橋下大阪府知事の高校無償化朝鮮学校排除の立派過ぎる弁

2010-03-12 06:00:02 | Weblog

   ――民主党に衆・参両院過半数のチャンスを与えよう――

 元々は差別という排除が日本社会に継続的に存在していたから、在日をして朝鮮学校に追いやる背景が親子代々受け継がれてきた側面もあるのではないだろうか。いわば日本人の彼らに対する差別への反撥が彼らの反日感情を生むカガミの関係をつくり出し、反日教育受け入れの素地を形成し、その拠点が朝鮮学校となっているということではないのか。

 現在の韓流ブームから見ると想像もできないだろうが、戦前と戦後の朝鮮人を劣等国民(狡い、凶悪、犯罪的性格を有している等々)と見る日本人の対朝鮮人差別には激しいものがあった。そのような差別の激しさを受けて、彼らの反日感情も激しいものがあったに違いない。年と共に差別観は薄らいでいったが、親が受けた差別とその差別と響き合わせた反日感情を子に受け継がせ、風化させない場所が朝鮮学校であり、あるいは決して劣等国民ではないことの証明が朝鮮学校での民族教育である可能性もある。

 日本社会が朝鮮人を対等な人間として扱う歴史と文化と伝統を抱えていたなら、日本の敗戦によって朝鮮が独立することになったとしても、朝鮮学校での反日教育は存在しようがなく、当然のこととして彼らをして反日に走らせることはなかったはずであるし、そもそもからして朝鮮学校に通って反日教育を受ける動機を失うはずである。

 いわば初期的には差別が動機付けた差別の歴史が動機付けた彼らの反日であるとも言える。

 差別を直接的に知らない世代であっても、親や学校が教える差別の歴史が動機付けた反日と言うこともあるに違いない。


 鳩山首相は最初は北朝鮮の拉致を理由に、次に「政治の教育への介入」の懸念が取り沙汰されると、教育課程や教育内容を理由に朝鮮学校を高校無償化の対象から排除する姿勢を一旦見せたが、高校無償化法案を成立させたあと、有識者による対象の基準づくりを行って文部科学省令で規定、その規定に従うと、即排除から先送り決定となった。自分で判断せずに、第三者に判断の丸投げをしたとも言える。

 〈自民党の麻生太郎前首相は11日の派閥総会で「鳩山政権は話がぶれる。私の政権時はこの程度のぶれはえらい騒ぎになった。ものすごく大きなぶれだと思う」と述べ、米軍普天間基地や子ども手当などを巡る鳩山内閣の対応を批判した。〉(《私のときはえらい騒ぎに…麻生前首相、現政権のぶれ批判》asahi.com/2010年3月11日16時43分)ということだが、「私の政権時はこの程度のぶれはえらい騒ぎになった」、「この程度」が「ものすごく大きなぶれ」だということなら、麻生政権のぶれも「ものすごく大きなぶれ」となって五十歩百歩ということで批判できないはずだが、高校無償化でも鳩山首相はぶれていないとは言えない。

 橋下大阪府知事が高校無償化の対象に朝鮮学校を加えることに猛反対している。

 《橋下知事「北朝鮮はナチスと同じ」 朝鮮学校無償化問題で》msn産経/2010.3.10 12:04 )

 「民族差別だという指摘があるが、朝鮮民族が悪いわけではない。北朝鮮という不法国家が問題。それはドイツ民族とナチスの関係と同じだ」
 
 「学校経営に暴力団関係者がかかわっていれば税金は投入できない」ことを譬えに出して、それと同じことだというわけなのだろう、

 「不法国家の北朝鮮と結びついている朝鮮総連と関係があるなら、税金は投入できない」

 さらに坊主憎けりゃ、袈裟まで憎しからか、大阪府が朝鮮学校に交付している私立外国人学校振興補助金についても「廃止を念頭に置いている」と述べたという。

 記事は、〈大阪府は、教育研究や管理経費などとして、私立外国人学校振興補助金の名目で11校の朝鮮学校に対し、平成20年度で約1億3千万円を支出〉、〈授業料軽減補助金として、高級学校(高校)には約7千万円が出されている。〉と伝えている。

 但し、鳩山首相と同じく直ちに無償化から排除するのではなく、〈知事自身が朝鮮学校を視察し、授業内容や学校経営の実態などを考慮した上で判断するとしている。〉と、「ドイツ民族とナチスの関係と同じだ」と悪しざまに譬えて猛反対した割には尻すぼみの順当さを見せている。

 また《「浅はかな有識者…政権左右される不安」 朝鮮学校無償化で橋下知事》msn産経/2010.3.11 11:49)が同じ問題での橋下知事の政府批判と反対理由を書いている。

 (政府が一転して朝鮮学校も対象に含める方向で検討していることに対して)「教育と政治は別などという、浅はかな有識者のスローガンに政権が左右されるのは国として不安だ」

 「こんなことなら、国は始めから問題提起をする必要はなかった。・・・・僕は北朝鮮という不法国家と関係がある団体や施設には公金をいれるべきではないと思っている。政権には国民が選挙で審判を下すだろう」

 「msn産経」記事――《金父子礼賛色濃く…朝鮮学校教科書、無償化に疑問符》(2010.3.11 11:49)は朝鮮学校の内情について次のようなことを書いている。

 〈産経新聞が10日、入手した朝鮮高級学校で使われる教科書は、北朝鮮の政治体制と故金日成主席、金正日総書記の父子を礼賛する記述が色濃かった。教科書には金正日総書記の決裁が必要であり、無償化適用は独裁者への個人崇拝教育が行われている同校の実態を無視したものといえそうだ。〉

 以下、〈「反日から始まる金日成(主席)の革命史、金正日政権につながる封建世襲教育、金父子の神格化」〉の強調。〈政治思想として「主体思想」を挙げ、「敬愛する金日成主席さまが掲げる主体思想は人間中心の世界観による人民大衆の自主性を実現する革命思想である」として、社会主義革命を通じた理想国家建設をうたっている。〉、〈「敬愛する金正日将軍さまを国防委員会委員長として高く奉じていることは、われわれの祖国と人民の大きな栄光であり幸福である」と記述。その上で「先軍政治」をたたえている。〉、朝鮮学校使用の教科書は、〈「日本の朝鮮大学校で作成された草案が北朝鮮に送られ、修正されたうえで、金総書記が目を通してサインして決裁する」〉と韓国のジャーナリストの言葉を伝え、さらに当該ジャーナリストの、〈「朝鮮総連が高校無償化の恩恵を受けようとするなら、傘下学校の金父子肖像画を下ろし、金正日神格化教育を放棄すべきだ」〉との警告を伝えている。

 例え北朝鮮の体制思想と朝鮮学校で教える思想が表裏一体を成していたとしても、2月28日当ブログ記事――《高校無償化の朝鮮学校排除で終わらない日本社会への影響》で書いたと同じ結論になるが、彼らを一般人として受け入れるのは日本の社会である。日本人の彼らに対する一般的な態度が彼らの一般的な態度に影響を与え、彼らの一般的な態度が日本人の一般的な態度に影響を与える相互作用を社会は築く。

 もし初期的には彼らの反日感情が彼らに対する差別から発した相互作用に立った意識表現であり、それを引き継いだ民族教育としてあるなら、そのことの相互作用からの、橋下知事が「不法国家の北朝鮮と結びついている朝鮮総連と関係があるなら、税金は投入できない」と言っているように日本側からの朝鮮学校無償化排除であるなら、初期的な差別に対する反日感情という相互作用を日本社会は延々として引継ぐぎこととなり、日本の社会にその爪痕(つめあと)を残すことにならないだろうか。

 例え無償化対象とすることを以てしても朝鮮学校に於ける反日教育の力が上回って彼らの反日意識を日本の社会が払拭できなかったとしても、相互作用に少しは棹差す力となり得ないはずはない。逆に無償化排除は逆作用を及ぼす力となるように思えるが、どうだろうか。

 例え朝鮮学校でキム親子を個人崇拝する教育が行われていたとしても、日本人自身の彼らに対する敵対意識を緩和することで個人崇拝教育からせめて反日意識だけは緩和させる相互作用を作動させるときがきているのではないだろうか。差別に対する反日感情とそのことに対する日本側の警戒の相互作用の連鎖を断ち切る作業である。


 追記(7時04分)

 「asahi.com」記事が、拉致問題が解決しないことから閣内にも除外を求める声があり、日本の高校に準じた教育が行われていることを確認できる国同士の正式なルートがない以上、他の学校と同等に扱うことはできないと判断との判断から、4月に実施予定の「高校無償化」をめぐり、全国の朝鮮学校を制度の対象から除外する方針を固めたと伝えている。

 但しあくまでも「方針」であって、〈世論には「差別的な扱いをすべきではない」という意見も強い。文部科学省には「教育内容を客観的にチェックする第三者機関を設け、そこで認められたら除外を解除できるようにしてはどうか」という案もあり、「永久除外」にはならない可能性もある。〉とも伝えている

 《朝鮮学校、無償化除外へ 文科省「教育内容の確認困難」》(asahi.com/2010年3月12日4時26分)
 
 例え排除が決定しても、私自身の排除反対の理由は変わるものではない。
 

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