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《インタビュー:安倍首相はピーク越えた、年内選挙ない=小沢一郎氏》(ロイター/2014年
7月 22日 11:44)
《小沢氏 野党協力すれば政権交代も可能》(NHK NEWS WEB/2014年7月20日 16時17
分)
《7月23日(水) 小沢一郎代表『ニューズ・オプエド』(NOBORDER)生出演のご案内》
・番組名:Ustream/NOBORDER『ニューズ・オプエド』
・日 時:平成26年7月23日(水)16:00~17:00(生放送)
※代表の出演時間は16:30から
・内 容:安倍政権「集団的自衛権行使容認」について
――各国首脳が対応に追われている中、安倍晋三は世界秩序の維持に外交的に関わろうとはせずにゴルフを愉しんでいた――
7月17日(2014年)、マレーシア航空旅客機ボーイング777がウクライナ東部上空1万メートルの高度を飛行中、ミサイルで撃墜された。乗客283人と乗員15人の298人全員が死亡したと「日経電子版」が伝えている。
298人の中には夏休み中の子ども80人が含まれていた。
「日経電子版」による国別犠牲者は次のとおりとなっている。
オランダ 193 人
マレーシア 43人
オーストラリア 27人
インドネシア 12人
英国 10人
ドイツ 4人
ベルギー 4人
フィリピン 3人
カナダ 1人
ニュージーランド 1人
当初単に墜落とされていた原因が翌7月8日にはアメリカが親ロ派武装勢力のミサイル発射による撃墜と疑い、それがウクライナ軍と親ロ派武装勢力の戦闘中に武装勢力側の支配地域での戦闘とは関わりのない民間機の撃墜であり、戦闘とは関わりのない298人の民間人の犠牲を伴っていることから、特に悲惨で重大な出来事として各国首脳は外交を活発化させることとなった。
但し日本を除いて。
7月17日、ロシア側の要請でプーチン大統領とオバマ米大統領が電話会談。プーチンはウクライナ情勢を巡って米国前日発動の新たな経済制裁に強く抗議、約1時間に及んだ会談半分を過ぎた辺りで、「ついでに言うと」といった感じでプーチンが事件の一報に触れたと「MSN産経」が伝えている。
電話会談のとき、オバマ大統領には墜落がまだ伝わっていなかったようだ。
プーチンは旅客機の墜落がミサイルによって撃墜された事実をまだ知らなかったとしても、武装勢力側の支配地域に墜落した、戦闘とは関わりのない民間機の墜落である以上、重大な問題意識を示さなければならないはずだが、ロシアに発動された新たな経済制裁を優先問題とし、墜落の報告を後回しにした。
プーチンが安倍晋三と同様の国家主義者であることは今更言うまでもないことだが、国家主義者の顔を覗かせた瞬間であるはずだ。
同7月17日、オバマ大統領は墜落機が離陸したオランダのルッテ首相と電話協議。痛ましい事件であることを伝え、哀悼の意を伝えたたはずだ。
オバマ大統領「迅速で信頼性の高い国際的な調査が、妨害を受けないように行われるべきだ」(MSN産経)
プーチンとウクライナ国内の親ロ派武装勢力を信用していないニュアンスを窺うことのできる発言となっている。
7月18日、プーチンがオランダのルッテ首相と電話会談。最も多くの犠牲者を出したオランダに対して哀悼の意を述べたのだろう。
プーチン「戦闘が続くウクライナ東部の危機的状況をできるかぎり早く平和的に解決する必要がある。(調査について)客観的で綿密に行われなければならない」(NHK NEWS WEB)
親ロ派武装勢力発射のミサイルが疑われている状況下での「客観的」調査の必要性の訴えである以上、親ロ派武装勢力ではないとしたい「客観的」調査を衝動としていたことになる。
同7月18日、オバマ大統領が27人の犠牲者を出したオーストラリアのアボット首相と電話談。大切な人を失った家族に対して哀悼の意を表している。早期の原因究明と親ロ派武装勢力を如何にウクライナ領土から排除したらいいか、対ロ制裁の効果的運用方法の検討を含めて話し合ったはずだ。
同7月18日、続いてオバマ大統領はキャメロン英首相、ドイツのメルケル首相と相次いで電話協議、マレーシア旅客機が撃墜されたウクライナ東部の親ロ武装勢力支援を続けるロシアへの制裁強化の可能性を話し合い(MSN産経)、原因究明に向けた国際的な調査を直ちに実施する必要性の確認、親ロシア派の武装集団に調査団の安全の確保と証拠の保全を求めることで一致(NHK NEWS WEB)。さらにロシアが武器流入停止に「明確な責任がある」点を話し合った。(毎日jp)
同7月18日、ウクライナのポロシェンコ大統領がオーストラリアとドイツ、それにイギリスの首相と相次いで電話会談。原因究明のための調査に協力を求めた。(NHK NEWS WEB)
7月19日、プーチンがドイツのメルケル首相と電話協議。国連の専門機関・国際民間航空機関(ICAO)が関与した「独立した国際調査委員会」が撃墜現場で調査を行うことで合意している。(毎日jp)
7月19日、オランダのルッテ首相がブーチンと前日に続いて電話会談。
7月20日、キャメロン英首相がドイツのメルケル首相と電話会談。マレーシア旅客機撃墜現場に欧州安保協力機構(OSCE)調査団が立入りを制限されていることに懸念を共有し、キャメロン首相はロシア側の非協力的な姿勢不満を表明(MSN産経)、一刻も早い遺体の収容や原因の究明のためにはロシアのプーチン大統領が親ロシア派への影響力を使い、説得する責任があるという認識で一致。(NHK NEWS WEB)
同7月20日、キャメロン首相がメルケル首相との電話会談後、プーチン大統領と電話会談。ロシアがウクライナ東部の安定に取り組むかを世界が注視していると、対応を迫った。(NHK NEWS WEB)
同7月20日、オランダのルッテ首相が7月19日に続いてブーチンと電話会談。マスコミは触れていないが、ルッテ首相の原因究明調査が当たり前に進まないことに苛立っている様子を窺うことができる。
7月21日、オーストラリアのアボット首相がロシアのプーチン大統領と電話会談、マレーシア航空機の撃墜への対応について協議している。プーチンの尻を叩く形で会話は進められたはずだ。
7月22日、オランダのルッテ首相がプーチンと4回目の電話会談。国連の安全保障理事会で国際調査に向け各国に協力を呼びかける決議が採択されたことを評価し、専門家の現地入りを実現するためにも親ロシア派とウクライナ軍の停戦が重要だということで一致。(NHK NEWS WEB)
かくこのように西側各国首脳はプーチンに対して苛立ち、不満を持ちながらも、ミサイル発射勢力の特定の調査進捗とウクライナ情勢の平和的解決を求めて外交を活発化させていた。
このような外交努力は世界秩序維持の努力でもあるはずだ。
では、親友同士であるプーチンと今年2月のソチ五輪後、電話を含めた首脳会談を行っていない我が日本の安倍晋三はどのような動静にあったのだろうか。オバマ大統領やドイツ首相などが旅客機撃墜前からプーチンに対して親ロ派武装勢力に対する影響力を行使するよう求める電話会談や西側首脳同士がウクライナ国内の戦闘の停戦等について電話会談を行っていたにも関わらずである。
7月19日、安倍晋三は地元山口で開催の長州「正論」懇話会1周年で講演している。
安倍晋三「さて私はこれまでに22回、月1回以上のペースで海外に出かけました。既に42カ国を訪問しました。これは、結構くたびれることもあるんですが、大切な仕事だと思っています。後、半月後にはこれが47になります。まさに地球儀を俯瞰する外交を展開してきました。
今年4月にはオバマ大統領が来日しました。民主党政権で崩れかけた日米関係は復活するどころか、かつてないほど強固になったと確信しています。5月にはNATOで日本の安全保障政策について、スピーチしました。日本とEUは経済のみならず、安全保障などあらゆる面で、価値観と利益を共有するかつてないパートナーとなっています。
プーチン大統領とは 1年半で5回、首脳会談を行いました。ロシアには、責任ある国家として、国際社会の問題に、建設的に関与してもらわねばなりません。そのためには、私はプーチン大統領との対話を続けていきます。1日も早い平和条約の締結に向けて粘り強く、交渉していきます」(首相官邸HP)
プーチンが世界秩序に挑戦する形で国際法とウクライナの主権を踏みにじってウクライナからクリミアを分離させてロシアに併合させた領土拡張に飽きたらず、ウクライナ国内の親ロ派武装勢力のウクライナ政府に対する武装攻撃に託して更なる領土拡張欲を充足させようと意図しているにも関わらず、ロシアに対して痛くも痒くもない紋切り型のメッセージを発するにとどめ、マレーシア旅客機ミサイル撃墜を含めた現在のウクライナの情勢に電話会談等を使った外交的な関わり合いは一切行わないままに訪問国数と訪問回数のみ言い立てているに過ぎない「地球儀を俯瞰する外交」を自慢している。
世界秩序の維持に外交的に関わろうとしない、いわばプーチンの世界秩序挑戦に西欧各国首脳が制裁を科し、色々と物を申している中で何も物申さない「地球儀を俯瞰する外交」とは、一体何を意味するのだろうか。
7月21日祭日、安倍晋三は、相互に電話会談して、壊れかけたウクライナ情勢を建て直し、世界秩序を繕い直そうと努力している世界各国の首脳を他処に神奈川県茅ケ崎市で友人や秘書官とゴルフを楽しんでいる。
ホール移動の合間に記者団に発言している。
安倍晋三「楽しむことが一番だ」(MSN産経)
同7月21日、このゴルフに、何が「地球儀を俯瞰する外交」だと苦々しく思ったのか、あるいはゴルフを知らずに発言したのかかどうかは不明だが、メデイロス米国家安全保障会議(NSC)アジア上級部長が訪米した自民党の河井克行衆院議員とワシントンで会談。
メデイロス上級部長「国際社会が透明性を持った調査をできるよう日本政府も声を上げてほしい」(時事ドットコム//07/22-06:58)
7月22日11時03分からの岸田外相記者会見。
岸田外相「この墜落の原因につきましては,現在,情報の収集あるいは分析中でありますが,撃墜行為による可能性が高いと思っていますし,国際社会として強く非難すべきであると思います。関与した者は,この重大な責任をとらなければならない。このように感じています。
真相究明につきましては,分離派武装勢力の妨害によって検証活動が円滑に進んでいないことを懸念しております。全ての関係者のアクセスが確保されるよう,この墜落現場へのアクセスが確保されるよう,分離派武装勢力の協力を強く促していきたいと思っております。
その関係で,ウクライナの主権,そして,一体性を侵害する分離派武装勢力の行動を強く非難いたします。そして,これに対する外部からの支援は情勢の悪化をもたらすものであり,即刻停止すべきであると考えます。そして,ロシアにつきましては武装勢力に対し,和平に向けた対話に応ずるよう,また,マレーシア航空機墜落事件に関する国際的調査に協力するよう,影響力を行使することを求めます」(外務省HP)
この「撃墜行為による可能性が高いと思っていますし」という発言について、「NHK NEWS WEB」記事は、〈撃墜された可能性が高いという認識を政府として初めて示し〉たものだとしている。
要するにロシアを追いつめたくない気持が撃墜された可能性を云々したくない姿勢にさせていたが、前日(時差の関係で1日は経っていないかもしれない)、メデイロス上級部長から日本もプーチンに対して影響力を発揮しろと促されて、仕方なく可能性高は高いという認識を示したのだろうか。外圧には弱い日本である。
マレーシア旅客機に日本人乗客は搭乗してはいず、当たり前のことだが、ミサイル撃墜で犠牲者を一人として出していない。
だからと言って、世界秩序維持の外交努力は果たさなくてもいいという理由にはならないし、安倍晋三が言う「国民の生命・財産を守る」は自国日本人に限定した国家的使命ではなく、外国政府のその国の「国民の生命・財産を守る」の国家的使命にも相互に共鳴させなければならない思想であるはずで、そのような普遍性を持たせることによって、その言葉はホンモノとなり得るはずだ。
他国民の生命・財産はどうでもいいとした、自国民の生命・財産は守るの国家的使命・思想は逆説的に過ぎ、決して正当性を得ることはできまい。
だが、安倍晋三は日本人の犠牲者は一人もいないという理由でか、外国人のみが関わった犠牲に対する真相究明の調査の進行に外交努力を何一つ果たしていない。
「国民の生命・財産を守る」国家的使命・思想が、もし日本人の生命・財産に限定しているなら、首相の立場にある自身の何らかの利害を目的とした便宜性のための国家的使命・思想であることを免れることはできない。
それが電話会談等の外交努力を一つとしてせず、ゴルフを楽しんでいたという場面に現れたということなのだろう。
この程度の「地球儀を俯瞰する外交」であり、この程度の「積極的平和主義外交」だということである。