安倍晋三の予定調和で成り立たせた支離滅裂な安保法制と独裁意志を露わにした2015年5月20日党首討論

2015-05-21 12:27:50 | 政治


 昨日2015年5月20日午後3時から安倍晋三と民主党代表岡田克也、維新の党松野頼久、共産党志位和夫とそれぞれの党首討論が行われた。

 ここでは岡田克也民主党代表との党首討論を取り上げてみるが、安倍晋三が考えている日本の新しい安全保障は今後起き得ると想定した全ての事態が想定した予想通りに結果も予想通りとする予定調和から成り立っていることが明らかとなる。

 安倍政権国会提出の自衛隊の後方支援活動はあくまでも集団的自衛権との関連で取り上げる。集団的自衛権行使容認に動く以上、後方支援にしても何にしても、他国との共同での戦闘行為との関連で自衛隊の活動は把えられることになるからだ。

 いわば集団的自衛権行使以外の自衛隊活動であっても、アメリカやその他の友好国の軍隊と一体的と見られる中での活動となるからである。

 最初に《自衛の措置としての武力行使の新3要件》(2014年7月1日閣議 決定)を挙げておく。

①我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、こ
 れにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があ
 ること

②これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと

③必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと――

 〈我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある〉という“危険”とは、並大抵な危険ではなく、比喩的に説明すると、猛烈な勢いの超大型台風が迫って来ていて、大して頑丈ではない建物の中に閉じ込められてそれが通過するのを待つ家族の状況に国家・国民が置かれている危険に譬えることができる。

 外は猛烈な雨風が吹き荒れていて、今にも建物に襲いかかろうとしている。あるいは既に襲いかかっている。

 いわば国家及び国民を今まさに囲んでいる、あるいは囲もうとしている安全保障環境は超大型台風並に危機的状況となっている。

 そうでなければ、〈我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある〉と言うことはできない。

 安倍晋三が考えている新しい安全保障法制の全体像はそういった危機的状況の安全保障環境に見舞われた場合はそれを家の中にいて通過するをじっとして待つのではなく、外に打って出ようというものであろう。

 そういった起こり得るかもしれない日本と日本国民を取り巻く中途半端ではない危機的安全保障環境を前提として安倍晋三の発言を見なければならない。

 岡田代表は「重要影響事態安全確保法」と「国際協力支援法」に関係する後方支援を取り上げて、例え戦闘地域ではなくても、武器、弾薬、武装兵員を輸送する後方支援任務の自衛隊に敵勢力が襲撃しない保証はない、自衛隊のリスクは飛躍的に高まるのではないかと問い質した。

 安倍晋三「今回は戦闘現場ということにさせていただいて、そこで戦闘が起こったときにはただちに部隊の責任者の判断で一時中止をする。そしてあるいは退避するということを明確に定めているわけであります。つまり、今までの建て付けは、その活動期間を通じてずっと戦闘が行われないということを決めていたわけでありますが、しかし、そのことによってですね、そのことによって果たして柔軟な態勢ができるのかどうかということが、大きな課題であって…(ヤジがうるさく)みなさん、ちょっと黙って聞いていただけますか。こういう議論は大切な議論ですから、冷静に議論しましょうよ。よろしいですか。

 そこでですね、そこで大切なことは、そういう決めつけを行うのではなくて、戦闘現場になり得ることがあり得るという中に於いて、速やかに作業を中止する、あるいはまた退避するということを定めているわけであります。そして勿論、食糧等を輸送するわけでありますが、こうした部隊は重武装しているわけではありません。勿論、武装はしている。しかし、重武装をしているわけではありませんから、そもそも戦闘に巻き込まれることがなるべくないような、そういう地域をしっかりと選んでいくのは当然のことであり、安全が確保されているというところについて活動していくことは、当然のことであろうと思うわけであります。

 そもそもですね、そもそもしっかりと物資を持っていくわけでありますから、これが奪われる蓋然性が高いところに行くわけはないわけでありまして、ですから、安全が確保されている場所に我々はいわば輸送を、後方支援を行う。安全が確保されている場所で後方支援を…すいません、先ほどからあまりにもヤジがうるさ過ぎますよ。そういう場所でしっかりと支援活動を行っていくことにしたいと考えているわけであります」・・・・・・

 言っていることが支離滅裂である。戦闘現場に行くが、戦闘が起きたら、後方支援を一時中断するか、あるいは退避する。後方支援の場所を「戦闘現場ということにさせていただいて」と言いながら、「戦闘に巻き込まれることがなるべくないような、そういう地域をしっかりと選んでいく」と言う。

 一方で、輸送している物資が「奪われる蓋然性が高いところに行くわけはない」、「安全が確保されている場所で後方支援を行う」と断定する。

 こういった何も危険がないことを誰が常に保証してくれるのだろうか。まさに今後起き得ると想定した全ての事態が想定した予想通りに結果も予想通りとする予定調和を言葉を多く費やして述べているに過ぎない。

 ここで言っていることを安倍晋三が同じくいっているホルムズ海峡の機雷封鎖撤去で譬えてみる。

 テロ集団を含めた敵勢力がホルムズ海峡に機雷の敷設を開始した。アメリカ軍がその情報をキャッチして、機雷敷設を妨害するために攻撃することもなく、機雷封鎖が終わりました。石油の輸送が止まったら、存立危機事態に相当するからと、自衛隊が後方支援としてその撤去を始める。敵がその撤去を妨害するために攻撃してきたら、一時中止するか退去する。

 攻撃がやんだら、再び機雷撤去に取りかかる。

 このような状況が確実に保証されて初めて、「戦闘に巻き込まれることがなるべくないような、そういう地域をしっかりと選んでいく」という約束が成り立つ。

 つまり「一時中止」と「退去」を誰も阻害することなく、あるいは誰からも阻害されることなく常に可能であるとしていることになって、その可能性の上に自衛隊のリスクはないとしていることになる。
 
 この可能性は今後起き得ると想定した全ての事態が想定した予想通りに結果も予想通りとする予定調和を絶対前提としていなければ成り立たない。

 戦闘行為が行われていない場所ではオスプレイは墜落しない、着陸失敗もないと言っているようなものである。

 肝心なことは答えずに、安倍晋三は言葉多く同じことを繰返している。

 安倍晋三「そこで、そこで大切なことはですね、そこで大切なことはよくこうした議論を深めていくことなんだろうと思います。私たちの考え方では、今までの非戦闘地域という概念よりも、戦闘現場という概念を以って、しっかりと安全が確保されている、戦闘行為が行われていない。しかし行われれば、ただちに現場の指揮官の判断で中止、あるいはその後退避することが機動的にできるようにしていきます。しかし基本的にこうした後方支援活動を行うことは、戦闘が行われていない場所であるということは申し上げておきたいと思います」

 「中止」も「退避」も絶対的に保証された行動と見做している。あるいは「戦闘が行われていない場所」がいつまでも「戦闘が行われていない場所」であるとする安請け合いは予定調和なくして成り立たない。

 このことは次の発言が証明する。

 安倍晋三「非戦闘地域に於いて作業をしている間、ずっとそれは戦闘地域にはならないということを前提としているわけであります」 

 誰がその「前提」を保証してくれるのか。敵勢力がそれを保証した場合、その戦力は恐るるに足らないものとなる。存立危機事態の対象ともならないことになる。

 饒舌は饒舌だが、言葉が多いだけで、議論自体を合理的に論理立てることができない安倍晋三の頭の中身を見たい。

 岡田代表が集団的自衛権の限定的行使の場合、相手国の領土、領海、領空に及ぶのかと問うと、新3要件を条件としている以上、他国への攻撃が個人が猛烈な勢いの超大型台風に見舞われているに等しい、あるいは見舞われようとしているに等しい軍事的に危機的な安全保障状況に国家と国民が迫られているとき、集団的自衛権に則って他国との共同での戦闘行為を想定しなければならないはずだが、「外国の領土に上陸していって、戦闘行為を行うことを目的に武力行使を行うということはありませんし、あるいは大規模な空爆を共に行うなどのことはないということは、はっきりと申し上げておきたい、このように思います」と言って、新3要件の存立危機事態に反することを言っている。
 
 対して岡田代表の反応。

 岡田代表「今の首相の答弁は納得できないんですね。大規模空爆というのは確かにね、必要最小限を超えるという議論はあるかもしれませんよ。だけど、武力行使をするっていうのは、存立事態そのものじゃないですか。だからそれ自身、相手国の領土、領海、領空で本当にやらないんですか、本当に。公海上でしか存立事態に於ける集団的自衛権の行使はやらないんですか。それは首相、間違いですよ。法制上はできるんじゃないですか、どうですか、これ」

 安倍晋三は、「一般に海外派兵は行わない」と言い、「我々は外国の領土に上陸をしていって、まさに戦闘作戦行動を目的に武力行使を行うことはしない」と同じ言葉を繰返して、「まあ3要件があるからこそ、限定的な容認にとどまっているわけであります」と矛盾したことを言っている。

 新3要件の③の「必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと」を言っているのだろが、「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険」という安全保障上の危機が迫っている中、その危機を排除する集団的自衛権行使が「必要最小限の実力行使」で可能とすること自体が、今後起き得ると想定した全ての事態が想定した予想通りに結果も予想通りとする予定調和――幻想に過ぎない。

 更に安倍晋三は集団的自衛権行使の新3要件に矛盾することを平気で口にする。

 安倍晋三「例えば日本を巡る状況が緊迫した状況があるとします。緊迫した状況にあって、自衛隊の艦船、あるいは米国の艦船が警戒に当たっているということは十分にあり得るというわけであります。その時にはこれは武力攻撃事態の予測事態にはなっているかもしれない。

 そうなれば、自衛隊に待機命令が出ている。しかし、わが国に、そうなっていたとしても、わが国に対する武力攻撃が発生しなければ、他国に対する武力攻撃があったとしても、それは例えば米艦に対する武力攻撃があったとしても、我々は武力行使をしない。これは明確なことであります。これは今までの法解釈で明確なことであって、これは国際法的に集団的自衛権の範疇に入っているということは明らかなことであります。

 そしてまた、明白な危機が切迫しているという、これは武力攻撃事態でありますが、そん中に於いて武力攻撃が発生する、または切迫な危機が明白であったとしてもですね、それはまだ、それはまだ武力攻撃が発生をしていないわけでありますから、この武力攻撃事態になったとしても、まだ武力攻撃が発生していなければ、米艦に対する武力攻撃があったとしても、われわれはこの米艦を守ることができないというのは、厳然とした事実としてあるわけでございます」

 新3要件の①はあくまでも「我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること」を条件としている。

 つまり我が国と国民の存立危機事態という「明白な危機が切迫している」ことを前提とした議論である以上、集団的自衛権行使に動かなければ、新3要件は崩れることになるはずだが、「米艦に対する武力攻撃があったとしても、我々は武力行使をしない」と言い、多分日本に対するか、あるいは自衛隊部隊に対する「まだ武力攻撃が発生していなければ、米艦に対する武力攻撃があったとしても、我々はこの米艦を守ることができないというのは、厳然とした事実としてあるわけでございます」と言う支離滅裂を披露している。

 岡田代表は改めて確認する。

 岡田代表「相手国、これは米軍と、米国と戦っている相手国に対して新3要件が満たされている、その場合に日本の自衛隊が、その国の領土、領海、領空で武力行使をする、集団的自衛権を行使するということは、それはないんですね」

 安倍晋三「岡田代表がおっしゃったように、他国の領土に、いわば戦闘行動を目的にですね、自衛隊を上陸をさせて武力行使をさせる。あるいは、領海に於いて領空においてそういう活動をする、派兵するということはないということを申し上げておきたい、このように思います」

 岡田代表「今回の場合は、明らかに米軍との戦いが相手国の領土領海領空で行われている場合に、そこまで行かなければ集団的自衛権の行使できないじゃないですか。だから、そういう場合も当然あるというのが私は政府の本来の解釈だと思います。

 だから、総理、いいです。ちゃんと答弁されましたから。もし、これが間違っていたら、法案修正してくださいね。『他国の領土、領海、領空ではやらない』と。はっきりと法律に書いてくださいね。そのことを申し上げておきたいと思います」

 岡田代表は更に念を押す。

 岡田代表「今日、総理が言われたことは、私は一つも納得できませんよ。お答えになってませんよ。間違ってますよ。どうなんですか」

 安倍晋三「何を以って間違っていると言っておられるのか私分かりませんが、我々が提出する法律についての説明は、全く正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」(鼻先でフッと笑って言う。)

 そして最後まで支離滅裂なことを言う。

 安倍晋三「日本の意志に反してですね、日本が戦闘活動に巻き込まれていくということは当然ないのは当たり前のことでありまして、今申し上げまして、わが国の存立が脅かされない限り、我々は武力行使はしないし、後方支援活動においてもですね、戦闘現場になれば、ただちにこれは撤収していくわけでありますから、この巻き込まれ論というのはあり得ないわけであります」
 
 国家・国民の存立危機事態を前提とした集団的自衛権行使の議論であるはずだが、つまり「わが国の存立が脅かされ」た場合の集団的自衛権行使=日本の意志に基づくことになる戦闘活動は、その範囲はどうなるのか、その程度に於いても米軍と一体化することにならないのか、伴うリスクはどうなのかの議論であるはずだが、逆の議論をして、自衛隊が負うリスクも国民が負うリスクも大したことがないように見せかけている。

 安倍晋三の今後起き得ると想定した全ての事態が想定した予想通りに結果も予想通りとする予定調和は同じく安倍晋三の支離滅裂な議論と相互対応している。前者が後者を可能とし、後者が前者を可能とする相互対応性である。

 にも関わらず、「我々が提出する法律についての説明は、全く正しいと思いますよ。私は総理大臣なんですから」と言う。

 一分の間違いも疑わずに自己を絶対的に正しいとするこの自己絶対性は独裁者こそが持つ資質である。少なくとも安倍晋三は独裁意志を色濃く持っていると言うことができる。

 ただ時代がそれを発揮させないでいるだけである。時代が安倍晋三をしてその独裁意志を抑制させているだけのことで、だからこそ、戦前の日本国家に郷愁を感じている。

 安倍晋三のこの独裁性という点からも、安倍晋三が関わる安全保障制度に危険を嗅ぎ取らなければならない。

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