NHK記者「熊本の養鶏場で鳥インフルが検出されましたけども、現時点で感染の拡大見られないということですが」
《生活の党PR》
《生活の党機関紙第12号》
小沢一郎生活の党代表 巻頭提言
「日本国憲法、国連憲章、日米安全保障条約が三位一体となり日本と世界の平和を実現する」
第186回国会活動報告 「東日本大震災復興特別区域法改正案」議員立法として野党4党共同で衆議院へ提出
声明:このたびの消費税率引き上げについて
小沢一郎生活の党代表、日中至誠基金歓迎会挨拶
生活の党役員、程駐日中国大使と意見交換
OPINION:大阪府立大学現代システム科学域教授 住友陽文
INFORMATION:地域の活動
《4月11日村上史好国対委員長代理衆議院本会議質問 》
『原発に依存しない電力供給体制を確立すべき』
菅官房長官が4月14日午前記者会見で熊本県多良木町養鶏場鳥インフル感染発生時に安倍晋三がゴルフをしていた問題で、「ゴルフをやめる必要性は全くなかった」と擁護したことをマスコミ報道で知り、首相官邸HPから、記者会見の動画発言を文字に起こしてみた。
官房長官の記者会見の動画は一般的な動画と比べて非常に聴き取りにくく出来上がっている。その聴きにくさといったなら、聴き取りやすくしたら、 国民が詳しく知ることになって都合が悪いから、わざと聴き取りにくくしているのではないかと疑いたくなる難聴性動画となっている。
記者会見開始早々、記者たちは鳥インフル問題を取り上げ、続けて安倍晋三のゴルフ問題を取り上げている。記者が会社名を名乗って、聞き取れた場合はその社名を、聞き取れない場合や名乗らなかった場合はそのまま「記者」と記すことにした。
菅官房長官「現地に於いてはそのような報告は受けていません。本日既に8万2千羽を殺処分したという情報を受けております。また、車両消毒のポイント11個所程度設置するなど、関係省庁が連携して対応しております」
記者「感染経路はどうなっているかということですが、渡り鳥ではないかという見方があるのですが、その辺は」
菅官房長官「色んなことがありますけど、まだ正式にはそこまでは断定するに至っていないということです」
朝日記者「昨日の政府対応について、8時半の時点で総理は連絡して情報収集など指示したあと、その後総理はゴルフを継続したことをどのようにお考えですか」
菅官房長官「先ずですね、昨日の事案ですけども、昨年来中国で発生している人の感染が確認されているH7型鳥インフルエンザではないということ。そして感染リスクがかなり低いH5型の鳥インフルエンザであったこと。さらにこれらの感染状況というのは昨日の一鶏舎にとどまっていたということ。
ま、そうしたことをですね、総合的に判断して、この上みなさんにですね、無用な不安を与えることがないように関係閣僚がですね、会議を開催して、総理の指示のもとにですね、ま、しっかり対応を行うと、そういうことであります」
時事通信記者「せめてプレーを中断して、報告を受けることなどできなかったのかと思うが、その点は如何ですか」
菅官房長官「そこは総理は指示を受けて、秘書官いますから、そういった連携してしっかり 対応しているわけですから、総理が途中でですね、少しでもやめる、こういうことの必要性は全くなかったというふうに思っています。
国民のみなさんに無用なですね、不安を与えないようにすることも、危機管理の一つじゃないでしょうか」
記者「ただ昨日の総理のゴルフはプライベートなことではないでしょうか」
菅官房長官「プライベートかどうかは、あれですね、一部報道に出ていますけども、英国大使がおられますし、その外交的配慮とかそういうことではなくてですね、昨日の事案というのは、総理がこの官邸に来て、会合を開くような、そういう事案ではなかったということです」
記者「プライベートを優先させたと見られかねないと思いますが」
菅官房長官「(語気強く)全く当たらないと思います。しっかり対応しておりますから」
――(中略)――
時事通信社記者「今回の鳥インフルエンザの検出というのは国民の生命・財産に関わるものではないというふうに判断されたのか」
菅官房長官「(語気を強め)それは言い過ぎだと思いますよ。ですから、関係閣僚会議を開いて、しっかりと対応してるんじゃないですか。だって、熊本県は、と連携しながら、しっかりと対応するということじゃないでしょうか。
8日(?簡易検査は4月12日午後、遺伝子検査は4月13日)朝に正式に検出されたわけですから、その前の夜にですね、移動制限というものをやっているわけですから、そこはしっかりと対応していますよ」
記者「安倍政権はですね、危機管理、徹底すると、国民の生命・財産をというふうにおっしゃって政権に就かれたと思いますが、今回の総理の対応はそういった言葉と全く反することだと思いますが」
菅官房長官「全く当りません。ないと思います。だって、発生したことについては、全省庁連携しながらですね、対応しているわけですから、そこは全く当たらないと思いますよ」(記者会見あh続くが、ここまで)
菅官房長官は安倍晋三ゴルフ続行の理由として、発生鳥インフルエンザウイルスが中国発生の人感染確認のH7型ではなく、感染リスク低度のH5型であること、感染状況が一鶏舎にとどまっていたことを挙げて、それらを総合的に判断し、無用な不安を与えることがないように関係閣僚会議を開催して、総理の指示のもとしっかり対応したと言っている。
しかし今までクスリが効いていたウイルスが変異して薬が効かない状態――薬剤耐性化して、耐性ウイルスとなる例がある。 例えばインフルエンザ薬「タミフル」 を使った子どもの2割で薬の効かない耐性ウイルスが見つかったという、ちょっと古いが2004年に「asahi.com」記事が伝えているし、最近でも薬剤耐性化した耐性黄色ブドウ球菌といった話も聞く。
当然、H5型が人には感染しにくいと言っても、どこでどう変異して人に感染しやすくなるかは誰も決定的には否定できないのではないかと考えて、インターネットを調べてみた。
《哺乳類間で伝播しうる鳥インフルエンザウイルス H5N1インフルエンザ特集》(Nature2012年5月2日号 特別翻訳記事)
これは2012年5月2日号「Nature」を翻訳した記事である。詳しい内容は直接アクセスして貰うとして、次の一文を参考に挙げたいと思う。
〈高病原性のH5N1亜型鳥インフルエンザウイルスは、16年以上にわたって家禽間を循環しているが、ヒトへの感染例はまれである。しかし、ヒトがH5N1鳥インフルエンザに感染して発症した場合、症状は格段に重篤になるため、ヒトでのH5N1パンデミック(感染症の全国的・世界的な大流行)は公衆衛生に壊滅的な影響を与えるのではないかと危惧されている。
ただし、ヒト間を高効率で伝播できるH5N1ウイルスはまだ出現しておらず、 そのため、この種のウイルスはヒト間の伝播能力をもともと獲得できないのではないかと考える研究者もいる。そのようななか、日本時間2012年5月3日付でNatureのウェブサイトに発表された論文で、今井正樹たちはH5N1ウイルスが実際にヒトでのパンデミック(感染症の全国的・世界的な大流行)を起こす可能性があることを明らかにした。この研究チームは、鳥インフルエンザウイルスがフェレット(イタチ科の動物)間で呼吸器飛沫(咳やくしゃみで飛び散る飛沫)によって感染できるようになるための複数の変異を突き止めた。フェレット(イタチ科の動物)は、ヒトでのインフルエンザ伝播に関して利用可能な中で最良のモデルである。〉――
人には感染しにくいとされている(あくまでも「しにくい」であって、「しない」という絶対性ではない。)鳥インフルエンザウイルスが変異によって人に感染する危険性の存在を伝えている。
そしてこのような危険性への想像を裏打ちとした“絶対ない”としない危機管理は耐性菌や変異という言葉を思い出せば、容易に認識し得るはずだ。特に国民の生命・財産を預かる立場の人間はその危機管理上、そういった言葉を思い出さなければならないし、言葉が表現する事態の最悪のケースに少なくとも心構えを持つ責任と想像力を有しなければ、危機管理を任すことができないことになる。
“絶対ない”としない危機管理は福島第原発事故で「原発安全神話」が物の見事に打ち砕かれて学んだはずだ。
要するに“絶対ない”としない危機管理から言ったなら、「感染リスクがかなり低いH5型の鳥インフルエンザ」であることを理由にゴルフをしていていいという理由にはならないということである。
感染状況が一鶏舎のみにとどまっていたこともゴルフ続行の理由としているが、現在のところ渡り鳥犯人説が有力である以上、その鶏舎からの飛び火はなくても、渡り鳥から別の鶏舎に飛び火しない保証はないとする、これまた“絶対ない”としない想像力に立った危機管理は最小限必要となって、必要に応じた危機管理を脳裏に置いていたなら、うかうかとゴルフなどしてはいられなかったはずだ。
だが、ゴルフを続けた。
菅官房長官が国民に無用な不安を与えないために首相を除いた関係閣僚のみで会議を開催し、安倍晋三はゴルフを続行したと正当化していることは、今回の鳥インフルエンザ感染は取り立てて大騒ぎすることではないとしていることになるが、中国発生の人感染確認のH7型ではなく、感染リスク低度のH5型であること、感染状況が一鶏舎にとどまっているという情報は少なくとも安倍晋三が秘書官を通じて対応を3点指示した4月13日午前8時前に安倍晋三に伝えられていたことになる。
だから「ゴルフを続けてください」と。
であるなら、逆にその情報を国民に発信して、「無用な不安を与えることがないように」取り計らい、安心を与えるべきではなかったか。そのような危機管理こそ必要ではなかったか。
農林水産物の放射能汚染を疑う風評被害払拭のために安心であることの証明として自らトマトやキュウリやイカを口に頬張るように自ら進んでゴルフをするパフォーマンスを通じて安心を証明するというなら理解はできる。
だが、そうではなかったということは、ゴルフを続けることができるようにするためにだけ、その情報を安倍晋三特定で発信したことになる。ゴルフを続けても構わない安心感を与えるために。
「無用な不安を抱かずにゴルフを続けてください」とばかりに。
これでは国民のための危機管理ではなく、安倍晋三のための危機管理となる。例え関係閣僚が熊本県と連携して「しっかりと対応」したとしても、安心のシグナルは安倍晋三のみに向けて発信された。
つまり菅官房長官は狡猾にもゴルフ続行は国民に不安を与えない危機管理からの姿勢だったと正当化していることになるが、どれ程の国民が安倍晋三のゴルフ続行から安心情報を得ただろうか。
そのような解釈不能な間接情報よりも、今回の感染はこれこれこのとおりだからと直接的に説明する直接情報の方が国民は当面の間は素直に反応できたはずだ。
当面の間と言うのは、いつウイルスが変異して、人に感染しやくすなるかは分からないことだし、渡り鳥が別の鶏舎に感染を飛び火させない保証はないからだ。
果たして「総理が途中でですね、少しでもやめる、こういうことの必要性は全くなかったというふうに思っています」と言っていることに正当性を与えることができるだろうか。
国民に向けては安心を与える情報は発信せずに、「国民のみなさんに無用なですね、不安を与えないようにすることも、危機管理の一つじゃないでしょうか」と抜け抜けと言い抜けている。
その薄汚さは計り知れない。
菅官房長官は記者のプライベートなゴルフではなかったのかという質問に対して「昨日の事案というのは、総理がこの官邸に来て、会合を開くような、そういう事案ではなかったということです」と答えているが、要するにプライベートなゴルフを優先させてもいい「事案」であったとしていることになる。
果たしてこの説明に国民のどれ程が素直に納得できるだろうか。11万羽以上のニワトリを殺処分しなければならなかった鶏舎所有者や、移動制限をかけられた鶏舎所有者は納得するだろうか。
安倍晋三が国民の危機管理を預かるトップとしての資格があるかどうか、既に疑わしくなっている。
記者の「今回の鳥インフルエンザの検出というのは国民の生命・財産に関わるものではないというふうに判断されたのか」という質問に対して、菅官房長官は、それは言い過ぎだと語気を強め、関係閣僚会議開催や熊本県との連携を以ってしっかりと対応していることの証明としたが、「総理がこの官邸に来て、会合を開くような、そういう事案ではなかった」と言っている以上、国民の生命・財産に関わる事案ではないと判断していたことになるだけではなく、記者は危機管理のトップの地位にある安倍晋三のゴルフが今回の鳥インフル感染に対して「国民の生命・財産」の視点で判断した行動だったのかどうかを聞いたのであって、トップが責任を部下に丸投げということもあるのだから、関係閣僚等の下っ端の対応や熊本県との連携をいくら言い立てたとしても、その言い立てのみでで「国民の生命・財産」の視点で判断した行動であることの証明とはならない。
鳥インフルに感染したニワトリの処理や防疫に緊張感を走らせている熊本県多良木町の緊迫した状況を他処に安倍晋三一人のみが安心情報を得てプライベートでしかないゴルフを安心しながら続けていたことのみを取り上げたとしても、国民の生命・財産を守る危機管理の責任を関係閣僚や熊本県に丸投げした行動そのものだと断定せざるを得ない。