といきたい。

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