国家主義者安倍晋三の新成長戦略「女性の活躍」も格差ミクスが反映される

2014-07-12 10:12:47 | Weblog



 ――安倍晋三の新成長戦略女性就業率(25歳~44歳)2020年73%、指導的地位女性占有率30%の実態――

 安部政権は新成長戦略の中核に「女性の活躍」を高々と掲げている。耳に聞こえのいいキャッチフレーズではある。2020年までに25歳~44歳の女性就業率を73%、指導的地位を占める女性の割合を30%程度を目標値としている。

 但し2011年指導的地位を占める女性の割合は企業と公務員を含めて11.1%。先進国の中でアメリカの約4分の1、フランス、スウェーデン、イギリス、ドイツと続いて、イタリアの約2分の1。7カ国中、最下位の栄誉を担っている。女性は尊重されていない日本に於けるこの状況を果たして打破できるのだろうか。、

 総務省統計局の調査によると、2013年4月の女性の就業率は62.5%。これは過去最高の初めての62%超えだそうだ。安倍晋三にしたらアベノミクス効果で経済は拡大していくと計算しているだろうから、2020年73%は到達可能な目標といったところなのかもしれない。

 しかし安倍晋三は国家主義者である。国家主義者は国家の在り様・体裁を最重要視する。GDPの規模とか、経常収支とか、貿易額とか、外貨準備高とか、有効求人倍率とか、鉱工業生産指数とか、住宅着工率とか、個人消費支出とか、企業の設備投資額とか等々である。

 中身の国民の在り様・体裁はさして重要視していない。あくまでも国家という全体の姿を如何に偉大な高みに持っていくかに頭を痛めている。

 女性就業率で言うと、あくまでも数値の高さを問題視する。だから、企業の尻を叩いたり、省庁にそれとない圧力をかけたりして、数字のアップだけを目標とすることになる。中身はさして考えていない。考えていたなら、雇用の質をも数値で求めたはずだ。求めていないことが中身を問題していないことの証明となる。

 総務省統計局の《労働力調査ミニトピックス No.8》には次のような記述がある。  

 〈女性(15~64歳)の就業率が62%を超え,過去最高

 2013年4月の女性の就業率は62.5%と,初めて62%を超え,過去最高となりました。

 女性の就業率は,2007年5月に60.6%と60%を超えて以降,60%前後を推移し,2013年3月に61.8%と過去最高となり,4月も引き続き上昇傾向が続いた結果,過去最高を更新しました。〉

 この統計にしても、数値のみを問題としている。中身については一切記述していない。

 だが、次の総務省統計局の記事は中身を伝えている。《労働力調査の結果を見る際のポイント No.16 非正規の約7割は女性が占める》(2013年2月19日)

 〈2012年平均の雇用形態別の雇用者数は、正規が3340万人、非正規が1813万人となりました(非正規の割合(非正規/(正規+非正規))は35.2%。)。非正規の内訳をみると、パートが888万人と最も多く、次いで契約社員・嘱託が354万人、アルバイトが353万人などとなっています。他方、派遣社員は90万人となっています。〉

 〈非正規の約7割は女性が占める

 いわゆる学生などを除いた雇用者(役員を除く)に占める男女・雇用形態別の割合をみると、正規は男性が45.7%、女性が20.6%、非正規は男性が10.0%、女性が23.6%となっています(なお、10年前の2002年平均の非正規の割合は、男性が7.6%、女性が19.9%で、男性も女性もこの10年で非正規の割合は上昇しています。)。

 こうしてみると、非正規の約7割は女性が占めていることになります。また、女性では非正規と正規で約半々となる一方、男性では非正規が正規の約1/4弱に達しています。〉――

 これだけの説明では非正規の約7割が女性というのは出てこない。

 雇用者正規が3340万人+非正規が1813万人=5153万人に占める(正規男性45.7%+女性20.6%)+(非正規男性10.0%+女性23.6%)

 非正規全体5153万人×非正規女性23.6%=1216万人

 非正規女性1216万人÷非正規男女全体1813万人=67%

 記事の図では、70.2%となっている。

 別のインターネット記事では2012年の雇用者全体に占める非正規女性は1260(24.4%)となっている。

 雇用者男女全体5153万人×24.4%=1257万人

 女性非正規1257万人÷非正規男女全体1813万人=69.33%

 非正規の約7割が女性と書いてあることに対して無理に70%という数字を出そうとしているようだが、これが雇用の中身の一つの実態のである。

 勿論、非正規雇用であっても、自己都合から自発的に非正規雇用を選択しているケースがあることは重々承知している。

 労働力調査(詳細集計(平成26年(2014年)1~3月期平均(速報)》(総務省統計局)

  〈結果の要約

 2013年平均の役員を除く雇用者5201万人のうち,正規の職員・従業員は3294万人と,前年に比べ46万人減少。非正規の職員・従業員は1906万人と,93万人増加
非正規の職員・従業員について,現職の雇用形態についた主な理由を男女別にみると,男性では「正規の職員・従業員の仕事がないから」の占める割合が最も高く,女性では「家計の補助・学費等を得たいから」の占める割合が最も高い。

 男性(非正規の職員・従業員610万人)

 「正規の職員・従業員の仕事がないから」 ・・・・・・・ 169万人(30.6%)
 「自分の都合のよい時間に働きたいから」 ・・・・・・・ 118万人(21.3%)

  女性(非正規の職員・従業員1296万人)
 
 「家計の補助・学費等を得たいから」 ・・・・・・・・・・328万人(26.8%)
 「自分の都合のよい時間に働きたいから」 ・・・・・・・・311万人(25.4%)〉――

 例え自己都合による自発的非正規雇用選択であっても、被雇用者の立場・利害を意味しているだけのことであって、雇用の質という点で、あるいは給与の質という点で正規雇用以下であることに変わりはない。

 つまり安倍晋三がアベノミクスを万能の力として新成長戦略の中核に据えている「女性の活躍」のうち、25歳~44歳の女性就業率を2020年までに73%到達を可能としたとしても、アベノミクスの国家主義的傾向をなおのことを受けて正規雇用減少と非正規雇用増加が年々加速していくだろうから、非正規雇用の割合にしても非正規雇用に占める女性の割合にしても加速の反映を受けることになるということである。

 安倍格差ミクスの拡大していく反映である。

 そしてこの反映は正規雇用と比較した非正規雇用の雇用の質にしても、例え少しずつ賃上げが上がったとしても、あくまでも比較という点で賃金の質にしても常に劣る位置に立たされる格差をも伴うはずである。

 これが安倍晋三が得意になって掲げ、吹聴している「女性の活躍」の実態であり、今後とも変わらない、あるいは更に悪化していく実態であるはずだ。

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