大型旅客船や旅客機の事故が相次ぎ、多くの死者を出している。こうも続くのは異様で、何となく先行き良からぬ事が起きるのではないかといった予兆を感じてしまう。
そもそもの発端はマレーシアのクアラルンプールから中国の北京に向かっていたマレーシア航空の定期旅客便が2014年3月8日、タイランド湾上空で消息を絶ち、現在も行方不明となっている不可解な事件かもしれない。
幼児5人を含む乗客227人と乗員12人が搭乗していた。世界各国の軍隊が協力して海と空から捜索したが、行方不明の状況に変わりはなかった。
乗客の内中国人が152人を占め、ついでマレーシア人の38人。以下各国に少しずつ分散しているが、日本人の乗客はなし。
次の悲惨な大型の事故は2014年4月16日に韓国の大型旅客船セウォル号が全羅南道珍島郡の観梅島(クヮンメド)沖海上で転覆・沈没した事故である。
2014年6月24日現在、乗員・乗客 293人死亡、乗員・乗客 11人が行方不明、捜索作業中の民間ダイバー 2人と同じく捜索作業中の消防隊員 5人が犠牲となっている。
転覆原因は積み荷の過度な積載オーバーと積み荷の固定装置未装着。マニュアル通りに運行していなかった。転覆すべくして転覆して、そして沈没した。いわば乗客は徒に犠牲になったことを意味する。
乗客の中に修学旅行の男女高校生が大勢乗っていたということだが、何人が救助されたのか、前途あるべき若者の生命(いのち)を大人たちの卑しいカネ儲け主義が奪ってしまった。
今回も日本人は乗船していなかった。
ついで7月17日(2014年)、マレーシア航空旅客機ボーイング777がウクライナ東部上空1万メートルの高度を飛行中、ミサイルで撃墜され、乗客283人と乗員15人の298人全員が死亡した。
安倍晋三は7月18日、邦人被害の確認を関係各省に指示、菅官房長官は朝の記者会見で、「現在のところ邦人被害の情報には接していない」(時事ドットコム)と述べている。
岸田外務大臣は日本時間の7月18日未明、訪問先のウクライナで記者団に、「報道は承知している。私から事実関係と日本人の安否を至急確認するよう指示を出した」(時事ドットコム)と発言。
日本人の乗客の確認、搭乗していた場合の安否確認は「国民の生命と財産」を預かっている政府として当然の措置だが、しかし外国人であっても、現に生命(いのち)を犠牲にしている乗客がたくさんいる。
難しい対応だが、日本人の安否確認だけを優先させて各国の犠牲者や搭乗していると分かっている乗客の近親者の恐怖に無頓着であったのでは、自国中心主義に走り過ぎていることになる。
7月23日夜、台湾の離島・澎湖島で乗客乗員58人が乗った復興航空(トランスアジア航空)機が着陸に失敗し、炎上、マスコミは当初47人とか48人死亡したと伝えていたが、51人の死亡の可能性もあるとしている。
着陸失敗は台風10号の通過による天候不良だそうだが、日本の対台湾窓口機関の交流協会高雄事務所が日本人搭乗の情報を伝えていないことから、安否確認は不必要となった。
そして立て続けにと言うか、7月24日未明、アルジェリアのアルジェリア航空機が西アフリカ・ブルキナファソの首都ワガドゥグからアルジェに向かう途中、消息を絶った。乗客110人と乗員6人の計116人が搭乗していた。
当初墜落場所の情報が錯綜していたが、マリの領土内で残骸が発見されたという。民間航空機の墜落は1週間で3回目だという。
在ブルキナファソ日本大使館によると、搭乗リストに日本人は載っていないと言うことだから、幸いなことに今回も犠牲者から除外されたことになる。
だが、それぞれの外国を国籍とする多くの外国人が犠牲者のリストに載ることになった。具体的には乗客110人、乗員6人。フランス人が51人と最も多く、乗客と乗員は計15カ国に亘るそうだ。
世界を移動する日本人の数が少ないのか、あるいは移動範囲が狭いのか、単なる偶然に過ぎないのか、理由は考えつかないが、こうも続けて日本人が乗船せず・搭乗せずと続くのも珍しいのではないだろうか。
もしこれを日本人の幸運であるとしたら、犠牲となった外国籍の人間の不幸を背後に置いた幸運と言えないこともない。犠牲者は外国籍ばかりで、その中に日本人がいなくてよかったという幸運である。
この幸運は安倍晋三の政権運営に於ける数々のツキが影響している幸運なのかもしれない。もしウクライナでミサイルで撃墜されたマレーシア旅客機の全員死亡の犠牲者の中に日本人が含まれていたなら、親友プーチンに対して西欧各国の厳しい対応を他処にこれまで事勿れな態度を取っていたが、国内世論の手前、厳しい態度に切り替えざるを得なくなり、窮地に追い込まれることにもなったろう。
いわば日本人の搭乗者がいなかったこと自体が日本の幸運であるばかりか、安倍晋三自体の幸運でもあった。
と言うことは、安倍晋三のツキの続きということかもしれない。
ツキの悪さは人生の最後の最後まで付き纏われることがある。だが、逆のツキはいつまでも続く保証はない。ツキが余り続くと、却って不安になるのはこのためだろう。
日本人が乗船せず・搭乗せずの幸運にしても、余り続くと、そのうちトンデモナイことが起きるのではないかと却って良からぬ先行きを考えてしまう。そのトンデモナイこととは安倍晋三のツキの剥落を意味するのかもしれないし、あるいは南海トラフ地震や首都直下型地震とかの大規模自然災害ということかもしれない。
勿論、後者はお断りしたいし、何事も起きないことを祈るし、飛行機の墜落も、船の沈没もないに越したことはないが、いずれも人間には避けようのない異常事態となっていることも事実である。